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(2)朝見凛
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朝見凛の名前を聞けば、誰もがあの日のことを思い浮かべるだろう。
――走高跳の絶対王者と呼ばれたハナエル選手との最初で最後の対決。
陸上選手として中学生の頃から注目され続けた朝見凛が、若干二十歳にして引退宣言をした大会でもある。
本来なら世界中の観客を前に行われたであろう名勝負だったが、実際の舞台は無観客の競技場であり、大会自体も公式なものではない。これはこの年に予定されていたオリンピックが一年延期となったためマスコミとスポーツメーカーが中心となり、陸上競技連盟との共催という形で開催されたものだった。出場選手はすでにオリンピックに内定していた各国選手のうち、スケジュールがつき、かつ出場を自ら志願した者に限られた。公認競技会ではないため、どんなに素晴らしい記録が出てもそれを公式の世界記録とすることはできない。それでも参加を表明した選手は多かった。
世界中の有名選手が集まって行われるというだけでも注目度は高かったが、朝見凛への期待はその中でもひときわ大きなものだった。
走高跳は高さに関係なく三回続けて失敗すると競技終了となる。どの高さから挑戦するのか、失敗後に高さを変えるのか、そのまま同じ高さに挑むのかは選手自身の選択による。バーの高さが上がるにつれ自然と残っている選手も減っていく中、朝見凛はここまで一度も失敗することなく進んでいた。跳んでいる間の滞空時間はほんの数秒の出来事であり、瞬きしている間に終わってしまうくらいの時間だ。それでも人々は画面から目を離せなかった。この一瞬に朝見凛が視聴者に見せたものを言葉に表すことは難しい。おそらく見ていた者それぞれが心に留めておくことしかできない種類の感情だったと思う。
そのときの実況者の言葉は今でもはっきりと思い出せる。「私たちは朝見凛の瞳に映る世界を――空を見せてもらっているのでしょう」彼が跳ぶたびに流れるスロー映像。それは息を呑むほど美しい光景だった。遠くの空がそのまま彼の瞳の色と重なる。朝見凛の世界そのものだった。
走高跳において跳んでいる選手が空を見られるのは、バーを越えたあとの、落下していくほんの一瞬にすぎない。下りていく自分の足の向こうに広がる景色。「跳べた」という確信が視界を広げ、瞳に空を映しこむ。簡単に見逃してしまうような、本当にわずかな時間でしかない。
けれど――朝見凛の瞳にはほんの一瞬しか映らないはずの空が常に存在していた。
勝負は大方の予想通り、ハナエルと朝見凛、ふたりの対決となった。二センチずつ刻みながらバーは上げられていく。ふたりが越えるたびに、画面の向こう側の視聴者は胸を撫で下ろし、次の勝負へと息を詰めるのを繰り返した。当時の世界記録は二メートル四十七センチであり、その記録保持者こそがハナエルであった。設置されたバーの高さはついに二メートル四十七センチになった。
朝見凛の試技、一本目。ここまで一度も失敗をしていない朝見凛が初めてバーを落とした。会場に観客がいたならば、悲鳴やため息がその場に渦巻いたことだろう。続くハナエルの試技。こちらも同じく一本目を落とした。日本中が画面の前で安堵のため息をついたであろう瞬間。けれど、続くスロー映像や実況者の言葉に緩んだ空気は一瞬にして引き締められた。伝えられたのはハナエル有利。朝見凛としては未知の高さであるから、と。
迎えた二本目。わずかに強張った朝見凛の顔をカメラが捉える。跳んだ直後は抜けたかに思われたが、わずかにかかとが触れ、バーが落下した。ハナエルの二本目も同じく最後の最後でバーが堪えきれなかった。
ともに勝負は三本目へ。画面の向こう側、助走に入るその一瞬。朝見凛が静かに息を吸い込み、表情を変えた。走り出す前、踏み切りすらしていない瞬間。けれど、それを見た人々は確信した。
――朝見凛は跳ぶ、と。
リラックスした状態から徐々にスピードが上がっていく。踏み切った次の瞬間には体が美しく弧を描く。先ほどまでのスレスレの跳躍ではない。見事なまでに空に溶け込んだ余裕のある姿。これこそまさに『陸上界のプリンス』と呼ばれる朝見凛の姿だった。これで勝負はついたかに思われたが、そこは世界王者としてのプライドだろう。ハナエルも越えてきた。息の詰まる緊張感に人々は次第に勝負の行方よりもどこまでも己の限界に挑戦し続けるふたりの姿に胸を打たれた。記録には残らない。公式な大会ではない。それなのに全力を懸けて見せてくれる、その姿にスポーツの本当の素晴らしさを見ていた。
