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新、非勇者編
退場すべきもの・登場すべきもの その2
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巨体のンーゴの腹の中に、俺らは全員収納。
で、地中を移動し、王宮を目指す。
その中でのこと。
「それにしても、アラタも直情的よね」
「直情的?」
コーティがその口で何を言ってるのか。
お前だって直情的だから毒吐いてばかりだろうに。
「だってあんな小さい子供に向かって容赦なくその防具でぶっ放すなんてさ。いきなりあんなことやらかすなんて、アラタの方がどうかしちゃったのかと思ったわよ」
他の仲間もコーティに同意。
だがあの気配を俺と同じように感知していたら、おそらく同じ行動をとってたぞ?
「どうかしてる……つか、明らかに異常なのはあの緑の奴だろ。あれだけ大勢の死体を操って、しかも俺達を相手にしてなさそうな対応だったのが分からんかったか?」
「アイテニシテナカッタ? ナニヲイッテルノ?」
「中身はまともじゃなかったけど、会話は成立してたじゃない」
会話ができる相手ならまとも、という判断は危険すぎる。
見える限りだが、数多くの死体を引き連れて、ニタニタと笑うような奴のどこがまともに相手にしていると?
「自分の手駒にするために、平気で人の体に穴を空ける。逆に言えば、平気で人の体に穴を空けるその対象が、俺達にも当てはまるってことだぞ? 俺らは生きるために生き物の命を奪うこともある。けどアレはそうじゃねぇだろ? 命の価値を、何かの力の源とするんじゃなくて、遊び道具も同然の扱いをしてやがった」
蘇生魔術はあるらしいが、魔力体力が相当削られるらしい。
しかも使い手は数えるほど。
だから、死んでも簡単に生き返らせてもらえるはずはない。
それに、誰もがみんな、体は一つしか持っていない。
であれば、いくら蘇生術があったとしても、命は大切にするものなはず。
それに反した行動をとるあいつは……。
「それにあのままほっといたら、俺達もあの死体の仲間入りになるとこだったかもしれん。それだけヤベぇ奴をそのままにしちゃおけねぇだろ」
「それはそうなんだろうけど……」
「現象と関係がありそうでしたよね。もう少し話を聞き出してからでも……」
「クリマア、意外とお、過激なんだなあ」
クリマーの反応の方が、俺にとっちゃまともに思えるんだが……。
「言い終わった直後に死体にされちまうかも分からん。俺達が無事だったことに満足しろよ、お前ら。……擬態できるクリマーやライムだって、どうなるか分からんかったしな」
自分の意思で体を分裂できる二人でも、どんなことになってたか分からない。
誰からも納得されなくても、俺のしたことは間違いなく最善策だ。
「あれ? アラタ、通話機鳴ってるよ?」
「ん?」
まさか、シアンからか?!
と思ったら、ンーゴだった。
『モクテキチハ、オウキュウッテイッテタケド、オウキュウノドコニデレバイイ?』
あぁ……あそこも広いからな。
「シアンがいない、となれば、普段よりも警戒は強いだろう。となりゃ、王宮の敷地内に入ったら、それこそまたお尋ね者になっちまうか。門の外に広場があったよな? そこに出てもらおうか。そこで俺らもお前から出るから」
「ワカッタ」
戴冠式を行った中庭は広い。
巨体のンーゴですら横たわって寝返りを打っても、建物自体に損害を与えることはないくらい。
そこに顔を出してもいいんだろうが、地盤が脆くなって王宮が崩れるってのもシャレにならん。
それに箝口令を敷いているくらいだ。警戒態勢だって厳しいだろう。
そこに俺らが現れてみろ。
シアンの擁護がない中でそんなことをやらかしたら、王宮にいる奴ら全員満場一致で捕獲されちまう。
だが、敷地外に顔を出すのも気が向かない。
「どうしたの? 浮かない顔して」
伏せているテンちゃんが俺の顔を覗き込む。
こいつにもバレるくらいに、俺の感情が露わになってたか。
「心配事? 何かよくない気配でもあった?」
「隠し事は禁止よ?」
ヨウミとコーティも追随してくる。
まったく。
余計な心配はさせたくねぇんだがな。
「気配は今のとこ何にもねぇよ。ただこう……うまく言えねぇけど、なんかこう、な」
「何かこう、じゃ、更に不安が増すんですけど……」
俺にだって分かんねぇよ。
何か忘れてるような気がするんだが、心当たりもねぇし。
「ま、もっと王宮に近づきゃ、何らかの気配は感じ取れるだろうよ。そこから何かをどうするってことを決めたって遅くはないさ」
と、自分でも無理やり納得しておこう。
※※※※※※ ※※※※※
『アト……ゴフンモスレバ、トウチャクスルゾ』
というンーゴからの通信がきた。
だが、俺は受信どころじゃねぇ。
