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第16話異世界部の手伝い
しおりを挟むシーン1:異世界創作部からの依頼
午後の部室、隼人、サフウ、光、西風、そして梅子がそれぞれ自分の時間を楽しんでいた。サフウは天気観測のデータを見直し、光は窓辺で雑誌を読み、梅子は静かにお茶を楽しんでいた。その平和な空間を一気に壊すように、部室の扉が勢いよく開け放たれる。
「お願いがあります!」
飛び込んできたのは、異世界創作部の部長・田辺だった。彼は少しだけ乱れた眼鏡を直しながら、興奮した様子で息を切らしている。
「何?いきなり大声でどうしたの?」と、サフウは興味津々に尋ねた。
「僕たちの作品に、リアルな異世界の天気がどうしても必要なんです!でも、僕たちだけではどうしても再現できなくて…ぜひ気象部の力を貸してください!」と田辺は勢いよく頼み込んだ。
「異世界の天気をリアルに、ですって?」サフウはニヤリと笑い、腕を組んだ。「面白いじゃない。やりがいがありそうだわ。異世界の天気を作るなんて、まさに気象部の腕の見せどころね!」
隼人は少し眉をひそめ、「おいおい、そんな簡単に引き受けちゃっていいのか?異世界の天気って、どうやって作るんだよ?」と心配そうに突っ込んだが、サフウは自信満々だ。
「問題ないわ!私に任せなさい、隼人!」とサフウは手を叩いて、すぐに計画を始めた。
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シーン2:異世界の天気作り
田辺は興奮した様子で話を続ける。「僕たちの異世界では、巨大な浮遊大陸があったり、火山地帯が隣接する草原があったりするんです。そういう特殊な環境にリアルな天候を反映させたいんですよ!」
サフウは、目を輝かせて「いいわね!空想と科学の融合、それこそが私たち気象部の真骨頂よ!」と息を弾ませた。
隼人は頭をかきながら、「いやいや、これは一筋縄ではいかないだろ…異世界の天気ってなんだよ、俺たちは普通の気象部なんだぞ?」と不安げに言ったが、サフウのテンションは最高潮だ。
「そんなことないわ、隼人!これは最高の挑戦よ。異世界の気象をリアルに表現するなんて、まるで私たちが神様になったみたいじゃない!」とサフウは堂々と答えた。
光がその会話に加わり、「お兄ちゃん!異世界の天気ってなんかワクワクするよね!私、雷の嵐が空を切り裂く感じ、好きなんだ!」と無邪気な笑顔を見せた。
隼人はその元気な姿に苦笑いしながら、「お前はいつだって盛り上がってるな…」と、ため息をついた。
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シーン3:異世界の天気シミュレーション
「まずはシミュレーションから始めましょう!」とサフウは手を叩いた。西風は冷静に、「異世界だって言っても、基本的には物理法則に従うんだろ?風の流れとか、雲の生成とかは現実と同じだ。特殊な要素をどう加えるかが鍵だな」と指摘した。
「そうね。異世界ならではの現象をどうやって作るか…たとえば、魔法によって生まれた雷雲とか、そういうのを考えると面白そうよね」とサフウが答える。
梅子も微笑みながら、「異世界の雨って、どんな感じになるのかな。魔法の影響で涙のように光る雨とか、素敵じゃない?」と夢見るように言った。
「なるほど、なるほど」と田辺は大きく頷き、メモを取る手が止まらない。
隼人はその様子に少し引きつった笑顔を浮かべ、「おい、これ本当にやるのか?なんか壮大すぎないか?」と、またしても心配の種を口にしたが、誰も耳を貸さない。
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シーン4:異世界部への天気講座
「まずは異世界部の皆さんに天気の基礎を教えてあげるわ。そうすれば、彼らももっと具体的なイメージを持てるはずよ」とサフウが提案した。
「天気講座ですか!?ありがとうございます!」と田辺は感激し、頭を下げた。
西風が苦笑しながら、「おいおい、ここまで熱心にされると逆にプレッシャーがかかるな…でもまぁ、悪くないか」とつぶやいた。
光も勢いよく手を挙げて、「お兄ちゃん、私も講座に参加するよ!異世界の天気、私もちゃんと理解して手伝うからね!」と笑顔で言う。
隼人はその姿に少し呆れながら、「いや、別にお前が理解しなくてもいいんだけどな…」とつぶやきながらも、妹の熱意には逆らえない。
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シーン5:異世界の天気構築
「じゃあ、まずは火山地帯の天気から始めましょう。火山の近くでは、熱風が吹き荒れ、時折砂嵐が発生するわ。それに、火山活動によって大気に魔法のエネルギーが漂っている…こんな感じでどう?」とサフウが提案すると、西風も「それで行こう!砂嵐に巻き込まれて視界がゼロになるなんて、最高のハプニングだ」と即賛成。
隼人は再び頭をかきながら、「俺たち気象部なのに、なんでこんなに異世界のことまでやってるんだ?」と呆れた様子で言った。
光が隼人の手を引き、「だって、お兄ちゃん!これは異世界部とのコラボだよ!私たちが協力すれば、最高の異世界ができるんだから!」と元気よく言う。
隼人はその元気な言葉に少し心を和ませ、「まぁ、やるからには楽しもうってことか」と、気持ちを切り替えることにした。
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こうして、気象部と異世界創作部のメンバーたちは手を取り合い、異世界の天気を作り上げていく。それは単なるコラボレーションではなく、彼らの想像力を最大限に活かした新たな挑戦だった。
異世界創作部と気象部の共闘
異世界創作部の部長、田辺が手にした分厚いノートをバサッと机に広げ、その場にいた全員に見せた。ノートにはぎっしりと書き込まれた文字と図が無数に並び、あたかも田辺の情熱がそのまま詰め込まれたかのようだった。
「これがラボル山脈だ!」田辺は誇らしげに言い、さらに声を高める。「この山脈は異世界で最も重要な交通の要だ。冒険者たちが山を越えるためには、天候をどうにかしないといけない。嵐や雪崩、霧、いろいろな要素が絡み合って、戦略に大きな影響を与えるんだ!」
隼人はその熱量に一瞬圧倒され、思わず一歩後退した。机の上に置かれたノートの書き込み量を見て、隼人は内心で呟いた。
「いや、すごいな…。そこまで天気にこだわるのかよ。普通、そこまでは考えないだろう。」
隼人の呆れ半分、感心半分の反応を見た田辺は、さらに鼻息を荒くした。
「そうさ!天気が物語を動かすんだ!ラボル山脈を超えるには、天候の変化を読まなければならないんだ!」
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シーン2:副部長の補足説明
田辺の隣に座っていた副部長が、静かに話に加わった。彼もまた、ノートに目を落としながら、田辺のアイデアをさらに補足した。
「実際、このラボル山脈の標高はかなり高いんです。天候が頻繁に変わるため、嵐や雪崩が発生するリスクは避けられません。それを踏まえた上で、冒険者たちがどのタイミングで進むか、どうやって嵐を回避するかが、物語の鍵になるんです。」
隼人はその言葉を聞きながら、さらに驚きを感じていた。異世界の天気というファンタジー要素に、ここまでリアリティを追求するとは思っていなかった。
「マジでそこまでリアルにするのか…?」と、隼人はぼそっと呟いたが、その興味は確かに引きつけられていた。
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シーン3:サフウのやる気
田辺の熱意を感じ取った気象部の部長、サフウは、さらに興味を持ち始めた。異世界の天気を作り上げるという新しい挑戦に、彼女のやる気が一気に高まっていく。
「いいじゃない、そのラボル山脈!」サフウは目を輝かせて言った。「山岳地帯の天気変化なんて、現実でもすごく複雑だし、それを異世界でやるなんて面白そうだわ!」
「本当ですか!?」田辺は驚きつつも嬉しそうに顔を上げた。「気象部の皆さんが協力してくれるなら、きっと最高の異世界が描けます!本当にありがとうございます!」
「当然よ!」サフウは胸を張って頷いた。「私たち気象部が手を貸せば、どんな異世界だって最高の天気にしてみせるわ!」
隼人はサフウの自信満々な態度に少し不安を感じつつも、その場の勢いに逆らえず、静かに見守るしかなかった。
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シーン4:西風のファンタジー要素
西風は田辺のノートを覗き込み、冷静に口を開いた。「まぁ、異世界ってことでリアルさもいいけど、ファンタジー要素も必要だろ?たとえば、山脈の上空を魔法の雲が覆っていて、時々雷が降り注ぐ。しかもその雷は普通じゃなく、魔法を帯びてるとか、どうだ?」
田辺はその提案を聞いて、目をさらに輝かせた。「それだ!それなら、物語の展開に大きな影響を与える天気が作れる!」
即座にノートに書き込む田辺。その様子を見て、隼人はまたしても呆れつつ、少し笑ってしまった。