バーの高さはついに二メートル四十九センチとなった。本来なら世界新記録となるはずの高さ。記録上は残らなくても記憶には残る。名前を刻むことはできなくても感動が消えることは決してない。勝負は再び三本目までもつれるかと思われたが、朝見凛は一本目で越えた。世界新記録。正式に認められるものではなかったが、それでも越えたことに変わりはない。
その瞬間に拳を上げた者、抱き合い喜びあった者は多くいただろう。競い合っていたハナエルでさえ思わず笑ってしまった映像が残っているくらいだ。
ハナエルはその高さを越えられなかった。朝見凛が世界新記録とともに優勝を決めたのだ。本来であればそのまま朝見凛の跳躍は続けられるはずだった。優勝を決めても記録としてはまだ挑戦できる。けれどこの大会においてはそれがなかった。事前に定められた特別ルールとして「優勝者が決まった時点での競技の終了」があったためだ。もしもあのまま朝見凛が跳び続けていたなら――誰もが思うところではあったが、失敗する姿で終わらなかったのがいかにも朝見凛らしいとも言えた。
その後、この時の映像は何度も放映され、記録ではなく記憶として残されることになる。悔しいことに、あれだけの名勝負であったにも関わらず、競技後のインタビュー映像の方が使われる機会は多かった。
一番高い檀上でメダルをかけられた朝見凛はまさに王子の微笑みでインタビューに答えていた。
――おめでとうございます。
「ありがとうございます」
――今の心境をお聞かせください。
「ここまで来られたのは応援してくださった皆さまのおかげであり、そして今日のこの記録が出せたのはハナエル選手のおかげです。彼と勝負ができて本当に嬉しいです。このような場を用意してくださったことに改めて感謝申し上げます。これで心置きなく引退することができます。ありがとうございます」
その瞬間のインタビュアーの表情は、その模様を見ていた視聴者と同じだったに違いない。一瞬何を言われたのかわからないと固まっていた。それでもそこはプロである。すぐに言葉を取り戻した。
――引退、なさるのですか?
「はい。わたくし朝見凛は本日をもって陸上界を引退します」
――あ、あの、理由をお聞かせくださいますか?
「大事な人を迎えにいかなくてはならないので」
――大事な人、というと?
「僕のお嫁さんです」
そう答えた瞬間の朝見凛の少し照れたような表情に叫び声をあげたのはうちの母さんだけではなかったと思う。
その後、朝見凛は宣言通り陸上界を引退しただけでなく、消息すら完全に絶ってしまった。選手としてだけではなく広告塔としても彼を欲していた媒体は多かったため、それからしばらくは彼の行方についての憶測的な報道がいくつも流れた。彼の日本人離れした容姿や生い立ちについての謎が人々の興味をさらに掻き立てたのだろう。
――陸上界のプリンス、朝見凛を射止めた人物とは⁉
――陸上界のプリンス、朝見凛の父親の謎を本誌が追う!
――陸上界のプリンス、母親とともに日本から姿を消す⁉
朝見凛が世の中に与えた影響は大きかったが、一年が経つ頃には世間も落ち着きを取り戻した。彼のその後を追えたところが全くなかったのも理由のひとつだろう。そうして朝見凛は――陸上界のプリンスは――伝説の存在となった。当時小学生だった俺でもここまではっきりと覚えている。それほどまでに朝見凛はすごかったのだ。そう、彼はもはや伝説の存在として語り継がれていた……ハズだった。少なくとも昨日のあの瞬間までは。
ここが職員室であることを一瞬忘れ、言葉は思考を通ることなく落ちていく。
「なんで、いる……んですか?」
かろうじて最後を受け止めた語尾は驚きと戸惑いをそのまま映していた。授業が終わりこれから部活へと向かう時間。俺は部室ではなく職員室に来ていた。ほかの部の顧問をしている先生たちはすでにこの部屋にはおらず、いるのはいつも銅像のように動かない教頭先生と、俺を呼び出した陸上部顧問の佐々木先生、そして……視線は目の前の彼と椅子に座ったままの佐々木先生を行き来する。上から下へ。下から上へ。それだけで首が痛くなりそうだった。
