ワーカホリックな彼の秘密

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第80話

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 下着の中に指先を忍び込ませ柊一の身体の秘密に触れると、柊一は緩やかに目を閉じて両手の力を抜いた。
 まるで殉教者の顔だ……と思う。
 もう数え切れない夜を共に過ごしている神巫に対してさえ、柊一は決して「馴れた」様子を見せない。
 シャツのボタンを外し、小さな花芽のような突起に触れれば、敏感な身体は容易に快感に押し流されてしまうけれど。
 日常では、少々羽目を外した下品な話題でも、サラッと流して切り返したりもしてくるが。
 柊一の気持ちの中では、この行為は決して望ましいモノではない。
 明るい蛍光灯の下、着衣を剥ぎ取られ一糸纏わぬ裸体にされる事を柊一は嫌う。
 両足を広げ、秘部をあからさまに見つめられる事を嫌う。
 それらの行為に反応する様子を、詳細に指摘される事を嫌う。
 しかし、その全てにこの身体は煽られてしまう。
 口づけを繰り返しながら、下着の中に潜り込ませた指先で柊一の花弁を探る。

「い………やだ…………」
「どうして? 気持ちいいでしょ?」
「ちが………」
「違わない。だってほら、こんなにいやらしく涎流してるの、判るでしょ? 俺の指が動くと、クチュクチュやーらしい音たててるの、聞こえてるよね?」

 ひとつひとつの台詞に、柊一の身体が戦慄くのが伝わってくる。
 それ以上に、花弁を探る手元に当たっているソレが、堅く屹立してくるのがあからさまだった。
 神巫は頃合いを見計らって、柊一のスラックスを下着ごと脱がせる。
 それから痩せた身体を抱いて、そのままベッドに場所を移す。
 シャツを肩から落とし、そのまま裾をからげて両手の自由を奪った。

「神巫?」

 驚いた様子の柊一を無視して、腕の自由を奪ったまま身体を俯せにさせ、膝をたたせる。

「や………っ!」
「ダメ。おしりを高く持ち上げて、俺に全部見えるようにして………。スッゲー、丸見えだよ、柊一サン。ココ、早くしてってヒクヒクしてる」

 指先で花弁を押し広げ、さらけ出された中心部を指の腹で少し乱暴に擦る。

「ああっ!」

 柊一の膝が震え、そのまま崩れ落ちそうになる腰を支えて、神巫は花芽に舌を押し当てた。
 羞恥に堪えない格好のまま、もっとも敏感な部分を舌先で弄ばれて、柊一の嬌声はすすり泣きと悲鳴が入り交じる。
 しかし、今にも爆発してしまいそうに屹立しているソレの様子から、身体が感じているのが強烈なまでの快感だけな事も察しが付いた。
 花弁が震えて、トロリと蜜が溢れ出してくる。

「カワイイな、柊一サン。イッちゃったんだ」

 意地の悪い笑いを含んだ神巫の言葉にも、返事は無い。
 ただ、身体がビクリと強張っただけだった。
 神巫が柊一の身体を仰向けに返すと、紅潮した頬と涙で赤く染まった目許を隠すように柊一は顔を背ける。

「素直じゃないな~。気持ち良かったら、もっと欲しいってねだってくれてもいいのに」
「腕を………解け……」
「ダメ。解いたら、せっかくのカワイイ表情が見えないように顔を隠しちゃうから」
「ふざけるなっ!」
「ふざけてない」

 顔を背けている柊一の晒されている首筋に、神巫は口唇を押し当てた。
 ギクリと反応する柊一の様子を楽しむように、舌先で首筋から耳殻へのラインを辿る。

「俺が………、どんなに柊一サンを必要としているか。知らないからナァ、柊一サンは」

 囁きながら、神巫は弄ぶように胸元の突起を摘む。

「や………っ!」

 戸惑った顔で、柊一は振り返った。

「なん……だよ? なんか、変だぞ……オマエ……」
「変ですか? それはきっと、怒ってるからですよ」
「怒………る?」
「多聞サンから、アンケート集計の返却経路を聞きました」

 柊一の顔を見つめながら、神巫は口許を微かに笑んだような形に歪ませて、自分でも驚くほど落ち着き払った声音でそう告げた。
 途端に、柊一の表情に狼狽の色が浮かぶ。

「警視氏にはさすがにアポとれませんでしたけど、新聞記者氏とは話が出来ました。……一体、どんな無茶なヒトなんですか? 柊一サンって」
「オ…マエに、怒られるスジなんか……な…い!」
「ええ。俺は別に、柊一サンに腹を立てているワケじゃないですから。……1番腹が立つのは、そんなギリギリの切羽詰まった状況に柊一サンを追い込んでおいて、のほほんとしてた自分にです」

 胸元から手を離し、神巫は柊一の屹立しているソレを握り込み、吐精を促すように力を込める。

「ひぁっ……っ!」

 押さえ込まれている身体が、小魚のように跳ねた。

「イク時の表情(かお)もスゴク魅力的だけど、イッた後の表情(かお)もスッゴイそそられるんですよね、柊一サンって。アナタの全部に、ホンットどうしようもないくらいイカレちゃってるんですよ、俺は」

 目を開いた柊一は、神巫の顔を見て戸惑うように眉根を寄せる。

「バカなコトばっかり言ってるんじゃない。オマエほどの男なら、まっとうな女といくらも付き合えるし、ごく普通に恋愛したり結婚したりも出来るだろう?」
「フツーの恋愛にも結婚にも、今のところは興味がそそられないんで」
「………そりゃ確かに、俺のような変わり種と付き合ってりゃ、それなりに面白いのかもしらんが。でも、こんなマグロを何度も抱いた所で、さほど楽しい訳でもないだろう?」
「またそんなコトを言って。本当に柊一サンって自分の価値も魅力も解ってないンだなぁ。……俺はね、別にアナタの身体だけが目当てで抱いているワケじゃないンですって、言っても全然解ってくれないし」

 神巫は柊一の腕に絡みついていたシャツを解き、改めて正面から覗き込むように真っ直ぐ柊一の顔を見つめた。

「俺、柊一サンが己を犠牲にして俺を守ってくれたら、一生柊一サンのコト恨みますからね」
「…なんだそりゃ?」
「もう二度と、こんなヘマをやらかすつもりはありませんけど。でも、もしまた俺がヘマをやらかしたら、そうしたら今度は絶対に俺のコトを助けようなんて思わないで下さいね」
「どういう、意味だ?」
「チンケな恐喝ヤロウ如きに、アナタを掠め取られるぐらいなら。俺の人生棒に振って、アナタを守れる方が良い」
「ナニ言い出すんだよ。ガキみたいなコトを………」
「そう言ってる柊一サンは、俺を庇って会社辞めて、白王華とか言うヤツとどうする気だったんです?」

 顔を寄せ、キスをねだりながら神巫は再び柊一の身体を煽り始める。
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