「お前ら、ほんとに楽しんでやってるな…」と、隼人は半ばあきらめたように言い、手伝うことに決めた。
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シーン5:気象部の協力体制
こうして、異世界創作部と気象部のコラボレーションは順調に進み始めた。サフウを中心に、光や梅子、西風までもが次々とアイデアを出し、異世界の天気システムがどんどん形作られていく。
光は「嵐の日には雷が空を切り裂き、まるで空そのものが怒っているみたいな雰囲気が出るとカッコイイよね!」と、興奮気味に話す。
梅子は「その雷が大地に魔力を注ぎ込むようにして、冒険者たちが危険を避けるために戦略を練るとか、どうかしら?」と、控えめながらも提案する。
「そうだな、それもいいな」と西風も同意し、さらに発展させていく。
隼人はその様子を見ながら、呆れたように微笑んだ。「ほんとに、異世界の天気をリアルに作り上げるって…お前ら、本気なんだな。」
しかし、彼の心の中では、奇妙なワクワク感が湧き上がっていた。
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シーン6:異世界天気シミュレーション
「よし、異世界の天気シミュレーションを作り上げたら、一度ラボル山脈を中心にテスト運用してみましょう!」田辺は自信満々に宣言した。
隼人は少し後退りしながら、「まぁ、ここまで来たなら最後まで付き合うしかないか」と、肩をすくめつつ、気象部の一員としてプロジェクトに本腰を入れる決意を固めた。
サフウはその姿を見て、「そうよ、隼人!私たち気象部がいれば、どんな天気だって作り出せるわ!」と自信満々に笑顔を見せた。
こうして、気象部と異世界創作部の共同作業によって、異世界の天気はますます現実味を帯び、壮大な物語を支える重要な要素として形作られていく。
「異世界の天気を作るなんて、こんな面白いプロジェクト、滅多にないわ!」とサフウが言い放ち、全員の気持ちが一つになった。
気象部と異世界創作部の新たな挑戦は、これからも続いていく──。
光の暴走
田辺が異世界の天候シミュレーションを進めている最中、光のテンションはますます高まっていった。彼女はいつもと違い、隼人に少しだけ褒められたことで、すっかり舞い上がってしまった。
「お兄ちゃんが褒めてくれたー!もっと頑張っちゃう!」と叫び、光はさらに気象データに集中し始めた。まるで無邪気な子供のように、彼女は次々と高気圧をシュミレーションに送り込んでいく。
その結果、ラボル山脈周辺の天候が急激に変わり始めた。シミュレーション内では、もともと穏やかだった天候が突然荒れ狂い、激しい嵐に変わっていく。雲が渦巻き、山脈の頂上付近で雪崩が発生する様子が、リアルタイムでモニターに表示されていた。
隼人は驚きの表情で画面を見つめ、「ちょ、ちょっと待て!なんだこれ!?こんな天気、シュミレーションになってないぞ!」と焦りながら叫んだ。
サフウもすぐにモニターに目を向け、鋭い声で光を叱った。「光!あんた、張り切りすぎよ!これじゃ高気圧が強くなりすぎて、天気が完全に崩れてるじゃないの!まったく、お兄ちゃんに褒められたぐらいで、そんなに高気圧を送り込まないで!」
西風は肩をすくめ、苦笑いを浮かべながら言った。「やれやれ、光が褒められるといつもこうなるんだよな。これじゃシュミレーションが台無しだぜ。『お兄ちゃん現象』ってやつだ。」
光は一瞬、自分が何をしてしまったのか分からずキョトンとしていたが、すぐに自分のせいで天候が崩れたことに気づき、慌てて手を止めた。「え、えーと…ごめんね、お兄ちゃん。頑張りすぎちゃったみたい…」
隼人は手を頭の後ろに回し、ため息をつき
隼人は手を頭の後ろに回し、ため息をつきながら言った。
「まったく、お前って本当に張り切りすぎなんだよ。でもまぁ、そんなところも悪くないけどさ。」
その言葉に、光は少し照れたように笑顔を浮かべ、「てへへ、次はもっと気をつけるね、お兄ちゃん!」と元気よく答えた。
サフウは真剣な表情を崩さず、モニターに目をやりながら指摘した。「これじゃラボル山脈の気候がめちゃくちゃよ。光、あんた張り切りすぎたせいで高気圧が強くなりすぎて、天気が完全に崩れてるじゃない!すぐに修正しなきゃ。文化祭までに間に合わせないと!」
西風は肩をすくめ、苦笑いを浮かべていた。「やれやれ、これが『お兄ちゃん現象』ってやつか。光が褒められると、いつもこうなるんだよな。これじゃシミュレーションが台無しだぜ。」
光は一瞬キョトンとしていたが、自分のせいで天候が荒れたことに気づき、慌てて手を止めた。「え、えーと…ごめん、お兄ちゃん。頑張りすぎちゃった…」
隼人は手を振って、「いいよ、気をつければ問題ないさ。でも次はもう少し慎重になってくれよな」と優しく声をかけた。
その後、田辺部長は大きく頷き、興奮気味に叫んだ。「有りだよ!これだ、リアルでも天候は穏やかだと思ったら、急に荒れることもあるしな!このラボル山脈の天候が不安定なのは、むしろ物語に深みを与える。予測を超える異常気象として、設定に組み込もう!」
その熱意に、隼人は驚いた顔を見せた。「いやいや、そんな無理やりな展開で本当にいいのかよ?」
だが田辺は隼人の疑問には耳を貸さず、手元のノートに新たなアイデアを書き込んでいく。「いいんだよ、隼人くん!リアルな天候っていうのは予測不能なものだ。だからこそ、冒険者たちもその不確実性に立ち向かう必要がある。それこそが物語の醍醐味なんだ!」
サフウも、呆れながらもその熱意を受け入れ、「まぁ、そこまで言うなら、私たち気象部も協力するしかないわね。ラボル山脈の天候シミュレーションをもう一度精密に作り直すわよ」と、意気込んでいた。
西風も笑いながら言った。「これでまた俺たちの気象知識が活かされるってわけだな。なんだか面白くなってきたじゃないか。」
光も勢いを取り戻し、「お兄ちゃん、次はもっと慎重に頑張るからね!」と明るく叫んでいた。
涙雨も静かに微笑みながら、「不安定な天気もリアルな冒険の一部。物語がもっと豊かになるわね」と同意した。
隼人はため息をつきつつ、皆が熱中している様子を見て、半ば諦めたように肩をすくめた。「まったく、みんな自由すぎるだろ…でもまぁ、異世界の天気作りなんて、こんな風に盛り上がるもんだよな。」
田辺部長はにやりと笑い、「これで文化祭の発表はさらに面白いものになるぞ!冒険者たちがこの予測不能な天候にどう対処するか、それを楽しみにしていてくれ!」と、自信たっぷりに宣言した。
こうして、異世界部と気象部のコラボレーションはさらに勢いを増し、文化祭に向けて全員の熱意が一層強まっていくのだった。
隼人は頭を抱えてため息をつきながら、「いや、あるだろ。天気のプロたちがここにいるじゃないか」と、サフウたち気象部のメンバーを指しながら言った。
その言葉を聞いた田辺は、目を輝かせて、「プロだって?面白いじゃないか!そんなプロたちが見て認めてくれたら、それこそ最高の誉れだろう!」と興奮気味に言った。
隼人は頭を抱え、「いやいや、そういう意味じゃなくて…もうダメだ、こいつ前向きモンスターだな、田辺は」と半ば諦めたように呟いたが、田辺は気にも留めず、さらに熱意を燃やしながら続けた。
「よし、それならなおさら、このシミュレーションをもっと完璧にして、天気のプロたちにも認められるものにしてやる!さあ、やるぞ!」と力強く宣言した。
サフウや西風、光、涙雨は思わず顔を見合わせながら、苦笑いを浮かべた。「まったく、田辺って本当にポジティブすぎるわね…」とサフウが呟いたが、その場の空気はすっかり田辺の情熱に飲み込まれていた。
隼人は再びため息をつきながら、「結局、田辺のペースに巻き込まれるんだな…」とぼやきながらも、田辺の情熱に感心せざるを得ない自分を感じていた。
田辺は異世界部の総括として、集まった部員たちの前に立ち、感謝の言葉を述べ始めた。
「皆さん、今日の異世界シミュレーションに参加してくれて、本当にありがとうございます!今回のラボル山脈の天候シミュレーションは、気象部の協力なしには成し得なかったことです。そして何より、僕たち異世界部の想像力が現実と結びつき、異世界の冒険がますますリアルになりました。これは僕たちが目指すべき冒険の未来そのものだ!」
部員たちは彼の熱意に圧倒されつつ、次第に胸が高鳴ってきた。田辺はさらに続けた。
「この活動を通じて、僕たちは異世界のリアルさを追求し、無限の可能性を持つ世界を創り出しました。気象部の協力もあって、ラボル山脈の気象が想定を超えて荒れるなど、予想外の展開もありましたが、それがまさにリアルな世界を作るための重要な要素なんだと再確認しました!」
部員たちに向かって彼は大きく頷きながら、感謝の言葉を述べる。
「最後に、このプロジェクトの成功に貢献してくれた皆さんに感謝を込めて、報酬として掲載権と食事券を配布します。掲載権は文化祭での異世界即売会にて、僕たちの成果物をしっかりと発表します。そして食事券は…まあ、努力のご褒美だね!」
田辺は笑顔で、部員たちに食事券を配り始め、皆の顔に喜びが広がっていった。
「これからも僕たちは、もっとリアルな異世界を創り続ける。今日の成果をもとに、さらなる高みを目指していこう!引き続き、みんなの協力をよろしく頼む!」と田辺は力強く締めくくった。