「なんで、って。ああ、そうか。瀬永は昨日途中で帰ったからな」
またしても『昨日』のことが掘り起こされ、ぐっと黙り込む。佐々木先生はまるっこい顔にさらに丸を足すように目尻を下げ、唇の端を持ち上げた。まるで二重丸。よほど嬉しいことなのか、先生はその二重丸を崩すことなく言った。
「今日から正式に陸上部のコーチになった朝見さんだ」
「え?」
思わず見上げてしまった俺に、朝見は――朝見コーチは「よろしく」と小さく笑った。先生が丸ならこっちは花が咲いたみたいだ。優しく細められた目に透き通るような白い肌。まっすぐ伸びた鼻筋に薄い唇がすっと伸ばされる。柔らかな表情が「春」を思わせた。この顔で微笑まれたら「……よろしくお願いします」と言うしか、ない。
絞り出すように答えれば、朝見コーチは一度細めた瞳を戻し、俺の顔をその空色に映しこんだ。ただまっすぐ見つめられているだけなのに。足元がぐらつきそうなほど吸い込まれそうになる。どうすればいいのかわからなくなり、振り切るように無理やり顔を横に向けた。すると今度は先生と目が合い、ニヤリと笑われる。
「まあ、基本的にはお前の専属になるから安心しろ」
「え?」
「婚約者が目の前でほかのヤツと仲良くしてるのを見るのはアレだろうからな」
――婚約者。
さらりと言われた言葉が衝撃となって俺は言葉を失ったが、ふたりの会話は止まらなかった。
「お心遣い感謝いたします」
「いえいえ。まあ、たまにはほかの連中もみてやってくださいな」
「もちろんです。みんな大事な遼平の仲間ですから」
名前を呼ばれたことでようやく言葉を取り戻したものの、すでに遅かった。
「え、いや、ちょ」
反論する俺の声などまるで届かない。
「いやー、よかった、よかった。お前のおかげで我が陸上部は安泰だな」
先生は嬉しくて仕方がないといった表情で、二重丸どころか三重丸の笑顔を見せていた。
どうにか今日の部活動を終え、校門へと向かう途中で呼び止められた。
振り返ればこの学校には不似合な高級車が一台。運転席の窓からもう一度「遼平」と声をかけられる。日が落ちた学校の敷地内に明かりは少ない。校門前の外灯までも距離がある。本来なら顔など判別できないところだが、俺は声をかけてきたのが誰だかわかってしまう。車自体にも見覚えがあった。駐車スペースだけは困らないのが田舎のいいところだ。こんな大きな車でさえ今朝は俺の家の前に停まっていたのだから。
「一緒に帰ろう」
返事をする前に開けられた窓から再び声がかけられる。
本当は無視してひとりで帰りたい。家でも学校でも顔を合わせることになってしまった今、ひとりでいられる時間は限られている。だけど……数分前の部活の光景を思い出し、俺はため息とともに車の方へと足を向けた。
――まさかあの朝見凛にコーチしてもらえるなんて。
憧れ。尊敬。朝見コーチへ向ける仲間の顔はキラキラと輝いて見えた。俺だって同じ立場だったなら、同じことを言い、同じ表情をしていただろう。朝見凛。陸上界のプリンス。伝説の存在。そんな人に直接教われる機会なんて奇跡としか言いようがない。素直に喜べる立場だったなら、どんなによかっただろう。
「体調は大丈夫?」
俺がシートベルトを締めるのを横目に確かめながら、朝見コーチは優しく笑った。暗い車内でも笑ったとわかるほどに柔らかな声だった。
「……まあ」
「そう。じゃあ、安全運転で行くね」
窓の外に顔を向けたまま答えた俺に朝見コーチは怒ることもなく、静かに車を発進させた。
流れていく景色は暗く、ウィンカーを出すたびに点滅する矢印とカチカチという音がやけに大きく感じられる。通学路は徒歩三十分、約二キロの道のり。信号も少なく周りには田畑が広がっている。窓を開ければ甘い花の香りを含んだ柔らかな冷たさが肌を撫でていく。
「いい香りだね」
フロントガラスを見つめたまま落とされた言葉に視線だけをちらりと動かし「ああ、ミカンの花の時期らしいよ」となるべく感情を込めずに答える。正直なところ、俺にはこの隣に座る朝見凛という人物への接し方がわからなかった。学校にいる間、部活をしている間はどんな発言をされようと『朝見コーチ』として見ればいい。あくまで生徒とコーチの関係。それ以上でもそれ以下でもないと自分の中で線を引くことができる。だけど。その場所を離れてしまったら、この関係がなんなのか途端にわからなくなる。単なる居候として見るには距離を詰められすぎていて、だからといって仲良くできるかと言われれば伝説の存在として憧れ続けてきた思いが強すぎて受け入れられない。
