ワーカホリックな彼の秘密

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第79話

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 テーブルの上を簡単に片付けて、神巫はコーヒーを注いで部屋に戻る。

「なんか、部屋の雰囲気変わったか?」

 リラックスした様子で座っている柊一は、室内を簡単に見回して訊ねてきた。

「あははは、さすがですね。ちょっと小物を整理しました」
「なんだよ。以前に少し片付けたらどうだって言った時は、見えなきゃ意味がないとか言ってたクセに」
「そりゃ確かに、値打ちモンのコレクションとか言うのとは違うから、自分が見て楽しくなきゃ意味がないッスけど。でもマメに入れ替えして……例えば季節感とか狙ってみるのもいいかな~、とか。俺一人じゃなくて、柊一サンっていう観客も出来たコトだし」
「なんだそりゃ?」

 差し出したコーヒーカップを受け取りながら、柊一は笑ってみせる。
 先日までは、こんな時は大概上の空で、時に会話がかみ合わないような事もあったが。

「で、いかがでした? 俺の腕もまんざらじゃないでしょう?」
「ああ、うん。ごちそうさま、美味かったよ」
「ちゃんと自炊してるって、証明出来ましたでしょ?」
「そうだな、嘘じゃなかったみたいだな」
「今日は特別コースでしたけど、ちゃんとフツーの家庭料理って言うんですか? アレもバッチリなんですよ、俺」
「なんだよ、随分主張するな?」
「ちょっと掃除は苦手ですけど、それは現在修行中と言うコトで」
「修行中?」
「コレクションのマメな模様替えデス」
「それって、掃除なのか?」
「掃除ですよ! 埃を取って、壊れないように収納もしないと」
「なんかだんだん、方向性が違ってきてないか?」
「全然! だってほら、家事全般がちゃんとこなせるって判ったら、柊一サンが俺をヨメにしたくなるかもしれないじゃないですか」

 神巫の「トンデモ発言」に柊一は一瞬呆けた顔をしたが、直ぐに呆れたように笑い出す。

「バッカ! 何を言いだしたんだよ?!」
「ええ~? 俺、スッゲーマジなんですけど~?」
「じゃあ、アレか? 夜もちゃんとヨメサンの役をこなしてくれるのか?」
「それを了承したら、ヨメにしてもらえます?」
「なんだよ、ムキになるな?」
「ええ? だってOKして貰えればコッチのモンでしょ?」
「そんな下心が丸出しじゃ、OKするわっきゃないだろう」
「あれ~? 寂しいなぁ。それに俺、そんなに柊一サンに合格点が貰えないほどですか~?」

 腰に手を伸ばし、神巫は柊一の身体を抱き寄せる。
 一瞬怯む柊一の隙をついて口唇を重ね、そのまま身体を傾かせた。

「床は硬いからイヤだって」
「大丈夫、柊一サンが抵抗出来なくなったらベッドに抱き上げてあげますから」

 ささやかな抵抗を見せる柊一の手を押さえ、神巫は口づけを続けながら柊一のスラックスのジッパーを引き下ろす。
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