僕が制作した54体のNPCがあべこべ異世界で暴れてます 〜NPCの侵略に立ち向かえ〜

ヒーロー好き

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第一章

第14話 妖魔軍団の作戦会議2

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妖魔軍団インデックスの本拠地「万能要塞オールイン」の会議室には、緊張感が漂っていた。軍団を率いるリーダーたちが長い円卓を囲み、リーダーであるエーテルが静かに口を開く

「……みんなに、知らせなければならないことがあります」

いつも冷静で威厳を纏った彼女の声に、場の空気がさらに引き締まる。全員が彼女に注目した。副リーダーであるヴェイルが眉をひそめて口を開く

「何かあったのか? その表情からして、良い知らせではなさそうだな」

エーテルは一瞬、目を閉じて息をつき、そして告げた

「…ガルムの軍団のランク2…ドゥルガニスが……倒されました」

その言葉に、全員が驚愕する

「な、何だと!?奴が倒されたってのか!?」

「そんな……彼は確かに力押しなところもあるけど…」

「あんな頼りになる人がやられるなんて……」

「……許せん!」

怒りに震えるガルムが立ち上がり、鋭い目つきでエーテルを睨みつけた

「俺が行く! ドゥルガニスの敵討ちを果たす! 誰が相手だろうと必ず仕留めてやる!」

「待ちなさい、ガルム!」

エーテルの鋭い声が、ガルムの怒りを制した。だが、彼の目はまだ怒りの炎を宿している

「私たちはこの拠点から出られないのよ……ドゥルガニスの犠牲を無駄にするつもり?」

「しかし! あいつは俺の部下だ!俺の軍団の誇りだ!その誇りを汚されて、何もしないわけにはいかん!」

「だからこそ冷静になりなさい……今の貴方では、何もできないわ!!」

「エーテルの言う通りだ……悔しいだろうが……」

ガルムは悔しそうに拳を握りしめたが、結局はエーテルの言葉に従うように席についた

「……いいですね。では、次の行動について話し合います。前回の会議で、一番大きな数字を掴んだ軍団にするということをしましたね」

「ええ、それでガルムの軍団が選ばれた……」

「その次に大きな数字を掴んだのはヴェルデの軍団でした。ですので、次はヴェルデの軍団にお願いすることになります」

「……わかりました」

ヴェルデが静かに立ち上がった。彼女の瞳には揺るぎない決意が宿っている

「……私の軍団から、ザフィロナを召喚します。彼女ならきっと、この任務をやり遂げてくれるでしょう」

ガルムが椅子に座ったまま目を細める。まだ悔しさを噛み締めているものの、今はヴェルデの選択を尊重するしかない

「……あいつは、ただのお調子者じゃないだろうな?」

ヴェルデは柔らかく微笑む

「心配しないで。ザフィロナは確かに少し軽いところはあるけれど、その実力は本物よ」

エーテルが軽くうなずき、静かに言葉を添える

「では、ヴェルデ。準備をお願いするわ」

ヴェルデは席を離れ、会議室の中央に進み出る。その足取りはしなやかで、自信に満ちていた

「みんな、少し下がって。召喚は慎重に行う必要があるから」

「ったく、大袈裟だな。まあいい、下がるさ」

「静かにしてあげて、ヴォルティ。召喚の邪魔にならないようにしましょう。」

全員が指示通りに下がり、ヴェルデが召喚の儀式を始める。彼女は片手をゆっくりと掲げ、もう片手で地面に向けて独特の軌跡を描いた。美しい声で呪文を唱え始める

「――灼けつく風よ、世界を巡るダイヤの紋章よ。我が名に応え、我が軍団の忠実なる戦士をここに呼び覚ませ!」

その瞬間、会議室の床に鮮やかな光を放ちながら紋章が浮かび上がった。そしてスート兵たちがハンドベルを鳴らす。複数のハンドベルの音が響く、それは軽やかで心地よい音色でありながら、どこか神秘的な力を感じさせるものだった。音色が会議室全体に広がる中、紋章の中心に小さな風が巻き起こる。次第に風は激しさを増し、部屋の中を駆け抜ける