――俺にとって朝見凛は、ずっと目標にしてきた「憧れ」だった。
それをなかったことにはできないし、消し去ることもできない。かといって彼の言うとおりに「婚約者」になるかと問われればそんなバカな話があるかと言わざるをえない。
「この甘さはジャスミンに似ているね」
「……うん」
たった一日があまりにも長く。あまりにも早く過ぎてしまった。自分の身に起きている出来事のはずなのにどこか他人事のような気すらしてきてしまう。本当にここにいるのは、あの『朝見凛』なのだろうか。
「どうかした?」
赤信号に合わせてゆっくり車を停めた朝見が振り返り、目が合ってしまったことで自分がずっと見つめてしまっていたことに気づく。薄く差し込む外灯の頼りない光であっても、その顔の美しさが消えてしまうことはない。昼間の空を思わせる瞳の色が深みを増し、一瞬で吸い込まれそうになる。俺は無理やり顔を背けた。
「なんでもない」
ズボンのポケットに入れていたスマートフォンを俺が取り出すのと「そう」と小さく笑った朝見が車を発進させたのはほぼ同時だった。
いつの間にか変わっていた青信号を抜け、ミカンの花の香りを車内に溶かしながら、車は走っていく。手にした画面からの光は強く、乗り物に乗っているときに操作すると酔ってしまうのであまり気は進まなかったが、このまま会話を続けるよりはと指を動かした。
朝に見たときよりも増えてしまった数字をタップする。表示されたメッセージアプリに並ぶ名前のほとんどは同じ学校のやつらだ。さすがに現場に居合わせた陸上部のメンバーからはなかったけど。クラスのグループはすさまじいことになっていた。昨日の出来事をテレビやネットニュースで知り、騒いでいたのだろう。ここにメッセージを送っているやつらも、個別で連絡をくれているやつらも基本的には教室で会っている。返信は不要と判断し、通知件数を元に戻すため既読表示だけつけていく。
中身を読まずに機械的に作業していたので一瞬そのまま閉じそうになったが、表示されているメッセージのひとつを確認した俺は指を止めた。
「鷹人……」
無意識に零れた名前が脳裏に大きな口を開けて笑う親友の顔を映しだす。送られてきた文字を追ううちにその顔は心配そうにこちらを覗き込む表情へと変わっていき、これにはちゃんと返事をしなくてはと頭が働きだす。――鷹人は、鷹人だけは違う。ほかのみんなのような単なる好奇心ではなく俺のことを心から心配してメッセージをくれたのだと信じられる。中学卒業に合わせて今の場所に引っ越してきてしまったので、直接会うことはなくなってしまったけれど。それでも鷹人とは小学校のときからの付き合いだ。簡単に切れたりはしない。
こちらへと向けられていた静かな視線に気づくことなく、俺は鷹人の顔を思い浮かべながら文字を並べていく。送信ボタンをタップしたところで車が停まり、顔を上げるともう家の前だった。
「僕は車を停めてくるから、遼平は先に家に入っていて」
柔らかく笑いかけてきた朝見に、シートベルトを外しながら振り返り「ありがとうございました」と軽く頭を下げる。伝えるべきことは伝えたので、このふたりだけの空間から一刻も早く逃げようとドアハンドルへと手をかけたときだった。
「遼平も走高跳をしていたんだろう?」
それは決して大きな声ではなかった。窺うような空気でも、労わるような色でもなかった。ただ静かに、ただまっすぐに俺へと向けられた声だった。ただ事実を確かめているだけ、なのだろう。頭ではそう理解できたけれど、一度揺れてしまった心は簡単には止まってくれない。声は震えを隠すように強張った。
「誰に聞いたんだよ」
「……大事な婚約者のことだから。それくらい調べてあるよ」
先ほどよりも優しさを混ぜた声が耳に触れ、思わず振り返りそうになったが、俺はかけていた指に力を入れドアを開けた。すばやく助手席から外へと体を出し、立ち上がる。足が地面を捉えた勢いのまま、朝見を見ることなく言葉を落とした。
「俺にはあんたみたいな才能がなかったんだよ」
「りょうへ……」
名前を呼びかけた朝見の声を押し込めるように乱暴な音を辺りに響かせる。ここで振り切ったところで数分後には同じ家の中にやって来るし、今日だけでなくこれから毎日学校でも顔を合わせるのだから意味はないのかもしれない。