「うん、分かった。ありかと、ンーゴ」
『トコロデヨウミ、アラタハドウシタ? ナンドカカケタガ、デテクレナカッタナ』
「んと、また具合が悪くなったみたい」
『ダイジョウブカ? ソコデナラ、タイナイニキュウシュウスルカラ、ハイテモイイゾ』
「う……うん、ありがと、ンーゴ。伝えとくね」
あの緑の奴の時と同じく、気持ち悪くなってきた。
王宮に近づいている。
と同時に、あの禍々しい気配も近づいている。
吐き気をもよおすほどの、あの気配。
魔法だなんだで収めようにも、元凶があれだけ強烈なら焼け石に水だ。
「……あの緑の奴みたいな連中が、王宮にいるってこと?」
マッキーからの質問も、首を横に振って答えるのが精一杯。
「しょーがないわね。瘴気に当たったってとこかしら。ま、本来魔物ってのは、そんなもんだと思うわよ? 他種族に対して、その存在すら容赦しないってね。……あたしらも含めて、ね」
「けど、アラタさんは私達にとって、簡単な魔力の補充をしてもらってますし」
「イッショニイルト、タノシイシ」
コーティ、怖ぇよ。
今までと違って、毒吐いてるわけじゃねぇから怖さ倍増だよっ。
「楽しいだけじゃなくって、ここに、ずーっといていいんだなーって。何にも気にせずに一緒にずーっと一緒にいてくれる相手がいるって、なんかうれしいし」
「ウンウン」
思えばライムとテンちゃんが一番長く一緒にいたんだな。
まぁ途中でちとあれこれあったが。
「この人と一緒なら、どこでも生きていけそう、みたいな感じだよね。生活力が高いっていうか」
ヨウミ……なんか、その言葉だけだと、ダメな女性って感じがするぞ?
大丈夫か? お前……。
「でもさあ、いつものアラタならあ、こんなことが起きたらあ、真っ先に逃げそうなんだけどなあ」
「こんなこと?」
「うん。だってえ、俺だってえ、魔物が現れる現象はあ、自然現象だと思ってたからあ。それがあ、誰かの仕業ならあ、相当な力持ってないとできないだろお?」
「それは……そうですね」
「この国中でえ、長年起きてる現象だしい、出てくる魔物も普通じゃないしい」
「……どこぞの組織ぐるみだったとすりゃあ、そうとうでかくないとできねぇわな。なら噂の一つでも上がってもよさそうじゃし。けんどそんな組織の話なんぞ聞いたこたぁねぇな。隠れるのがうめぇ巨大な秘密組織かよ……」
「……そんなの、あたしらの手には負えないわよね。いくら持ってる魔力が膨大でも」
コーティの弱気な発言も怖ぇよ。
打つ手なしってことじゃねぇか。
「確かにモーナーの言う通り、逃げてもおかしくないし、逃げても非難されないわよ? なのに王宮に行くってことは……シアンのこと、やっぱり心配?」
ヨウミの言葉になぜかみんなが盛り上がる。
うるせえよ。
あいつのことなんざどうでもいいよ。
つか、あいつ見てたら腹立たしいんだよ。なぜか。
「……馬鹿言え。……奴ら、俺んとこに来たんだぜ? ……シアンや王族を狙うなら、俺んとこに来る必要ねぇだろ。てこたぁ、狙いは知らんが、俺を目的にやってきたってこったろ。逃げたら追ってくる。そのうち追い詰められるのが目に見えてる」
つか、気持ち悪くて苦しんでる奴に答えを求める質問すんな!
「安否不明のシアンを見つけて、少しでも味方を多くつけるってことか。うん、やっぱアラタらしいわ」
マッキーの一言でみんなが笑う。
何でそれで雰囲気が緩くなるかな。
つか、気配が急に強くなってきてる。
王宮にはまだほど遠いはずなのに。
ということは。
「……みんな。悪い報せだ」
「どうしたの? アラタ?」
言いたくない。
が、言わなきゃならんことだ。
「王宮の中に入ってるかどうかは知らんが……不気味な連中、店の前にやって来た数とは比べ物にならん。千ぐれぇいるんじゃね? 分からんけど。それに不気味な親玉らしいやつもいる」
「千って……」
「生きてる者が相手なら、何とかできると思いますが……」
「シンデルモノガアイテダト……」
「親玉狙うにしても、それらに守られてるなら……こっちの攻撃も届かないよね……」
「しかもお、トドメをさせるのはあ……アラタだけ……」
厳密にいえば、俺とヨウミの防具から出す攻撃。
しかも一斉攻撃。
しかもしかも、倒せる保証はない。
倒したことがある、という経験だけしかない。
「……アラタ。マジで逃げても、誰からも責められないわよ?」
珍しいコーティからの優しい言葉。
涙が出るくらいうれしいが、今出ている涙は襲ってくる吐き気の苦しさだから、多分うれし涙が流れる余裕はない。
それに、俺達が生き延びられる勝算ならある。
戦闘での勝算は分からんが。
「……王宮に入れそうになければ逃げる。けど入れるなら、……そこに逃げ込めば何とかなるかもな」
と、口から出まかせ。
そんな非常事態なら、俺達だけを避難させるために門を開けてくれるだろうか?