「は~い!」

そして、その風の中から一人の女性の姿が現れた

「呼ばれて飛び出てザフィロナ参上!」

黄緑色のボブカットが特徴的な女性―ダイヤ軍団のランク2、ザフィロナだった。彼女はニコニコとした笑顔を浮かべ、軽快な動作でヴェルデの前に跪く

「賢者様、私を呼んでくださるなんて、光栄の極みです~!何でも言ってくださいね、私、全力でお手伝いしますから♪」

ヴェルデは微笑みながらも、厳粛な口調で答える

「ザフィロナ、君をここに呼んだのは、重要な任務があるからよ。油断しないでね」

ザフィロナは笑顔を崩さずに頷き、軽く敬礼をした

「了解です! 真面目モードに切り替えますよ~!」

ヴェルデはザフィロナに今回の任務の概要を説明し始めた

「実は、ガルムの軍団から派遣されたドゥルガニスが、敵に倒されてしまったの」

その言葉を聞いた瞬間、ザフィロナの笑顔が消えた。彼女は驚きの表情を浮かべる

「ドゥルガニスが……? そんな……彼ってとっても強かったはずなのに……」

「ええ、私たちも驚いている。でも、今は彼の犠牲を無駄にしないために、次の一手を考えなければならないの」

エーテルはザフィロナを見つめ、少し緊張を帯びた声で語りかけた

「目的は、魔力の回収よ。ドゥルガニスが敵に倒され、魔力の回収計画が頓挫してしまった。あなたにはその続きを引き継いで欲しいの」

「なるほど」

興味深そうに耳を傾ける

「ただ、ドゥルガニスを倒した敵と遭遇するかもしれない……警戒を怠らないで。過信は命取りになるわ」

ザフィロナは真剣な表情を見せ、軽く敬礼をする

「了解です! 警戒バッチリでいきますよ!」

「ザフィロナ、あなたならきっと大丈夫……私たち全員があなたを信じている」

ザフィロナはその言葉に応えるように自信に満ちた笑みを浮かべ大きく頷いた

「ありがとう!私、全力で頑張ります!」

ヴェルデがザフィロナの肩にそっと手を置いた。彼女は優しい笑みを浮かべつつも、少し張り切った様子だった

「ザフィロナ、君には大きな期待をしているわ。だけど、緊張しすぎるのも良くないから、ちょっとリラックスしてね。ここで一つ、私から元気が出る話を――」

スカイラがその言葉に不安そうな顔をする

「ヴェルデ……まさかまた、あの寒いギャグを……」

「いいえ、今回はちゃんと練ったわ! ザフィロナにふさわしい、風にちなんだギャグよ!」

ヴォルティが目を閉じ、頭を抱える

「……どうせつまらないんだろうが、早く言えよ。時間の無駄だ」

ヴェルデは気にする様子もなく堂々と立ち、言葉を発した

「風が吹けば、桶屋が儲かると言いますが……私の風は、ザフィロナが頑張ればもっと儲かります! どう? 笑えるでしょ?」

――シーン

部屋の中に重い沈黙が降りた。誰もが言葉を失い、微妙な顔をしていた

「……いや、それ、どういうこと?」

「儲かるって……どう繋がるんだよ。」

ヴェイルが静かに目を閉じ、ため息をつく

「ヴェルデ、君の意図はわかるが……ギャグを言う前に、もっと考えた方がいい」

エーテルも困ったように微笑むが、特に何も言わなかった

「賢者様、ありがとうございます!その……すごく、元気が出るような気がします!」

ザフィロナは一瞬戸惑ったが、気を取り直して笑顔を見せた

「本当に?よかった!貴方が笑顔になれば、それで十分だわ!」

白けた空気を吹き飛ばすように、ヴェイルが冷静な声で語り始めた

「ザフィロナ、あなたは軽やかで器用な性格を持っている。それは、この任務において非常に重要な要素だと思う。だが、慎重さも忘れないようにね」

「ヴェイル様、ありがとうございます!慎重さ、しっかり意識します!」

スカイラはにこやかに微笑みながらも、優しさを滲ませた口調で続ける

「ザフィロナ、あなたの魔法は素晴らしいわ。それを信じて、恐れずに進んでね。私たちはここで祈っているわ」

「スカイラ様……感激です!私、全力でやってみせます!」

ヴォルティは腕を組み、少し斜に構えた態度で声を上げる

「まあ、俺は心配してないぜ。お前の力、見せつけてやれ。俺たちをガッカリさせるなよ」

ザフィロナは敬礼のような仕草をして笑顔を返した

「ヴォルティ様にガッカリされるのは嫌なので、しっかりやります!」

ガルムも渋々ながら言葉を紡いだ

「……ドゥルガニスの仇を取ってくれ。奴の無念を晴らすためにも、頼むぞ」

ザフィロナは真剣な表情で頷いた

「はい、ガルム様!彼のためにも、絶対に頑張ります!」

最後にエーテルが静かに立ち上がり、ザフィロナに言葉を送った

「ザフィロナ、これは簡単な任務ではない……でも、あなたならできると信じているわ。どうか気をつけて」

ザフィロナは深く礼をし、力強く答えた

「ありがとうございます!……翠嵐すいらん刃姫じんきザフィロナ!必ず結果を持って帰ります!安心して待っていてくださいね!」

すべての激励を受けたザフィロナは、大きく深呼吸をし、会議室を後にした。彼女の背中には軽やかさと同時に、大きな使命感が漂っていた

「……風は希望を運ぶもの。彼女が無事に帰ってきてくれることを、祈りましょう」

ドアが閉まる瞬間、ヴェルデがふと呟く。ザフィロナの軽やかな足音が遠ざかっていく中、会議室には静かな緊張感が残った。その風のような存在がもたらす未来に、全員が期待と不安を抱いていたのだった
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