その後、異世界部と気象部のメンバーたちは、さらに熱意を燃やし、文化祭に向けて本格的に動き始めた。
異世界部が手掛けた同人誌『ラボル山脈の嵐と冒険』は、文化祭の即売会で驚くほどの勢いで売れた。会場に並べられた同人誌が、次々と手に取られ、わずか数時間で完売。飛ぶように売れていった理由は、単純に物語のリアルさやシミュレーションの精密さだけではなかった。
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理由:サフウと光のコスプレ効果
即売会当日の朝、サフウと光は異世界部のヒロインコスプレに挑んでいた。特にサフウは、同人誌のタイトルヒロインそのままのファンタジー風衣装に身を包み、ブースの前で堂々と立っていた。彼女の装いは、そのキャラクターが持つ強さと美しさを見事に体現し、まるで異世界から本当に現れたかのように来場者の視線を集めていた。
「異世界部の皆さん、よろしくお願いします!」サフウは笑顔を見せながら、来場者に軽く手を振る。その堂々とした態度と美しい姿に、多くの来場者が足を止め、写真を撮りながらブースを訪れた。サフウは恥ずかしがるどころか、いつもの自信に満ちた態度で人々を惹きつけていた。
一方、光は元気いっぱいの笑顔を見せながら、気象部のプラカードを持ってブースをアピールしていた。彼女は持ち前の明るさを最大限に発揮し、来場者に積極的に話しかけていた。
「お兄ちゃん、見て!すごい人だよ!」と、光は興奮気味に隼人へ笑いかけた。
「おいおい、あんまり調子に乗るなよ…」と、隼人は苦笑しながらも、その盛り上がりに少し誇らしげな気持ちを感じていた。
光の無邪気な笑顔とその元気な姿は、多くの来場者の心を掴んで離さなかった。彼女の明るい性格が、ブース全体の雰囲気を一層盛り上げ、販売を後押ししていたのは間違いない。
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販売のピーク
販売が始まってからしばらく経ち、ブースには人の列が途切れることなく続いた。サフウのクールで美しいヒロイン姿、そして光の元気で無邪気なアピールのおかげで、異世界部のブースは常に賑わっていた。来場者たちは、同人誌の内容に興味を持ちつつも、コスプレの魅力に引き寄せられ、写真撮影のついでに購入する人も多かった。
その様子を見て、西風が苦笑いを浮かべながら言った。「結局、異世界のリアルさも大事だけど、こういうイベントってやっぱり外見も勝負なんだな。」
隼人も同意しながら頷いた。「まぁ、俺たちの気象シミュレーションがなかったら、物語自体はここまでリアルにならなかったかもしれないけどな。それにしても、あの二人のおかげで販売は大成功だな。」
光が隼人の言葉に反応して、「お兄ちゃん、私たちすごいでしょ!」と自信満々に言い、隼人は彼女の頭を軽く撫でながら、「あぁ、よくやってるよ」と微笑んだ。
サフウも彼女なりに満足げな表情を浮かべ、「これだけの反響があるなら、異世界部としても成功と言えるわね。」と、冷静に成果を分析していた。
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結論:異世界部の成功
異世界部の同人誌は、リアルなシミュレーションとキャラクターたちの魅力、そしてサフウと光のコスプレ効果が相まって、予想以上の成功を収めた。同人誌が完売するや否や、ブースのメンバーたちは大きな達成感に包まれた。
田辺部長はその様子を見て、満足げに微笑みながら、「やっぱりこれがリアルな異世界の力だよ!」と叫んだ。その声には、ただの同人活動以上の熱意が感じられた。
西風も感心しながら、「まさかここまでの反響があるとは思ってなかったけど、田辺、お前やっぱりすげぇな」と言い、田辺は照れくさそうに笑いながら、「みんなのおかげだよ。俺一人じゃこんなに上手くいかなかった」と応じた。
隼人はそのやり取りを見て、懐かしそうに目を細めながら呟いた。「まさか田辺が本当に作家になりやがるとはな…。あいつ、あの骨太でダサカッコいい異世界本、マジで売れたんだよな。そして、なんと舞台化まで決まるとは…」
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異世界部の未来
その後、田辺の書いた異世界ファンタジー小説『ラボル山脈の彼方で - 天空の冒険者たち』は、リアルな天気設定や登場人物の深い心理描写が特徴的で、読者から高く評価されていった。さらに、出版された小説は舞台化が決定し、そのニュースが瞬く間に異世界部のメンバーたちに広がった。
グループチャットが賑わい、興奮の声が次々と上がる。
光はメッセージを見て、興奮気味に「お兄ちゃん!これってアニメ化決定のこと!?」と叫び、隼人は「いや、舞台化だよ。でも、すごいじゃないか…」と答える。
サフウもその知らせに驚き、「これはすごいわ!異世界部、ついにここまで来たのね。田辺の情熱がついに報われたのよ!」と感嘆の声を上げた。
涙雨もにこやかに、「夢を叶えた田辺さん、本当に素晴らしいですね」と心から祝福の言葉を贈った。
西風も笑いながら、「あいつ、まさか本当に作家になって、しかも舞台まで持っていくとはな…信じられないけど、やっぱり面白い奴だよ」と感心した様子だった。
隼人はラインのメッセージを見つめながら、少し照れくさそうに「やれやれ、あいつの努力をバカにできないな。マジで作家になりやがったんだから、認めざるを得ないな」と呟いた。
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田辺の成功
田辺が書いた骨太でダサカッコいい異世界ファンタジーが、ついに異世界部の同人誌から飛び出し、舞台化という新たなステージへと進んだ。彼の情熱と異世界部のメンバーたちの努力が実を結び、物語はさらに広がっていく。
「俺たち、異世界部で一緒にやってたことがこんなに大きくなるなんて、あの時は想像もできなかったよな…」と隼人は遠くを見るような目で呟き、かつての異世界部での活動を思い返した。
田辺が異世界にかけた情熱は、もはや一部の人間だけのものではなく、多くの人々に広がり、異世界部の仲間たちと共に新たな冒険を切り開いていくこととなった。
オマケ: サフウの独白 ー まさかの舞台化決定について
サフウは、田辺の異世界ファンタジー小説が舞台化されるというニュースを聞いたとき、思わずスマホの画面を見つめたまま呆然とした。グループチャットが次々と盛り上がる中、彼女だけは少し距離を置いて、その状況を静かに見守っていた。
「まさか…本当に舞台化まで行くなんてね…」
心の中で呟きながら、サフウは少し微笑んだ。異世界部に参加した当初、自分がここまで本気で取り組むとは思っていなかった。最初はただの気象部の活動の一環だと思っていたし、田辺が熱心に異世界の天気について語る姿を見て、内心では半ば呆れていた部分もあった。
「この熱意、いったいどこに向かうのかしら?」なんて思ったこともあった。
だが、田辺の情熱に引き込まれるうちに、自分も次第にその世界に魅了されていった。天気をシミュレーションするという単純な作業だったはずが、いつの間にか自分も異世界の住人になったような気持ちで取り組んでいた。
「結局、私も巻き込まれたわね…」
それでもサフウは、田辺の夢が一つの形になり、それが多くの人々に評価されているという事実を、素直に誇らしく思っていた。
「田辺がこんなにもやり遂げるなんて、少しは見直したかもね。いや…もっと早く気づいていたかも。あの真剣な顔を見て、私もつい本気になったんだもの。」
サフウはスマホをポケットにしまい、ふと窓の外を見た。秋の空は澄んでいて、まるで田辺が作り上げた異世界の天候のようにどこか壮大な感じがした。自然と心が落ち着き、静かな感動が胸に広がっていく。
「これが、私たちの手で作り上げた異世界…」
舞台化が決まったことで、異世界部が次にどんな冒険を繰り広げるのか、サフウにはまだわからない。しかし、一つだけ確かなことがある。
「どこまで行けるか、楽しみになってきたわね。」
そう心の中で呟くと、サフウは軽く肩をすくめて微笑んだ。
サフウが窓の外を眺めながら静かに微笑んでいると、後ろから隼人の声が響いた。
「おい、サフウ。お前、忘れてるぞ?お前は異世界部じゃなくて、気象部の部長だろ?」
その突っ込みに、サフウは一瞬ハッとしたように振り返る。隼人は腕を組み、少し呆れたように彼女を見つめていた。
「確かに、田辺の熱意に引き込まれたのはわかるけどさ…異世界の天気とか、すっかり自分の世界にしちゃってるじゃないか?」
サフウはその言葉に、一瞬ため息をつき、苦笑いを浮かべた。「まぁね…異世界の天気を作るなんて、私にとっても新しい挑戦だったし、つい本気になっちゃったのよ。でも、そう言われると、私は確かに気象部の部長だわね。」
隼人は笑いを堪えながら、「まったく、異世界のことばっかりで、気象部のことを忘れてるんじゃないかって心配だったぞ。」と、茶化すように言った。
「それもそうね。でも、異世界の天気だって、私たち気象部の活動の一環じゃない?天気をシミュレーションするのは気象部の得意分野だし、それを異世界に応用したってだけよ。」
