ワーカホリックな彼の秘密

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第49話

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「どうしたの? ショーゴさん」
「ん、いや、あのな」

 一度言葉を切ってから、松原は訝しげな目線で多聞を上から下まで眺め回す。

「ショーゴさん?」
「しかし、アレだな」
「なに?」
「オマエさぁ、シノとなんかあったんじゃないの?」
「えっ? …………う……、なんかなんて、なんにもないよ」
「ホントかよ? どうせ先日、製作の若いのにつっかかってた理由だって、その辺にあるんだろ?」
「…アレはっ! ………シノさんが、あんまり神巫を褒めるから、そんなに出来るヤツなのかと思っただけだって………」
「あんなつっかかり方したら、あっちにオマエがガキッぽいってアピールするようなモンじゃねェか。バカも程々にしろ」
「同じポカミスを見つけても、ウチの市ヶ谷君はちゃんとフォローするよ?」
「もう、その話はいいよ」
「なんだよ、ショーゴさんが先にその話ふってきたんじゃないか」
「ガキっぽいレンが拗ねてる理由なんて、シノとなんかあった時だけだろ。白状するかと思ったら、オマエも言わないんだもん、これ以上その話をしたって意味ねェじゃんか」
「だって、どうせショーゴさんだってシノさん贔屓で、俺の言い分なんて聞いちゃくれないじゃんか。話したって仕方ないし。第一こんな場所に俺のコト引っ張り込んで、わざわざそんな話なの?」

 不満そうな多聞に対して、松原は肩を竦めてみせる。

「いーや。オマエがただ拗ねてるってワケでもなくて、多少はシノのコトが気になってるみたいだったのが意外なだけさ」
「どういう意味だよ?」
「だから、今のイタ電さ。赤坂達はヘッドハンティングだ…なんて言ってるけど。その手の勧誘だったらシノの携帯に直アポ取ってくる、と思うんだよな俺は」
「シノさんの携帯ナンバー知らないんじゃないの?」
「バッカ。同じ人間が何度も掛けてきて、シノがそれを取り次ぐなって言ってこないってコトは、シノ自身が相手の話を聞く気があるってコトだろう? でも逆に話を聞く気があってホントにそれがヘッドハンティングだのなんだのって話なら、そこまであからさまに社内の人間に解るようにするか? どう考えたって、おかしな話だろう?」
「ああ、なるほど」

 どうやら松原はその電話の件が酷く気にかかっているらしく、他に邪魔をされずに話をする為にこの部屋に多聞を引っ張り込んだらしい。
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