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第68話
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翌日、多聞は半休を取って都心の喫茶店に出向いた。
「おはようございます、多聞サン。おやおや、なかなか男前になって……」
待っていた片岡は、現れた多聞に皮肉を投げかける。
片岡の隣には、弥勒寺も居た。
「他人事だと思って、いい気なモンだな片岡……」
「滅相もない! 今回のコトでは、多聞サンにモノスゴク感謝してるんですよ! おかげで白王華を合法的に拘束出来ましたし、多聞サンが告訴してくれれば早々に弥勒寺サンが傷害で立件してくれますから。証人もバッチリですしね」
「でも、弁護士の腕の良いのとか来ると、直ぐに保釈とかになっちゃうんじゃないの?」
「そりゃあ、良いのを雇えれば…ですよ。組織としては白王華に下手なコトをゲロされちゃ困る反面、あんまりおおっぴらに手配をすると逆に自分達と白王華の繋がりがバレちゃいますから。向こうはまだ、昨日の一件はただのケンカ沙汰だと思ってますし、幸いにして僕がアイツをマークしていたコトに気付いてないんです。ま、後はコッチのモンですよ」
「そういうモンなの?」
「その辺は、ぬかりないです。と言うワケで、こちらの書類にサインをお願い出来ますか? 告訴に必要な書類なので、多聞さんの直筆が欲しいんです」
出された書類にサインをすると、弥勒寺は内容を確認してからそれらを大事にカバンにしまう。
「これでもう、心配はなくなったと思って平気なのかな?」
「ええ、枕を高くして眠って下さい」
「それから、こちらをお渡ししておきますね。本来なら東雲さんにお渡しするべきなんでしょうけれど、私が東雲さんと直に会う理由がないので」
書類をカバンに収めた弥勒寺は、同じカバンから大きめの茶封筒を取りだして多聞に差し出した。
「何コレ?」
「御社の極秘資料のようですよ。どうやらその書類で、白王華は東雲さんを恐喝していたようです」
「返して貰っちゃって、平気なの?」
「東雲さんが白王華を告訴するおつもりがないようなので、それはこちらには必要ありませんから」
シレッと答える弥勒寺に、そんなものかと多聞はその書類を受け取る。
「でも、白王華はどうやってこの書類を?」
「本人は電車の網棚に置き忘れていた物を拾っただけだ……と言い張ってますがね。まぁ、嘘でしょう。白王華の部屋を捜査しましたが、恐喝の為の下準備とおぼしき御社の社員の隠し撮りやら個人情報やらがわんさと出てきましたから」
「え? 弥勒寺サンは先刻僕に神巫とかいう若いのが、白王華に買収されて資料の横流しをしたって言ってませんでしたっけ?」
「片岡君、それはあくまで僕の推論であって、確証がある訳じゃないと言ったでしょう?」
2人の会話に、多聞はビックリして顔を上げる。
「ちょ……ちょっと待ってよ」
「なんでしょう?」
「それってつまり、弥勒寺サンは神巫のコトを疑ってるってコト?」
「全ての可能性を考えるのが、仕事ですから」
「あの! 言っておくけど、神巫は金で買収されるような男じゃないから!」
真顔の多聞に、弥勒寺は少し不思議そうに首を傾げた。
「おはようございます、多聞サン。おやおや、なかなか男前になって……」
待っていた片岡は、現れた多聞に皮肉を投げかける。
片岡の隣には、弥勒寺も居た。
「他人事だと思って、いい気なモンだな片岡……」
「滅相もない! 今回のコトでは、多聞サンにモノスゴク感謝してるんですよ! おかげで白王華を合法的に拘束出来ましたし、多聞サンが告訴してくれれば早々に弥勒寺サンが傷害で立件してくれますから。証人もバッチリですしね」
「でも、弁護士の腕の良いのとか来ると、直ぐに保釈とかになっちゃうんじゃないの?」
「そりゃあ、良いのを雇えれば…ですよ。組織としては白王華に下手なコトをゲロされちゃ困る反面、あんまりおおっぴらに手配をすると逆に自分達と白王華の繋がりがバレちゃいますから。向こうはまだ、昨日の一件はただのケンカ沙汰だと思ってますし、幸いにして僕がアイツをマークしていたコトに気付いてないんです。ま、後はコッチのモンですよ」
「そういうモンなの?」
「その辺は、ぬかりないです。と言うワケで、こちらの書類にサインをお願い出来ますか? 告訴に必要な書類なので、多聞さんの直筆が欲しいんです」
出された書類にサインをすると、弥勒寺は内容を確認してからそれらを大事にカバンにしまう。
「これでもう、心配はなくなったと思って平気なのかな?」
「ええ、枕を高くして眠って下さい」
「それから、こちらをお渡ししておきますね。本来なら東雲さんにお渡しするべきなんでしょうけれど、私が東雲さんと直に会う理由がないので」
書類をカバンに収めた弥勒寺は、同じカバンから大きめの茶封筒を取りだして多聞に差し出した。
「何コレ?」
「御社の極秘資料のようですよ。どうやらその書類で、白王華は東雲さんを恐喝していたようです」
「返して貰っちゃって、平気なの?」
「東雲さんが白王華を告訴するおつもりがないようなので、それはこちらには必要ありませんから」
シレッと答える弥勒寺に、そんなものかと多聞はその書類を受け取る。
「でも、白王華はどうやってこの書類を?」
「本人は電車の網棚に置き忘れていた物を拾っただけだ……と言い張ってますがね。まぁ、嘘でしょう。白王華の部屋を捜査しましたが、恐喝の為の下準備とおぼしき御社の社員の隠し撮りやら個人情報やらがわんさと出てきましたから」
「え? 弥勒寺サンは先刻僕に神巫とかいう若いのが、白王華に買収されて資料の横流しをしたって言ってませんでしたっけ?」
「片岡君、それはあくまで僕の推論であって、確証がある訳じゃないと言ったでしょう?」
2人の会話に、多聞はビックリして顔を上げる。
「ちょ……ちょっと待ってよ」
「なんでしょう?」
「それってつまり、弥勒寺サンは神巫のコトを疑ってるってコト?」
「全ての可能性を考えるのが、仕事ですから」
「あの! 言っておくけど、神巫は金で買収されるような男じゃないから!」
真顔の多聞に、弥勒寺は少し不思議そうに首を傾げた。
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