サフウは自信満々にそう答えると、隼人は肩をすくめて「まあ、確かにそうかもしれないけど、やっぱり異世界に染まりすぎだろ…」と笑いながら頭をかいた。
サフウは少し照れくさそうにしながらも、「そうね…でも、楽しかったわ。異世界でも現実でも、天気は変わらないってところが面白いのよ。」と続けた。
「お前がそう言うなら、いいんじゃないか。でも、気象部の部長ってこと、忘れるなよな。」隼人は笑いながら、もう一度念を押した。
サフウは微笑みながら頷き、「もちろん。気象部のことも、ちゃんとやってるわよ。」と、再び外の空に視線を戻し、どこか遠くの未来を見つめるような眼差しをしていた。
エンドロール
夕暮れの空がオレンジ色に染まり、サフウと隼人は一緒に学校から帰る道を歩いていた。いつも通りの静かな帰り道。しかし、今日はどこか違う雰囲気が漂っていた。
「ねぇ、隼人…」サフウが突然、話しかける。
「なんだよ?」隼人は、ポケットに手を突っ込みながら、ぼんやりと前を見据えていた。
サフウはしばらく黙った後、少し顔を赤らめながら、照れたように言った。「もしさ、気象部で広報誌とか出せたら、私たちのシミュレーションとか…それこそ、異世界の天気とか、小説にしてみてもいいかもね?」
その言葉に隼人は驚き、サフウを見つめる。「お前が…小説?」
サフウは少し口を尖らせ、「なによ、その驚き方。あんたには無理だと思ってんの?」とツンとした態度を見せる。
隼人は慌てて手を振り、「いや、そうじゃないけど…お前がそんなこと言い出すなんて、ちょっと意外でさ。」
サフウはぷいっと顔を背けながら、「べ、別に意外でもなんでもないわよ!だって、私たち気象部が作った天気シミュレーションって、本当にリアルなんだから、それをストーリーにして発表すれば、きっとみんな驚くに決まってるわ!まるで異世界の冒険者になった気分にさせてやるんだから!」
隼人はその言葉を聞いて、思わず苦笑した。「まるで、なんかの大冒険みたいだな…さすがサフウ、涼宮ハルヒのごとくノリノリだな。」
サフウは目をそらしながらも、小さく笑みを浮かべた。「ふん、別に照れくさくなんかないわよ。まぁ、あんたがどう思うかは知らないけど…でも、広報誌で小説出すなんて、ちょっと面白いかもって思っただけよ。」
隼人はその姿を見て、どこかほっとしたように笑う。「なんだかんだ言って、やっぱりお前はいつも何か新しいことを考えてるんだな。でも、悪くないアイデアかもな。異世界の天気、広報誌で話題になるかもしれないぞ?」
サフウは自信ありげに頷いた。「もちろんよ!私たちの気象部がやったこと、ちゃんと世に出して評価されるべきだわ。異世界でも、現実でも、天気は重要なんだから!」
夕日が二人を包み込み、静かな帰り道がいつも以上に温かい空気に満たされた。
サフウは少し歩いた後、ふと立ち止まり、振り返って隼人を見つめた。そして、少し頬を赤らめながら、ツンとした表情でこう言った。
「ま、まあ…あんたが手伝いたいって言うなら、別に拒まないけど。私一人でも十分やれるけどさ…その、ちょっとくらいは手伝ってもらってもいいわよ?」
隼人はその言葉に驚きながらも、微笑んで答える。「お前、本当は俺に手伝ってほしいんだろ?」
「ば、馬鹿!そんなわけないでしょ!」サフウは慌てて顔をそむけ、さらに声を張り上げた。「あんたが何もしないでボーっとしてるから、仕方なく言ってあげてるだけなんだからね!勘違いしないでよ!」
そのツンツンした様子に、隼人は思わず笑いをこらえきれず、ふっと笑ってしまった。「はいはい、了解。サフウ様の命令に従って、ちゃんと手伝わせてもらうよ。」
サフウは顔を真っ赤にしながら、「そ、そうよ。それでいいのよ…ほんと、馬鹿なんだから…」と、小さくつぶやいた。
夕日が沈む空の下、二人の足音が静かに響き、帰り道は少しずつ夜の闇に包まれていった。ツンツンしながらもどこか嬉しそうなサフウの姿を横目に、隼人は心の中で笑みを浮かべながら、彼女に付き添って歩き続けたのだった。
隼人は苦笑いを浮かべながら、「はいはい、わかったよ」と軽く肩をすくめて歩き始めた。その仕草には、どこか投げやりな感じもあるが、二人の間に漂う空気は穏やかだった。
夕方の柔らかな光が二人の影を長く引き、涼しい風が通り抜ける。鳥のさえずりが遠くから聞こえ、隼人とサフウは歩調を合わせながら帰路に就いていた。
「それにしてもさ、異世界部のあの情熱、どこから湧いてくるんだろうな。まるで俺たちが本当に異世界にいるかのように語るし…」隼人は空を見上げながらぽつりと呟いた。
「ふふん、あの熱意が大事なのよ。私たち気象部だって、ただデータを並べるだけじゃなくて、もっと夢を持たなきゃダメなのよ!」サフウは胸を張って言い返したが、その言葉にどこか照れが混じっているのを隼人は見逃さなかった。
「まあ、そうかもな。でも、サフウ、お前もその熱意に引っ張られてんじゃないか?」隼人はからかうように言った。
「なっ!引っ張られてなんかないわよ!私はただ、気象の知識を活かしてるだけで、あいつらの情熱に流されたわけじゃ…!」サフウは真っ赤な顔で即座に否定したが、その表情は明らかに動揺している。
「わかった、わかった。お前がそう言うならな。」隼人は少し笑って、歩みを進める。二人の間に一瞬、沈黙が訪れるが、それは気まずいものではなく、どこか心地よい静けさだった。
その時、後ろから軽やかな足音が聞こえてきた。振り返ると、雷堂が大きな声で二人に呼びかけていた。
「おーい!隼人、サフウ!一緒に帰ろうぜ!」彼女は元気いっぱいの笑顔を浮かべながら駆け寄ってきた。
サフウの表情が少し曇るのが、隼人にははっきりと見て取れた。「あぁ、雷堂か…なんで今来るのよ…」小さな声で呟くサフウは、明らかに苛立っているようだった。
雷堂が合流すると、三人で歩き出す。彼女は自分が参加している陸上部の話を楽しそうに話し始め、最近の大会での成績や、今後の練習について語り続けた。
「そうそう、最近の練習メニューが結構ハードでさ、気象部で何かデータを取ってもらえたら、もっと効率的なトレーニングができるんじゃないかって思うんだよね!」雷堂は嬉しそうに提案したが、サフウは少しうつむいたままだった。
「まぁ、気象データを使ったトレーニングか。確かに興味深いな。」隼人は興味を示しながら雷堂の提案を肯定した。
「サフウ、どう思う?」隼人が声をかけると、サフウは少し不機嫌そうに顔を上げた。
「別に…それもいいかもしれないけど、私は気象部の本来の仕事に集中したいのよ。陸上部のトレーニングのために使われるなんて、そんなの気象データの無駄遣いだわ。」
雷堂はそれに対して明るく笑いながら、「そんなこと言わないでさ!私たちクラスメイトなんだから、ちょっとくらい助けてよ!」と軽く肩を叩いた。彼女の無邪気な笑顔に、サフウは少しムッとした表情を浮かべる。
「クラスメイトだからって、何でも簡単にお願いされても困るのよ!」サフウは少し強めに言い返した。
隼人はそのやり取りを見て、苦笑いを浮かべた。雷堂の無邪気さとサフウのプライドが衝突しているのを感じつつも、何とか場を和ませようとする。
「まあまあ、二人とも。気象データなら、必要な時に使えばいいさ。でも、サフウも気象部のことをちゃんと守りたいって気持ちも分かるし、雷堂も気象に興味を持ってくれるのは悪いことじゃないだろ?」
その言葉にサフウは少し目を伏せながらも、「まぁ…確かに、そこまで悪い提案じゃないけど…」と、不満そうにしながらも少し譲歩の姿勢を見せた。
雷堂はそんなサフウの様子を見て、にっこりと笑って言った。「ありがとう、サフウ!じゃあ、今度また陸上部の話も聞いてよね!」
サフウは少し照れながら「別に、あんたの話なんか興味ないわよ!」と言い返したが、その頬が少し赤くなっているのを隼人は見逃さなかった。
帰り道、雷堂が話題を変え、学校のイベントや次の気象部の企画について話し出すと、サフウも次第にその会話に引き込まれていった。しかし、どこかぎこちなさが残っている。
隼人は、そんな二人の微妙な距離感を見ながら、心の中で苦笑しつつ、「これからもこの二人のやり取りが続くんだろうな」と感じていた。
雷堂が先に家の方へと別れを告げると、サフウと隼人の二人きりの時間が戻ってきた。風が少し強くなり、サフウは髪をかき上げながら静かに歩いている。
しばらくの沈黙が流れた後、サフウはふと何かを思い立ったように、隼人に向き直って言った。
「ねぇ…もし、気象部でもっと広報活動をしたら、私たちだって小説とか書いてみてもいいかもね…なんて思わない?」彼女は、まるで照れ隠しのように早口で言い、すぐに前を向き直った。
「小説?お前が?」隼人は驚きながらも、面白そうに笑った。「お前らしくないな。でも、悪くないんじゃないか?」
サフウはそれを聞いて、さらに照れくさそうに顔を赤らめた。「ば、バカ言わないでよ!これはただの思いつきなんだから!」
隼人は笑いながら「はいはい、わかったよ。でも、気象部のサフウが小説を書いたら、意外と面白いことになるかもな」とからかうように言った。
「う、うるさいわね!」サフウは顔を真っ赤にしながら、隼人の腕を軽く叩く。「どうせあんたには分からないわよ!」
そう言いながらも、どこか嬉しそうなサフウの横顔が、夕暮れの光の中で優しく照らされていた。