それでも、この話に触れてほしくないということだけ伝われば――それでよかった。
――走高跳の絶対王者と呼ばれたハナエル選手との最初で最後の対決。
陸上選手として中学生の頃から注目され続けた朝見凛が、若干二十歳にして引退宣言をした大会でもある。
本来なら世界中の観客を前に行われたであろう名勝負だったが、実際の舞台は無観客の競技場であり、大会自体も公式なものではない。これはこの年に予定されていたオリンピックが一年延期となったためマスコミとスポーツメーカーが中心となり、陸上競技連盟との共催という形で開催されたものだった。出場選手はすでにオリンピックに内定していた各国選手のうち、スケジュールがつき、かつ出場を自ら志願した者に限られた。公認競技会ではないため、どんなに素晴らしい記録が出てもそれを公式の世界記録とすることはできない。それでも参加を表明した選手は多かった。
世界中の有名選手が集まって行われるというだけでも注目度は高かったが、朝見凛への期待はその中でもひときわ大きなものだった。
走高跳は高さに関係なく三回続けて失敗すると競技終了となる。どの高さから挑戦するのか、失敗後に高さを変えるのか、そのまま同じ高さに挑むのかは選手自身の選択による。バーの高さが上がるにつれ自然と残っている選手も減っていく中、朝見凛はここまで一度も失敗することなく進んでいた。跳んでいる間の滞空時間はほんの数秒の出来事であり、瞬きしている間に終わってしまうくらいの時間だ。それでも人々は画面から目を離せなかった。この一瞬に朝見凛が視聴者に見せたものを言葉に表すことは難しい。おそらく見ていた者それぞれが心に留めておくことしかできない種類の感情だったと思う。
そのときの実況者の言葉は今でもはっきりと思い出せる。「私たちは朝見凛の瞳に映る世界を――空を見せてもらっているのでしょう」彼が跳ぶたびに流れるスロー映像。それは息を呑むほど美しい光景だった。遠くの空がそのまま彼の瞳の色と重なる。朝見凛の世界そのものだった。
走高跳において跳んでいる選手が空を見られるのは、バーを越えたあとの、落下していくほんの一瞬にすぎない。下りていく自分の足の向こうに広がる景色。「跳べた」という確信が視界を広げ、瞳に空を映しこむ。簡単に見逃してしまうような、本当にわずかな時間でしかない。
けれど――朝見凛の瞳にはほんの一瞬しか映らないはずの空が常に存在していた。
勝負は大方の予想通り、ハナエルと朝見凛、ふたりの対決となった。二センチずつ刻みながらバーは上げられていく。ふたりが越えるたびに、画面の向こう側の視聴者は胸を撫で下ろし、次の勝負へと息を詰めるのを繰り返した。当時の世界記録は二メートル四十七センチであり、その記録保持者こそがハナエルであった。設置されたバーの高さはついに二メートル四十七センチになった。
朝見凛の試技、一本目。ここまで一度も失敗をしていない朝見凛が初めてバーを落とした。会場に観客がいたならば、悲鳴やため息がその場に渦巻いたことだろう。続くハナエルの試技。こちらも同じく一本目を落とした。日本中が画面の前で安堵のため息をついたであろう瞬間。けれど、続くスロー映像や実況者の言葉に緩んだ空気は一瞬にして引き締められた。伝えられたのはハナエル有利。朝見凛としては未知の高さであるから、と。
迎えた二本目。わずかに強張った朝見凛の顔をカメラが捉える。跳んだ直後は抜けたかに思われたが、わずかにかかとが触れ、バーが落下した。ハナエルの二本目も同じく最後の最後でバーが堪えきれなかった。
ともに勝負は三本目へ。画面の向こう側、助走に入るその一瞬。朝見凛が静かに息を吸い込み、表情を変えた。走り出す前、踏み切りすらしていない瞬間。けれど、それを見た人々は確信した。
――朝見凛は跳ぶ、と。
リラックスした状態から徐々にスピードが上がっていく。踏み切った次の瞬間には体が美しく弧を描く。先ほどまでのスレスレの跳躍ではない。見事なまでに空に溶け込んだ余裕のある姿。これこそまさに『陸上界のプリンス』と呼ばれる朝見凛の姿だった。これで勝負はついたかに思われたが、そこは世界王者としてのプライドだろう。ハナエルも越えてきた。息の詰まる緊張感に人々は次第に勝負の行方よりもどこまでも己の限界に挑戦し続けるふたりの姿に胸を打たれた。記録には残らない。公式な大会ではない。それなのに全力を懸けて見せてくれる、その姿にスポーツの本当の素晴らしさを見ていた。
