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第42話
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「あ、そうだ。そんな不調のチーフに、あんまりお知らせしたくないお知らせがあるんですけど?」
「なんだよ、まだあったのか?」
「まだって言うか、実はコッチの方が深刻な内容なんですけどね。……ハルカが、先日のアンケートを閉じた「社外秘」の資料が見あたらない……とか、言ってます」
青山の報告に、柊一はさすがに顔色を変えた。
「………なくしたのか?」
「ワカリマセン。ハルカ自身、手許に見あたらなくなったのがいつからなのか不明らしいし……。でも、ぶっちゃけ他の部署に貸すなんてコトは考えられないんですよね」
「そりゃそうだろう? 各部に1冊づつ配布されたんだから。本当になくしたのか?」
「神巫の性格じゃあ、どっかに売りに行ったとかいうコトは無いと思いますし、もしそんなコトするンだとしたら大元は残してコピー撮るぐらいの頭は使うでしょう。アレをずっと抱え込んで矯めつ眇めつ眺めてたワケだから、無くなったら最初に疑われるの自分だってコトぐらい、容易に想像つきますからね」
「この部屋の中は、良く探したのか?」
「そりゃもう。一応神巫には自宅を良く調べて、それから駅に遺失物の届けが無いかどうかも訊いて来いって言ってあります」
「神巫が無いコトに気付いたのはいつなんだ?」
「気付いたのは木曜の夜だそうです。家に無くて、金曜に出勤してきて自分のデスク周りにも見つけられなくて、それで俺に見かけなかったかって訊ねてきたんです」
「解った。…とりあえずは少し様子を見よう。アイツは物の管理が悪いから、思わぬ場所から転がり出てくる可能性もあるしな。……ただ、2~3日して見つからなかったら、社内で探して貰うようにしなけりゃならないから……」
「可哀想ですけど、仕方ないでしょ。……もっとも、神巫みたいな脳天気は一度でかいポカやって、熱っついお灸を据えられた方が人生良くなると思いますから。俺的には取締役を始めとするお偉方に大目玉食らって、減俸と査定にビシッとひびが入った所で、デスクの引き出しの裏側から件の書類が出てくる……ぐらいで収まればいいなと……」
「それは「収まった」って言わねェよ………」
柊一の答えに、青山は肩を竦めてみせる。
「チーフは子ぼんのうならぬ部下ぼんのうだからね~。締めるトコは締めないと、使い物にならなくなりますよ?」
「俺の代わりにタケシが締めてくれてれば、それで充分だろ?」
「コレだよ、も~!」
「とにかく書類の件は少し本気で探してくれ。神巫の査定の問題はともかくとして、なくなったら会社全体の問題になるからな」
「解ってますって」
口調や態度は少々ふざけていても、青山は状況を弁えている。
とはいえ、なくなった書類の内容が内容なだけに、柊一も事の重大さに気が重かった。
「なんだよ、まだあったのか?」
「まだって言うか、実はコッチの方が深刻な内容なんですけどね。……ハルカが、先日のアンケートを閉じた「社外秘」の資料が見あたらない……とか、言ってます」
青山の報告に、柊一はさすがに顔色を変えた。
「………なくしたのか?」
「ワカリマセン。ハルカ自身、手許に見あたらなくなったのがいつからなのか不明らしいし……。でも、ぶっちゃけ他の部署に貸すなんてコトは考えられないんですよね」
「そりゃそうだろう? 各部に1冊づつ配布されたんだから。本当になくしたのか?」
「神巫の性格じゃあ、どっかに売りに行ったとかいうコトは無いと思いますし、もしそんなコトするンだとしたら大元は残してコピー撮るぐらいの頭は使うでしょう。アレをずっと抱え込んで矯めつ眇めつ眺めてたワケだから、無くなったら最初に疑われるの自分だってコトぐらい、容易に想像つきますからね」
「この部屋の中は、良く探したのか?」
「そりゃもう。一応神巫には自宅を良く調べて、それから駅に遺失物の届けが無いかどうかも訊いて来いって言ってあります」
「神巫が無いコトに気付いたのはいつなんだ?」
「気付いたのは木曜の夜だそうです。家に無くて、金曜に出勤してきて自分のデスク周りにも見つけられなくて、それで俺に見かけなかったかって訊ねてきたんです」
「解った。…とりあえずは少し様子を見よう。アイツは物の管理が悪いから、思わぬ場所から転がり出てくる可能性もあるしな。……ただ、2~3日して見つからなかったら、社内で探して貰うようにしなけりゃならないから……」
「可哀想ですけど、仕方ないでしょ。……もっとも、神巫みたいな脳天気は一度でかいポカやって、熱っついお灸を据えられた方が人生良くなると思いますから。俺的には取締役を始めとするお偉方に大目玉食らって、減俸と査定にビシッとひびが入った所で、デスクの引き出しの裏側から件の書類が出てくる……ぐらいで収まればいいなと……」
「それは「収まった」って言わねェよ………」
柊一の答えに、青山は肩を竦めてみせる。
「チーフは子ぼんのうならぬ部下ぼんのうだからね~。締めるトコは締めないと、使い物にならなくなりますよ?」
「俺の代わりにタケシが締めてくれてれば、それで充分だろ?」
「コレだよ、も~!」
「とにかく書類の件は少し本気で探してくれ。神巫の査定の問題はともかくとして、なくなったら会社全体の問題になるからな」
「解ってますって」
口調や態度は少々ふざけていても、青山は状況を弁えている。
とはいえ、なくなった書類の内容が内容なだけに、柊一も事の重大さに気が重かった。
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