そして、二人は静かな帰り道を、いつものように並んで歩き続けた。
午後の部室、隼人、サフウ、光、西風、そして梅子がそれぞれ自分の時間を楽しんでいた。サフウは天気観測のデータを見直し、光は窓辺で雑誌を読み、梅子は静かにお茶を楽しんでいた。その平和な空間を一気に壊すように、部室の扉が勢いよく開け放たれる。
「お願いがあります!」
飛び込んできたのは、異世界創作部の部長・田辺だった。彼は少しだけ乱れた眼鏡を直しながら、興奮した様子で息を切らしている。
「何?いきなり大声でどうしたの?」と、サフウは興味津々に尋ねた。
「僕たちの作品に、リアルな異世界の天気がどうしても必要なんです!でも、僕たちだけではどうしても再現できなくて…ぜひ気象部の力を貸してください!」と田辺は勢いよく頼み込んだ。
「異世界の天気をリアルに、ですって?」サフウはニヤリと笑い、腕を組んだ。「面白いじゃない。やりがいがありそうだわ。異世界の天気を作るなんて、まさに気象部の腕の見せどころね!」
隼人は少し眉をひそめ、「おいおい、そんな簡単に引き受けちゃっていいのか?異世界の天気って、どうやって作るんだよ?」と心配そうに突っ込んだが、サフウは自信満々だ。
「問題ないわ!私に任せなさい、隼人!」とサフウは手を叩いて、すぐに計画を始めた。
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シーン2:異世界の天気作り
田辺は興奮した様子で話を続ける。「僕たちの異世界では、巨大な浮遊大陸があったり、火山地帯が隣接する草原があったりするんです。そういう特殊な環境にリアルな天候を反映させたいんですよ!」
サフウは、目を輝かせて「いいわね!空想と科学の融合、それこそが私たち気象部の真骨頂よ!」と息を弾ませた。
隼人は頭をかきながら、「いやいや、これは一筋縄ではいかないだろ…異世界の天気ってなんだよ、俺たちは普通の気象部なんだぞ?」と不安げに言ったが、サフウのテンションは最高潮だ。
「そんなことないわ、隼人!これは最高の挑戦よ。異世界の気象をリアルに表現するなんて、まるで私たちが神様になったみたいじゃない!」とサフウは堂々と答えた。
光がその会話に加わり、「お兄ちゃん!異世界の天気ってなんかワクワクするよね!私、雷の嵐が空を切り裂く感じ、好きなんだ!」と無邪気な笑顔を見せた。
隼人はその元気な姿に苦笑いしながら、「お前はいつだって盛り上がってるな…」と、ため息をついた。
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シーン3:異世界の天気シミュレーション
「まずはシミュレーションから始めましょう!」とサフウは手を叩いた。西風は冷静に、「異世界だって言っても、基本的には物理法則に従うんだろ?風の流れとか、雲の生成とかは現実と同じだ。特殊な要素をどう加えるかが鍵だな」と指摘した。
「そうね。異世界ならではの現象をどうやって作るか…たとえば、魔法によって生まれた雷雲とか、そういうのを考えると面白そうよね」とサフウが答える。
梅子も微笑みながら、「異世界の雨って、どんな感じになるのかな。魔法の影響で涙のように光る雨とか、素敵じゃない?」と夢見るように言った。
「なるほど、なるほど」と田辺は大きく頷き、メモを取る手が止まらない。
隼人はその様子に少し引きつった笑顔を浮かべ、「おい、これ本当にやるのか?なんか壮大すぎないか?」と、またしても心配の種を口にしたが、誰も耳を貸さない。
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シーン4:異世界部への天気講座
「まずは異世界部の皆さんに天気の基礎を教えてあげるわ。そうすれば、彼らももっと具体的なイメージを持てるはずよ」とサフウが提案した。
「天気講座ですか!?ありがとうございます!」と田辺は感激し、頭を下げた。
西風が苦笑しながら、「おいおい、ここまで熱心にされると逆にプレッシャーがかかるな…でもまぁ、悪くないか」とつぶやいた。
光も勢いよく手を挙げて、「お兄ちゃん、私も講座に参加するよ!異世界の天気、私もちゃんと理解して手伝うからね!」と笑顔で言う。
隼人はその姿に少し呆れながら、「いや、別にお前が理解しなくてもいいんだけどな…」とつぶやきながらも、妹の熱意には逆らえない。
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シーン5:異世界の天気構築
「じゃあ、まずは火山地帯の天気から始めましょう。火山の近くでは、熱風が吹き荒れ、時折砂嵐が発生するわ。それに、火山活動によって大気に魔法のエネルギーが漂っている…こんな感じでどう?」とサフウが提案すると、西風も「それで行こう!砂嵐に巻き込まれて視界がゼロになるなんて、最高のハプニングだ」と即賛成。
隼人は再び頭をかきながら、「俺たち気象部なのに、なんでこんなに異世界のことまでやってるんだ?」と呆れた様子で言った。
光が隼人の手を引き、「だって、お兄ちゃん!これは異世界部とのコラボだよ!私たちが協力すれば、最高の異世界ができるんだから!」と元気よく言う。
隼人はその元気な言葉に少し心を和ませ、「まぁ、やるからには楽しもうってことか」と、気持ちを切り替えることにした。
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こうして、気象部と異世界創作部のメンバーたちは手を取り合い、異世界の天気を作り上げていく。それは単なるコラボレーションではなく、彼らの想像力を最大限に活かした新たな挑戦だった。
異世界創作部と気象部の共闘
異世界創作部の部長、田辺が手にした分厚いノートをバサッと机に広げ、その場にいた全員に見せた。ノートにはぎっしりと書き込まれた文字と図が無数に並び、あたかも田辺の情熱がそのまま詰め込まれたかのようだった。
「これがラボル山脈だ!」田辺は誇らしげに言い、さらに声を高める。「この山脈は異世界で最も重要な交通の要だ。冒険者たちが山を越えるためには、天候をどうにかしないといけない。嵐や雪崩、霧、いろいろな要素が絡み合って、戦略に大きな影響を与えるんだ!」
隼人はその熱量に一瞬圧倒され、思わず一歩後退した。机の上に置かれたノートの書き込み量を見て、隼人は内心で呟いた。
「いや、すごいな…。そこまで天気にこだわるのかよ。普通、そこまでは考えないだろう。」
隼人の呆れ半分、感心半分の反応を見た田辺は、さらに鼻息を荒くした。
「そうさ!天気が物語を動かすんだ!ラボル山脈を超えるには、天候の変化を読まなければならないんだ!」
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シーン2:副部長の補足説明
田辺の隣に座っていた副部長が、静かに話に加わった。彼もまた、ノートに目を落としながら、田辺のアイデアをさらに補足した。
「実際、このラボル山脈の標高はかなり高いんです。天候が頻繁に変わるため、嵐や雪崩が発生するリスクは避けられません。それを踏まえた上で、冒険者たちがどのタイミングで進むか、どうやって嵐を回避するかが、物語の鍵になるんです。」
隼人はその言葉を聞きながら、さらに驚きを感じていた。異世界の天気というファンタジー要素に、ここまでリアリティを追求するとは思っていなかった。
「マジでそこまでリアルにするのか…?」と、隼人はぼそっと呟いたが、その興味は確かに引きつけられていた。
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シーン3:サフウのやる気
田辺の熱意を感じ取った気象部の部長、サフウは、さらに興味を持ち始めた。異世界の天気を作り上げるという新しい挑戦に、彼女のやる気が一気に高まっていく。
「いいじゃない、そのラボル山脈!」サフウは目を輝かせて言った。「山岳地帯の天気変化なんて、現実でもすごく複雑だし、それを異世界でやるなんて面白そうだわ!」
「本当ですか!?」田辺は驚きつつも嬉しそうに顔を上げた。「気象部の皆さんが協力してくれるなら、きっと最高の異世界が描けます!本当にありがとうございます!」
「当然よ!」サフウは胸を張って頷いた。「私たち気象部が手を貸せば、どんな異世界だって最高の天気にしてみせるわ!」
隼人はサフウの自信満々な態度に少し不安を感じつつも、その場の勢いに逆らえず、静かに見守るしかなかった。
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シーン4:西風のファンタジー要素
西風は田辺のノートを覗き込み、冷静に口を開いた。「まぁ、異世界ってことでリアルさもいいけど、ファンタジー要素も必要だろ?たとえば、山脈の上空を魔法の雲が覆っていて、時々雷が降り注ぐ。しかもその雷は普通じゃなく、魔法を帯びてるとか、どうだ?」
田辺はその提案を聞いて、目をさらに輝かせた。「それだ!それなら、物語の展開に大きな影響を与える天気が作れる!」
即座にノートに書き込む田辺。その様子を見て、隼人はまたしても呆れつつ、少し笑ってしまった。
「お前ら、ほんとに楽しんでやってるな…」と、隼人は半ばあきらめたように言い、手伝うことに決めた。