バーの高さはついに二メートル四十九センチとなった。本来なら世界新記録となるはずの高さ。記録上は残らなくても記憶には残る。名前を刻むことはできなくても感動が消えることは決してない。勝負は再び三本目までもつれるかと思われたが、朝見凛は一本目で越えた。世界新記録。正式に認められるものではなかったが、それでも越えたことに変わりはない。
その瞬間に拳を上げた者、抱き合い喜びあった者は多くいただろう。競い合っていたハナエルでさえ思わず笑ってしまった映像が残っているくらいだ。
ハナエルはその高さを越えられなかった。朝見凛が世界新記録とともに優勝を決めたのだ。本来であればそのまま朝見凛の跳躍は続けられるはずだった。優勝を決めても記録としてはまだ挑戦できる。けれどこの大会においてはそれがなかった。事前に定められた特別ルールとして「優勝者が決まった時点での競技の終了」があったためだ。もしもあのまま朝見凛が跳び続けていたなら――誰もが思うところではあったが、失敗する姿で終わらなかったのがいかにも朝見凛らしいとも言えた。
その後、この時の映像は何度も放映され、記録ではなく記憶として残されることになる。悔しいことに、あれだけの名勝負であったにも関わらず、競技後のインタビュー映像の方が使われる機会は多かった。
一番高い檀上でメダルをかけられた朝見凛はまさに王子の微笑みでインタビューに答えていた。
――おめでとうございます。
「ありがとうございます」
――今の心境をお聞かせください。
「ここまで来られたのは応援してくださった皆さまのおかげであり、そして今日のこの記録が出せたのはハナエル選手のおかげです。彼と勝負ができて本当に嬉しいです。このような場を用意してくださったことに改めて感謝申し上げます。これで心置きなく引退することができます。ありがとうございます」
その瞬間のインタビュアーの表情は、その模様を見ていた視聴者と同じだったに違いない。一瞬何を言われたのかわからないと固まっていた。それでもそこはプロである。すぐに言葉を取り戻した。
――引退、なさるのですか?
「はい。わたくし朝見凛は本日をもって陸上界を引退します」
――あ、あの、理由をお聞かせくださいますか?
「大事な人を迎えにいかなくてはならないので」
――大事な人、というと?
「僕のお嫁さんです」
そう答えた瞬間の朝見凛の少し照れたような表情に叫び声をあげたのはうちの母さんだけではなかったと思う。
その後、朝見凛は宣言通り陸上界を引退しただけでなく、消息すら完全に絶ってしまった。選手としてだけではなく広告塔としても彼を欲していた媒体は多かったため、それからしばらくは彼の行方についての憶測的な報道がいくつも流れた。彼の日本人離れした容姿や生い立ちについての謎が人々の興味をさらに掻き立てたのだろう。
――陸上界のプリンス、朝見凛を射止めた人物とは⁉
――陸上界のプリンス、朝見凛の父親の謎を本誌が追う!
――陸上界のプリンス、母親とともに日本から姿を消す⁉
朝見凛が世の中に与えた影響は大きかったが、一年が経つ頃には世間も落ち着きを取り戻した。彼のその後を追えたところが全くなかったのも理由のひとつだろう。そうして朝見凛は――陸上界のプリンスは――伝説の存在となった。当時小学生だった俺でもここまではっきりと覚えている。それほどまでに朝見凛はすごかったのだ。そう、彼はもはや伝説の存在として語り継がれていた……ハズだった。少なくとも昨日のあの瞬間までは。
ここが職員室であることを一瞬忘れ、言葉は思考を通ることなく落ちていく。
「なんで、いる……んですか?」
かろうじて最後を受け止めた語尾は驚きと戸惑いをそのまま映していた。授業が終わりこれから部活へと向かう時間。俺は部室ではなく職員室に来ていた。ほかの部の顧問をしている先生たちはすでにこの部屋にはおらず、いるのはいつも銅像のように動かない教頭先生と、俺を呼び出した陸上部顧問の佐々木先生、そして……視線は目の前の彼と椅子に座ったままの佐々木先生を行き来する。上から下へ。下から上へ。それだけで首が痛くなりそうだった。
「なんで、って。ああ、そうか。瀬永は昨日途中で帰ったからな」
またしても『昨日』のことが掘り起こされ、ぐっと黙り込む。佐々木先生はまるっこい顔にさらに丸を足すように目尻を下げ、唇の端を持ち上げた。まるで二重丸。よほど嬉しいことなのか、先生はその二重丸を崩すことなく言った。