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シーン5:気象部の協力体制
こうして、異世界創作部と気象部のコラボレーションは順調に進み始めた。サフウを中心に、光や梅子、西風までもが次々とアイデアを出し、異世界の天気システムがどんどん形作られていく。
光は「嵐の日には雷が空を切り裂き、まるで空そのものが怒っているみたいな雰囲気が出るとカッコイイよね!」と、興奮気味に話す。
梅子は「その雷が大地に魔力を注ぎ込むようにして、冒険者たちが危険を避けるために戦略を練るとか、どうかしら?」と、控えめながらも提案する。
「そうだな、それもいいな」と西風も同意し、さらに発展させていく。
隼人はその様子を見ながら、呆れたように微笑んだ。「ほんとに、異世界の天気をリアルに作り上げるって…お前ら、本気なんだな。」
しかし、彼の心の中では、奇妙なワクワク感が湧き上がっていた。
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シーン6:異世界天気シミュレーション
「よし、異世界の天気シミュレーションを作り上げたら、一度ラボル山脈を中心にテスト運用してみましょう!」田辺は自信満々に宣言した。
隼人は少し後退りしながら、「まぁ、ここまで来たなら最後まで付き合うしかないか」と、肩をすくめつつ、気象部の一員としてプロジェクトに本腰を入れる決意を固めた。
サフウはその姿を見て、「そうよ、隼人!私たち気象部がいれば、どんな天気だって作り出せるわ!」と自信満々に笑顔を見せた。
こうして、気象部と異世界創作部の共同作業によって、異世界の天気はますます現実味を帯び、壮大な物語を支える重要な要素として形作られていく。
「異世界の天気を作るなんて、こんな面白いプロジェクト、滅多にないわ!」とサフウが言い放ち、全員の気持ちが一つになった。
気象部と異世界創作部の新たな挑戦は、これからも続いていく──。
光の暴走
田辺が異世界の天候シミュレーションを進めている最中、光のテンションはますます高まっていった。彼女はいつもと違い、隼人に少しだけ褒められたことで、すっかり舞い上がってしまった。
「お兄ちゃんが褒めてくれたー!もっと頑張っちゃう!」と叫び、光はさらに気象データに集中し始めた。まるで無邪気な子供のように、彼女は次々と高気圧をシュミレーションに送り込んでいく。
その結果、ラボル山脈周辺の天候が急激に変わり始めた。シミュレーション内では、もともと穏やかだった天候が突然荒れ狂い、激しい嵐に変わっていく。雲が渦巻き、山脈の頂上付近で雪崩が発生する様子が、リアルタイムでモニターに表示されていた。
隼人は驚きの表情で画面を見つめ、「ちょ、ちょっと待て!なんだこれ!?こんな天気、シュミレーションになってないぞ!」と焦りながら叫んだ。
サフウもすぐにモニターに目を向け、鋭い声で光を叱った。「光!あんた、張り切りすぎよ!これじゃ高気圧が強くなりすぎて、天気が完全に崩れてるじゃないの!まったく、お兄ちゃんに褒められたぐらいで、そんなに高気圧を送り込まないで!」
西風は肩をすくめ、苦笑いを浮かべながら言った。「やれやれ、光が褒められるといつもこうなるんだよな。これじゃシュミレーションが台無しだぜ。『お兄ちゃん現象』ってやつだ。」
光は一瞬、自分が何をしてしまったのか分からずキョトンとしていたが、すぐに自分のせいで天候が崩れたことに気づき、慌てて手を止めた。「え、えーと…ごめんね、お兄ちゃん。頑張りすぎちゃったみたい…」
隼人は手を頭の後ろに回し、ため息をつき
隼人は手を頭の後ろに回し、ため息をつきながら言った。
「まったく、お前って本当に張り切りすぎなんだよ。でもまぁ、そんなところも悪くないけどさ。」
その言葉に、光は少し照れたように笑顔を浮かべ、「てへへ、次はもっと気をつけるね、お兄ちゃん!」と元気よく答えた。
サフウは真剣な表情を崩さず、モニターに目をやりながら指摘した。「これじゃラボル山脈の気候がめちゃくちゃよ。光、あんた張り切りすぎたせいで高気圧が強くなりすぎて、天気が完全に崩れてるじゃない!すぐに修正しなきゃ。文化祭までに間に合わせないと!」
西風は肩をすくめ、苦笑いを浮かべていた。「やれやれ、これが『お兄ちゃん現象』ってやつか。光が褒められると、いつもこうなるんだよな。これじゃシミュレーションが台無しだぜ。」
光は一瞬キョトンとしていたが、自分のせいで天候が荒れたことに気づき、慌てて手を止めた。「え、えーと…ごめん、お兄ちゃん。頑張りすぎちゃった…」
隼人は手を振って、「いいよ、気をつければ問題ないさ。でも次はもう少し慎重になってくれよな」と優しく声をかけた。
その後、田辺部長は大きく頷き、興奮気味に叫んだ。「有りだよ!これだ、リアルでも天候は穏やかだと思ったら、急に荒れることもあるしな!このラボル山脈の天候が不安定なのは、むしろ物語に深みを与える。予測を超える異常気象として、設定に組み込もう!」
その熱意に、隼人は驚いた顔を見せた。「いやいや、そんな無理やりな展開で本当にいいのかよ?」
だが田辺は隼人の疑問には耳を貸さず、手元のノートに新たなアイデアを書き込んでいく。「いいんだよ、隼人くん!リアルな天候っていうのは予測不能なものだ。だからこそ、冒険者たちもその不確実性に立ち向かう必要がある。それこそが物語の醍醐味なんだ!」
サフウも、呆れながらもその熱意を受け入れ、「まぁ、そこまで言うなら、私たち気象部も協力するしかないわね。ラボル山脈の天候シミュレーションをもう一度精密に作り直すわよ」と、意気込んでいた。
西風も笑いながら言った。「これでまた俺たちの気象知識が活かされるってわけだな。なんだか面白くなってきたじゃないか。」
光も勢いを取り戻し、「お兄ちゃん、次はもっと慎重に頑張るからね!」と明るく叫んでいた。
涙雨も静かに微笑みながら、「不安定な天気もリアルな冒険の一部。物語がもっと豊かになるわね」と同意した。
隼人はため息をつきつつ、皆が熱中している様子を見て、半ば諦めたように肩をすくめた。「まったく、みんな自由すぎるだろ…でもまぁ、異世界の天気作りなんて、こんな風に盛り上がるもんだよな。」
田辺部長はにやりと笑い、「これで文化祭の発表はさらに面白いものになるぞ!冒険者たちがこの予測不能な天候にどう対処するか、それを楽しみにしていてくれ!」と、自信たっぷりに宣言した。
こうして、異世界部と気象部のコラボレーションはさらに勢いを増し、文化祭に向けて全員の熱意が一層強まっていくのだった。
隼人は頭を抱えてため息をつきながら、「いや、あるだろ。天気のプロたちがここにいるじゃないか」と、サフウたち気象部のメンバーを指しながら言った。
その言葉を聞いた田辺は、目を輝かせて、「プロだって?面白いじゃないか!そんなプロたちが見て認めてくれたら、それこそ最高の誉れだろう!」と興奮気味に言った。
隼人は頭を抱え、「いやいや、そういう意味じゃなくて…もうダメだ、こいつ前向きモンスターだな、田辺は」と半ば諦めたように呟いたが、田辺は気にも留めず、さらに熱意を燃やしながら続けた。
「よし、それならなおさら、このシミュレーションをもっと完璧にして、天気のプロたちにも認められるものにしてやる!さあ、やるぞ!」と力強く宣言した。
サフウや西風、光、涙雨は思わず顔を見合わせながら、苦笑いを浮かべた。「まったく、田辺って本当にポジティブすぎるわね…」とサフウが呟いたが、その場の空気はすっかり田辺の情熱に飲み込まれていた。
隼人は再びため息をつきながら、「結局、田辺のペースに巻き込まれるんだな…」とぼやきながらも、田辺の情熱に感心せざるを得ない自分を感じていた。
田辺は異世界部の総括として、集まった部員たちの前に立ち、感謝の言葉を述べ始めた。
「皆さん、今日の異世界シミュレーションに参加してくれて、本当にありがとうございます!今回のラボル山脈の天候シミュレーションは、気象部の協力なしには成し得なかったことです。そして何より、僕たち異世界部の想像力が現実と結びつき、異世界の冒険がますますリアルになりました。これは僕たちが目指すべき冒険の未来そのものだ!」
部員たちは彼の熱意に圧倒されつつ、次第に胸が高鳴ってきた。田辺はさらに続けた。
「この活動を通じて、僕たちは異世界のリアルさを追求し、無限の可能性を持つ世界を創り出しました。気象部の協力もあって、ラボル山脈の気象が想定を超えて荒れるなど、予想外の展開もありましたが、それがまさにリアルな世界を作るための重要な要素なんだと再確認しました!」
部員たちに向かって彼は大きく頷きながら、感謝の言葉を述べる。
「最後に、このプロジェクトの成功に貢献してくれた皆さんに感謝を込めて、報酬として掲載権と食事券を配布します。掲載権は文化祭での異世界即売会にて、僕たちの成果物をしっかりと発表します。そして食事券は…まあ、努力のご褒美だね!」
田辺は笑顔で、部員たちに食事券を配り始め、皆の顔に喜びが広がっていった。
「これからも僕たちは、もっとリアルな異世界を創り続ける。今日の成果をもとに、さらなる高みを目指していこう!引き続き、みんなの協力をよろしく頼む!」と田辺は力強く締めくくった。
その後、異世界部と気象部のメンバーたちは、さらに熱意を燃やし、文化祭に向けて本格的に動き始めた。