「今日から正式に陸上部のコーチになった朝見さんだ」
「え?」
思わず見上げてしまった俺に、朝見は――朝見コーチは「よろしく」と小さく笑った。先生が丸ならこっちは花が咲いたみたいだ。優しく細められた目に透き通るような白い肌。まっすぐ伸びた鼻筋に薄い唇がすっと伸ばされる。柔らかな表情が「春」を思わせた。この顔で微笑まれたら「……よろしくお願いします」と言うしか、ない。
絞り出すように答えれば、朝見コーチは一度細めた瞳を戻し、俺の顔をその空色に映しこんだ。ただまっすぐ見つめられているだけなのに。足元がぐらつきそうなほど吸い込まれそうになる。どうすればいいのかわからなくなり、振り切るように無理やり顔を横に向けた。すると今度は先生と目が合い、ニヤリと笑われる。
「まあ、基本的にはお前の専属になるから安心しろ」
「え?」
「婚約者が目の前でほかのヤツと仲良くしてるのを見るのはアレだろうからな」
――婚約者。
さらりと言われた言葉が衝撃となって俺は言葉を失ったが、ふたりの会話は止まらなかった。
「お心遣い感謝いたします」
「いえいえ。まあ、たまにはほかの連中もみてやってくださいな」
「もちろんです。みんな大事な遼平の仲間ですから」
名前を呼ばれたことでようやく言葉を取り戻したものの、すでに遅かった。
「え、いや、ちょ」
反論する俺の声などまるで届かない。
「いやー、よかった、よかった。お前のおかげで我が陸上部は安泰だな」
先生は嬉しくて仕方がないといった表情で、二重丸どころか三重丸の笑顔を見せていた。
どうにか今日の部活動を終え、校門へと向かう途中で呼び止められた。
振り返ればこの学校には不似合な高級車が一台。運転席の窓からもう一度「遼平」と声をかけられる。日が落ちた学校の敷地内に明かりは少ない。校門前の外灯までも距離がある。本来なら顔など判別できないところだが、俺は声をかけてきたのが誰だかわかってしまう。車自体にも見覚えがあった。駐車スペースだけは困らないのが田舎のいいところだ。こんな大きな車でさえ今朝は俺の家の前に停まっていたのだから。
「一緒に帰ろう」
返事をする前に開けられた窓から再び声がかけられる。
本当は無視してひとりで帰りたい。家でも学校でも顔を合わせることになってしまった今、ひとりでいられる時間は限られている。だけど……数分前の部活の光景を思い出し、俺はため息とともに車の方へと足を向けた。
――まさかあの朝見凛にコーチしてもらえるなんて。
憧れ。尊敬。朝見コーチへ向ける仲間の顔はキラキラと輝いて見えた。俺だって同じ立場だったなら、同じことを言い、同じ表情をしていただろう。朝見凛。陸上界のプリンス。伝説の存在。そんな人に直接教われる機会なんて奇跡としか言いようがない。素直に喜べる立場だったなら、どんなによかっただろう。
「体調は大丈夫?」
俺がシートベルトを締めるのを横目に確かめながら、朝見コーチは優しく笑った。暗い車内でも笑ったとわかるほどに柔らかな声だった。
「……まあ」
「そう。じゃあ、安全運転で行くね」
窓の外に顔を向けたまま答えた俺に朝見コーチは怒ることもなく、静かに車を発進させた。
流れていく景色は暗く、ウィンカーを出すたびに点滅する矢印とカチカチという音がやけに大きく感じられる。通学路は徒歩三十分、約二キロの道のり。信号も少なく周りには田畑が広がっている。窓を開ければ甘い花の香りを含んだ柔らかな冷たさが肌を撫でていく。
「いい香りだね」
フロントガラスを見つめたまま落とされた言葉に視線だけをちらりと動かし「ああ、ミカンの花の時期らしいよ」となるべく感情を込めずに答える。正直なところ、俺にはこの隣に座る朝見凛という人物への接し方がわからなかった。学校にいる間、部活をしている間はどんな発言をされようと『朝見コーチ』として見ればいい。あくまで生徒とコーチの関係。それ以上でもそれ以下でもないと自分の中で線を引くことができる。だけど。その場所を離れてしまったら、この関係がなんなのか途端にわからなくなる。単なる居候として見るには距離を詰められすぎていて、だからといって仲良くできるかと言われれば伝説の存在として憧れ続けてきた思いが強すぎて受け入れられない。
――俺にとって朝見凛は、ずっと目標にしてきた「憧れ」だった。