異世界部が手掛けた同人誌『ラボル山脈の嵐と冒険』は、文化祭の即売会で驚くほどの勢いで売れた。会場に並べられた同人誌が、次々と手に取られ、わずか数時間で完売。飛ぶように売れていった理由は、単純に物語のリアルさやシミュレーションの精密さだけではなかった。
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理由:サフウと光のコスプレ効果
即売会当日の朝、サフウと光は異世界部のヒロインコスプレに挑んでいた。特にサフウは、同人誌のタイトルヒロインそのままのファンタジー風衣装に身を包み、ブースの前で堂々と立っていた。彼女の装いは、そのキャラクターが持つ強さと美しさを見事に体現し、まるで異世界から本当に現れたかのように来場者の視線を集めていた。
「異世界部の皆さん、よろしくお願いします!」サフウは笑顔を見せながら、来場者に軽く手を振る。その堂々とした態度と美しい姿に、多くの来場者が足を止め、写真を撮りながらブースを訪れた。サフウは恥ずかしがるどころか、いつもの自信に満ちた態度で人々を惹きつけていた。
一方、光は元気いっぱいの笑顔を見せながら、気象部のプラカードを持ってブースをアピールしていた。彼女は持ち前の明るさを最大限に発揮し、来場者に積極的に話しかけていた。
「お兄ちゃん、見て!すごい人だよ!」と、光は興奮気味に隼人へ笑いかけた。
「おいおい、あんまり調子に乗るなよ…」と、隼人は苦笑しながらも、その盛り上がりに少し誇らしげな気持ちを感じていた。
光の無邪気な笑顔とその元気な姿は、多くの来場者の心を掴んで離さなかった。彼女の明るい性格が、ブース全体の雰囲気を一層盛り上げ、販売を後押ししていたのは間違いない。
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販売のピーク
販売が始まってからしばらく経ち、ブースには人の列が途切れることなく続いた。サフウのクールで美しいヒロイン姿、そして光の元気で無邪気なアピールのおかげで、異世界部のブースは常に賑わっていた。来場者たちは、同人誌の内容に興味を持ちつつも、コスプレの魅力に引き寄せられ、写真撮影のついでに購入する人も多かった。
その様子を見て、西風が苦笑いを浮かべながら言った。「結局、異世界のリアルさも大事だけど、こういうイベントってやっぱり外見も勝負なんだな。」
隼人も同意しながら頷いた。「まぁ、俺たちの気象シミュレーションがなかったら、物語自体はここまでリアルにならなかったかもしれないけどな。それにしても、あの二人のおかげで販売は大成功だな。」
光が隼人の言葉に反応して、「お兄ちゃん、私たちすごいでしょ!」と自信満々に言い、隼人は彼女の頭を軽く撫でながら、「あぁ、よくやってるよ」と微笑んだ。
サフウも彼女なりに満足げな表情を浮かべ、「これだけの反響があるなら、異世界部としても成功と言えるわね。」と、冷静に成果を分析していた。
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結論:異世界部の成功
異世界部の同人誌は、リアルなシミュレーションとキャラクターたちの魅力、そしてサフウと光のコスプレ効果が相まって、予想以上の成功を収めた。同人誌が完売するや否や、ブースのメンバーたちは大きな達成感に包まれた。
田辺部長はその様子を見て、満足げに微笑みながら、「やっぱりこれがリアルな異世界の力だよ!」と叫んだ。その声には、ただの同人活動以上の熱意が感じられた。
西風も感心しながら、「まさかここまでの反響があるとは思ってなかったけど、田辺、お前やっぱりすげぇな」と言い、田辺は照れくさそうに笑いながら、「みんなのおかげだよ。俺一人じゃこんなに上手くいかなかった」と応じた。
隼人はそのやり取りを見て、懐かしそうに目を細めながら呟いた。「まさか田辺が本当に作家になりやがるとはな…。あいつ、あの骨太でダサカッコいい異世界本、マジで売れたんだよな。そして、なんと舞台化まで決まるとは…」
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異世界部の未来
その後、田辺の書いた異世界ファンタジー小説『ラボル山脈の彼方で - 天空の冒険者たち』は、リアルな天気設定や登場人物の深い心理描写が特徴的で、読者から高く評価されていった。さらに、出版された小説は舞台化が決定し、そのニュースが瞬く間に異世界部のメンバーたちに広がった。
グループチャットが賑わい、興奮の声が次々と上がる。
光はメッセージを見て、興奮気味に「お兄ちゃん!これってアニメ化決定のこと!?」と叫び、隼人は「いや、舞台化だよ。でも、すごいじゃないか…」と答える。
サフウもその知らせに驚き、「これはすごいわ!異世界部、ついにここまで来たのね。田辺の情熱がついに報われたのよ!」と感嘆の声を上げた。
涙雨もにこやかに、「夢を叶えた田辺さん、本当に素晴らしいですね」と心から祝福の言葉を贈った。
西風も笑いながら、「あいつ、まさか本当に作家になって、しかも舞台まで持っていくとはな…信じられないけど、やっぱり面白い奴だよ」と感心した様子だった。
隼人はラインのメッセージを見つめながら、少し照れくさそうに「やれやれ、あいつの努力をバカにできないな。マジで作家になりやがったんだから、認めざるを得ないな」と呟いた。
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田辺の成功
田辺が書いた骨太でダサカッコいい異世界ファンタジーが、ついに異世界部の同人誌から飛び出し、舞台化という新たなステージへと進んだ。彼の情熱と異世界部のメンバーたちの努力が実を結び、物語はさらに広がっていく。
「俺たち、異世界部で一緒にやってたことがこんなに大きくなるなんて、あの時は想像もできなかったよな…」と隼人は遠くを見るような目で呟き、かつての異世界部での活動を思い返した。
田辺が異世界にかけた情熱は、もはや一部の人間だけのものではなく、多くの人々に広がり、異世界部の仲間たちと共に新たな冒険を切り開いていくこととなった。
オマケ: サフウの独白 ー まさかの舞台化決定について
サフウは、田辺の異世界ファンタジー小説が舞台化されるというニュースを聞いたとき、思わずスマホの画面を見つめたまま呆然とした。グループチャットが次々と盛り上がる中、彼女だけは少し距離を置いて、その状況を静かに見守っていた。
「まさか…本当に舞台化まで行くなんてね…」
心の中で呟きながら、サフウは少し微笑んだ。異世界部に参加した当初、自分がここまで本気で取り組むとは思っていなかった。最初はただの気象部の活動の一環だと思っていたし、田辺が熱心に異世界の天気について語る姿を見て、内心では半ば呆れていた部分もあった。
「この熱意、いったいどこに向かうのかしら?」なんて思ったこともあった。
だが、田辺の情熱に引き込まれるうちに、自分も次第にその世界に魅了されていった。天気をシミュレーションするという単純な作業だったはずが、いつの間にか自分も異世界の住人になったような気持ちで取り組んでいた。
「結局、私も巻き込まれたわね…」
それでもサフウは、田辺の夢が一つの形になり、それが多くの人々に評価されているという事実を、素直に誇らしく思っていた。
「田辺がこんなにもやり遂げるなんて、少しは見直したかもね。いや…もっと早く気づいていたかも。あの真剣な顔を見て、私もつい本気になったんだもの。」
サフウはスマホをポケットにしまい、ふと窓の外を見た。秋の空は澄んでいて、まるで田辺が作り上げた異世界の天候のようにどこか壮大な感じがした。自然と心が落ち着き、静かな感動が胸に広がっていく。
「これが、私たちの手で作り上げた異世界…」
舞台化が決まったことで、異世界部が次にどんな冒険を繰り広げるのか、サフウにはまだわからない。しかし、一つだけ確かなことがある。
「どこまで行けるか、楽しみになってきたわね。」
そう心の中で呟くと、サフウは軽く肩をすくめて微笑んだ。
サフウが窓の外を眺めながら静かに微笑んでいると、後ろから隼人の声が響いた。
「おい、サフウ。お前、忘れてるぞ?お前は異世界部じゃなくて、気象部の部長だろ?」
その突っ込みに、サフウは一瞬ハッとしたように振り返る。隼人は腕を組み、少し呆れたように彼女を見つめていた。
「確かに、田辺の熱意に引き込まれたのはわかるけどさ…異世界の天気とか、すっかり自分の世界にしちゃってるじゃないか?」
サフウはその言葉に、一瞬ため息をつき、苦笑いを浮かべた。「まぁね…異世界の天気を作るなんて、私にとっても新しい挑戦だったし、つい本気になっちゃったのよ。でも、そう言われると、私は確かに気象部の部長だわね。」
隼人は笑いを堪えながら、「まったく、異世界のことばっかりで、気象部のことを忘れてるんじゃないかって心配だったぞ。」と、茶化すように言った。
「それもそうね。でも、異世界の天気だって、私たち気象部の活動の一環じゃない?天気をシミュレーションするのは気象部の得意分野だし、それを異世界に応用したってだけよ。」
サフウは自信満々にそう答えると、隼人は肩をすくめて「まあ、確かにそうかもしれないけど、やっぱり異世界に染まりすぎだろ…」と笑いながら頭をかいた。
サフウは少し照れくさそうにしながらも、「そうね…でも、楽しかったわ。異世界でも現実でも、天気は変わらないってところが面白いのよ。」と続けた。
「お前がそう言うなら、いいんじゃないか。でも、気象部の部長ってこと、忘れるなよな。」隼人は笑いながら、もう一度念を押した。
サフウは微笑みながら頷き、「もちろん。気象部のことも、ちゃんとやってるわよ。」と、再び外の空に視線を戻し、どこか遠くの未来を見つめるような眼差しをしていた。
エンドロール
夕暮れの空がオレンジ色に染まり、サフウと隼人は一緒に学校から帰る道を歩いていた。いつも通りの静かな帰り道。しかし、今日はどこか違う雰囲気が漂っていた。
「ねぇ、隼人…」サフウが突然、話しかける。
「なんだよ?」隼人は、ポケットに手を突っ込みながら、ぼんやりと前を見据えていた。
サフウはしばらく黙った後、少し顔を赤らめながら、照れたように言った。「もしさ、気象部で広報誌とか出せたら、私たちのシミュレーションとか…それこそ、異世界の天気とか、小説にしてみてもいいかもね?」
その言葉に隼人は驚き、サフウを見つめる。「お前が…小説?」
サフウは少し口を尖らせ、「なによ、その驚き方。あんたには無理だと思ってんの?」とツンとした態度を見せる。
隼人は慌てて手を振り、「いや、そうじゃないけど…お前がそんなこと言い出すなんて、ちょっと意外でさ。」
サフウはぷいっと顔を背けながら、「べ、別に意外でもなんでもないわよ!だって、私たち気象部が作った天気シミュレーションって、本当にリアルなんだから、それをストーリーにして発表すれば、きっとみんな驚くに決まってるわ!まるで異世界の冒険者になった気分にさせてやるんだから!」
隼人はその言葉を聞いて、思わず苦笑した。「まるで、なんかの大冒険みたいだな…さすがサフウ、涼宮ハルヒのごとくノリノリだな。」
サフウは目をそらしながらも、小さく笑みを浮かべた。「ふん、別に照れくさくなんかないわよ。まぁ、あんたがどう思うかは知らないけど…でも、広報誌で小説出すなんて、ちょっと面白いかもって思っただけよ。」
隼人はその姿を見て、どこかほっとしたように笑う。「なんだかんだ言って、やっぱりお前はいつも何か新しいことを考えてるんだな。でも、悪くないアイデアかもな。異世界の天気、広報誌で話題になるかもしれないぞ?」
サフウは自信ありげに頷いた。「もちろんよ!私たちの気象部がやったこと、ちゃんと世に出して評価されるべきだわ。異世界でも、現実でも、天気は重要なんだから!」
夕日が二人を包み込み、静かな帰り道がいつも以上に温かい空気に満たされた。
サフウは少し歩いた後、ふと立ち止まり、振り返って隼人を見つめた。そして、少し頬を赤らめながら、ツンとした表情でこう言った。
「ま、まあ…あんたが手伝いたいって言うなら、別に拒まないけど。私一人でも十分やれるけどさ…その、ちょっとくらいは手伝ってもらってもいいわよ?」
隼人はその言葉に驚きながらも、微笑んで答える。「お前、本当は俺に手伝ってほしいんだろ?」
「ば、馬鹿!そんなわけないでしょ!」サフウは慌てて顔をそむけ、さらに声を張り上げた。「あんたが何もしないでボーっとしてるから、仕方なく言ってあげてるだけなんだからね!勘違いしないでよ!」
そのツンツンした様子に、隼人は思わず笑いをこらえきれず、ふっと笑ってしまった。「はいはい、了解。サフウ様の命令に従って、ちゃんと手伝わせてもらうよ。」
サフウは顔を真っ赤にしながら、「そ、そうよ。それでいいのよ…ほんと、馬鹿なんだから…」と、小さくつぶやいた。
夕日が沈む空の下、二人の足音が静かに響き、帰り道は少しずつ夜の闇に包まれていった。ツンツンしながらもどこか嬉しそうなサフウの姿を横目に、隼人は心の中で笑みを浮かべながら、彼女に付き添って歩き続けたのだった。
隼人は苦笑いを浮かべながら、「はいはい、わかったよ」と軽く肩をすくめて歩き始めた。その仕草には、どこか投げやりな感じもあるが、二人の間に漂う空気は穏やかだった。
夕方の柔らかな光が二人の影を長く引き、涼しい風が通り抜ける。鳥のさえずりが遠くから聞こえ、隼人とサフウは歩調を合わせながら帰路に就いていた。
「それにしてもさ、異世界部のあの情熱、どこから湧いてくるんだろうな。まるで俺たちが本当に異世界にいるかのように語るし…」隼人は空を見上げながらぽつりと呟いた。
「ふふん、あの熱意が大事なのよ。私たち気象部だって、ただデータを並べるだけじゃなくて、もっと夢を持たなきゃダメなのよ!」サフウは胸を張って言い返したが、その言葉にどこか照れが混じっているのを隼人は見逃さなかった。
「まあ、そうかもな。でも、サフウ、お前もその熱意に引っ張られてんじゃないか?」隼人はからかうように言った。
「なっ!引っ張られてなんかないわよ!私はただ、気象の知識を活かしてるだけで、あいつらの情熱に流されたわけじゃ…!」サフウは真っ赤な顔で即座に否定したが、その表情は明らかに動揺している。
「わかった、わかった。お前がそう言うならな。」隼人は少し笑って、歩みを進める。二人の間に一瞬、沈黙が訪れるが、それは気まずいものではなく、どこか心地よい静けさだった。
その時、後ろから軽やかな足音が聞こえてきた。振り返ると、雷堂が大きな声で二人に呼びかけていた。
「おーい!隼人、サフウ!一緒に帰ろうぜ!」彼女は元気いっぱいの笑顔を浮かべながら駆け寄ってきた。
サフウの表情が少し曇るのが、隼人にははっきりと見て取れた。「あぁ、雷堂か…なんで今来るのよ…」小さな声で呟くサフウは、明らかに苛立っているようだった。
雷堂が合流すると、三人で歩き出す。彼女は自分が参加している陸上部の話を楽しそうに話し始め、最近の大会での成績や、今後の練習について語り続けた。
「そうそう、最近の練習メニューが結構ハードでさ、気象部で何かデータを取ってもらえたら、もっと効率的なトレーニングができるんじゃないかって思うんだよね!」雷堂は嬉しそうに提案したが、サフウは少しうつむいたままだった。
「まぁ、気象データを使ったトレーニングか。確かに興味深いな。」隼人は興味を示しながら雷堂の提案を肯定した。
「サフウ、どう思う?」隼人が声をかけると、サフウは少し不機嫌そうに顔を上げた。
「別に…それもいいかもしれないけど、私は気象部の本来の仕事に集中したいのよ。陸上部のトレーニングのために使われるなんて、そんなの気象データの無駄遣いだわ。」
雷堂はそれに対して明るく笑いながら、「そんなこと言わないでさ!私たちクラスメイトなんだから、ちょっとくらい助けてよ!」と軽く肩を叩いた。彼女の無邪気な笑顔に、サフウは少しムッとした表情を浮かべる。
「クラスメイトだからって、何でも簡単にお願いされても困るのよ!」サフウは少し強めに言い返した。
隼人はそのやり取りを見て、苦笑いを浮かべた。雷堂の無邪気さとサフウのプライドが衝突しているのを感じつつも、何とか場を和ませようとする。
「まあまあ、二人とも。気象データなら、必要な時に使えばいいさ。でも、サフウも気象部のことをちゃんと守りたいって気持ちも分かるし、雷堂も気象に興味を持ってくれるのは悪いことじゃないだろ?」
その言葉にサフウは少し目を伏せながらも、「まぁ…確かに、そこまで悪い提案じゃないけど…」と、不満そうにしながらも少し譲歩の姿勢を見せた。
雷堂はそんなサフウの様子を見て、にっこりと笑って言った。「ありがとう、サフウ!じゃあ、今度また陸上部の話も聞いてよね!」
サフウは少し照れながら「別に、あんたの話なんか興味ないわよ!」と言い返したが、その頬が少し赤くなっているのを隼人は見逃さなかった。
帰り道、雷堂が話題を変え、学校のイベントや次の気象部の企画について話し出すと、サフウも次第にその会話に引き込まれていった。しかし、どこかぎこちなさが残っている。
隼人は、そんな二人の微妙な距離感を見ながら、心の中で苦笑しつつ、「これからもこの二人のやり取りが続くんだろうな」と感じていた。
雷堂が先に家の方へと別れを告げると、サフウと隼人の二人きりの時間が戻ってきた。風が少し強くなり、サフウは髪をかき上げながら静かに歩いている。
しばらくの沈黙が流れた後、サフウはふと何かを思い立ったように、隼人に向き直って言った。
「ねぇ…もし、気象部でもっと広報活動をしたら、私たちだって小説とか書いてみてもいいかもね…なんて思わない?」彼女は、まるで照れ隠しのように早口で言い、すぐに前を向き直った。
「小説?お前が?」隼人は驚きながらも、面白そうに笑った。「お前らしくないな。でも、悪くないんじゃないか?」
サフウはそれを聞いて、さらに照れくさそうに顔を赤らめた。「ば、バカ言わないでよ!これはただの思いつきなんだから!」
隼人は笑いながら「はいはい、わかったよ。でも、気象部のサフウが小説を書いたら、意外と面白いことになるかもな」とからかうように言った。
「う、うるさいわね!」サフウは顔を真っ赤にしながら、隼人の腕を軽く叩く。「どうせあんたには分からないわよ!」
そう言いながらも、どこか嬉しそうなサフウの横顔が、夕暮れの光の中で優しく照らされていた。
そして、二人は静かな帰り道を、いつものように並んで歩き続けた。
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