それをなかったことにはできないし、消し去ることもできない。かといって彼の言うとおりに「婚約者」になるかと問われればそんなバカな話があるかと言わざるをえない。
「この甘さはジャスミンに似ているね」
「……うん」
たった一日があまりにも長く。あまりにも早く過ぎてしまった。自分の身に起きている出来事のはずなのにどこか他人事のような気すらしてきてしまう。本当にここにいるのは、あの『朝見凛』なのだろうか。
「どうかした?」
赤信号に合わせてゆっくり車を停めた朝見が振り返り、目が合ってしまったことで自分がずっと見つめてしまっていたことに気づく。薄く差し込む外灯の頼りない光であっても、その顔の美しさが消えてしまうことはない。昼間の空を思わせる瞳の色が深みを増し、一瞬で吸い込まれそうになる。俺は無理やり顔を背けた。
「なんでもない」
ズボンのポケットに入れていたスマートフォンを俺が取り出すのと「そう」と小さく笑った朝見が車を発進させたのはほぼ同時だった。
いつの間にか変わっていた青信号を抜け、ミカンの花の香りを車内に溶かしながら、車は走っていく。手にした画面からの光は強く、乗り物に乗っているときに操作すると酔ってしまうのであまり気は進まなかったが、このまま会話を続けるよりはと指を動かした。
朝に見たときよりも増えてしまった数字をタップする。表示されたメッセージアプリに並ぶ名前のほとんどは同じ学校のやつらだ。さすがに現場に居合わせた陸上部のメンバーからはなかったけど。クラスのグループはすさまじいことになっていた。昨日の出来事をテレビやネットニュースで知り、騒いでいたのだろう。ここにメッセージを送っているやつらも、個別で連絡をくれているやつらも基本的には教室で会っている。返信は不要と判断し、通知件数を元に戻すため既読表示だけつけていく。
中身を読まずに機械的に作業していたので一瞬そのまま閉じそうになったが、表示されているメッセージのひとつを確認した俺は指を止めた。
「鷹人……」
無意識に零れた名前が脳裏に大きな口を開けて笑う親友の顔を映しだす。送られてきた文字を追ううちにその顔は心配そうにこちらを覗き込む表情へと変わっていき、これにはちゃんと返事をしなくてはと頭が働きだす。――鷹人は、鷹人だけは違う。ほかのみんなのような単なる好奇心ではなく俺のことを心から心配してメッセージをくれたのだと信じられる。中学卒業に合わせて今の場所に引っ越してきてしまったので、直接会うことはなくなってしまったけれど。それでも鷹人とは小学校のときからの付き合いだ。簡単に切れたりはしない。
こちらへと向けられていた静かな視線に気づくことなく、俺は鷹人の顔を思い浮かべながら文字を並べていく。送信ボタンをタップしたところで車が停まり、顔を上げるともう家の前だった。
「僕は車を停めてくるから、遼平は先に家に入っていて」
柔らかく笑いかけてきた朝見に、シートベルトを外しながら振り返り「ありがとうございました」と軽く頭を下げる。伝えるべきことは伝えたので、このふたりだけの空間から一刻も早く逃げようとドアハンドルへと手をかけたときだった。
「遼平も走高跳をしていたんだろう?」
それは決して大きな声ではなかった。窺うような空気でも、労わるような色でもなかった。ただ静かに、ただまっすぐに俺へと向けられた声だった。ただ事実を確かめているだけ、なのだろう。頭ではそう理解できたけれど、一度揺れてしまった心は簡単には止まってくれない。声は震えを隠すように強張った。
「誰に聞いたんだよ」
「……大事な婚約者のことだから。それくらい調べてあるよ」
先ほどよりも優しさを混ぜた声が耳に触れ、思わず振り返りそうになったが、俺はかけていた指に力を入れドアを開けた。すばやく助手席から外へと体を出し、立ち上がる。足が地面を捉えた勢いのまま、朝見を見ることなく言葉を落とした。
「俺にはあんたみたいな才能がなかったんだよ」
「りょうへ……」
名前を呼びかけた朝見の声を押し込めるように乱暴な音を辺りに響かせる。ここで振り切ったところで数分後には同じ家の中にやって来るし、今日だけでなくこれから毎日学校でも顔を合わせるのだから意味はないのかもしれない。
それでも、この話に触れてほしくないということだけ伝われば――それでよかった。
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