もし受け入れてくれるなら、という、完全に皮算用だけどな。
それにしても、吐瀉物をすぐに吸収し、しかも不快な臭いもすぐに消してくれるンーゴの体内って……思った以上に衛生的じゃないか?
で、地中を移動し、王宮を目指す。
その中でのこと。
「それにしても、アラタも直情的よね」
「直情的?」
コーティがその口で何を言ってるのか。
お前だって直情的だから毒吐いてばかりだろうに。
「だってあんな小さい子供に向かって容赦なくその防具でぶっ放すなんてさ。いきなりあんなことやらかすなんて、アラタの方がどうかしちゃったのかと思ったわよ」
他の仲間もコーティに同意。
だがあの気配を俺と同じように感知していたら、おそらく同じ行動をとってたぞ?
「どうかしてる……つか、明らかに異常なのはあの緑の奴だろ。あれだけ大勢の死体を操って、しかも俺達を相手にしてなさそうな対応だったのが分からんかったか?」
「アイテニシテナカッタ? ナニヲイッテルノ?」
「中身はまともじゃなかったけど、会話は成立してたじゃない」
会話ができる相手ならまとも、という判断は危険すぎる。
見える限りだが、数多くの死体を引き連れて、ニタニタと笑うような奴のどこがまともに相手にしていると?
「自分の手駒にするために、平気で人の体に穴を空ける。逆に言えば、平気で人の体に穴を空けるその対象が、俺達にも当てはまるってことだぞ? 俺らは生きるために生き物の命を奪うこともある。けどアレはそうじゃねぇだろ? 命の価値を、何かの力の源とするんじゃなくて、遊び道具も同然の扱いをしてやがった」
蘇生魔術はあるらしいが、魔力体力が相当削られるらしい。
しかも使い手は数えるほど。
だから、死んでも簡単に生き返らせてもらえるはずはない。
それに、誰もがみんな、体は一つしか持っていない。
であれば、いくら蘇生術があったとしても、命は大切にするものなはず。
それに反した行動をとるあいつは……。
「それにあのままほっといたら、俺達もあの死体の仲間入りになるとこだったかもしれん。それだけヤベぇ奴をそのままにしちゃおけねぇだろ」
「それはそうなんだろうけど……」
「現象と関係がありそうでしたよね。もう少し話を聞き出してからでも……」
「クリマア、意外とお、過激なんだなあ」
クリマーの反応の方が、俺にとっちゃまともに思えるんだが……。
「言い終わった直後に死体にされちまうかも分からん。俺達が無事だったことに満足しろよ、お前ら。……擬態できるクリマーやライムだって、どうなるか分からんかったしな」
自分の意思で体を分裂できる二人でも、どんなことになってたか分からない。
誰からも納得されなくても、俺のしたことは間違いなく最善策だ。
「あれ? アラタ、通話機鳴ってるよ?」
「ん?」
まさか、シアンからか?!
と思ったら、ンーゴだった。
『モクテキチハ、オウキュウッテイッテタケド、オウキュウノドコニデレバイイ?』
あぁ……あそこも広いからな。
「シアンがいない、となれば、普段よりも警戒は強いだろう。となりゃ、王宮の敷地内に入ったら、それこそまたお尋ね者になっちまうか。門の外に広場があったよな? そこに出てもらおうか。そこで俺らもお前から出るから」
「ワカッタ」
戴冠式を行った中庭は広い。
巨体のンーゴですら横たわって寝返りを打っても、建物自体に損害を与えることはないくらい。
そこに顔を出してもいいんだろうが、地盤が脆くなって王宮が崩れるってのもシャレにならん。
それに箝口令を敷いているくらいだ。警戒態勢だって厳しいだろう。
そこに俺らが現れてみろ。
シアンの擁護がない中でそんなことをやらかしたら、王宮にいる奴ら全員満場一致で捕獲されちまう。
だが、敷地外に顔を出すのも気が向かない。
「どうしたの? 浮かない顔して」
伏せているテンちゃんが俺の顔を覗き込む。
こいつにもバレるくらいに、俺の感情が露わになってたか。
「心配事? 何かよくない気配でもあった?」
「隠し事は禁止よ?」
ヨウミとコーティも追随してくる。
まったく。
余計な心配はさせたくねぇんだがな。
「気配は今のとこ何にもねぇよ。ただこう……うまく言えねぇけど、なんかこう、な」
「何かこう、じゃ、更に不安が増すんですけど……」
俺にだって分かんねぇよ。
何か忘れてるような気がするんだが、心当たりもねぇし。
「ま、もっと王宮に近づきゃ、何らかの気配は感じ取れるだろうよ。そこから何かをどうするってことを決めたって遅くはないさ」
と、自分でも無理やり納得しておこう。
※※※※※※ ※※※※※
『アト……ゴフンモスレバ、トウチャクスルゾ』
というンーゴからの通信がきた。
だが、俺は受信どころじゃねぇ。
「うん、分かった。ありかと、ンーゴ」
『トコロデヨウミ、アラタハドウシタ? ナンドカカケタガ、デテクレナカッタナ』
「んと、また具合が悪くなったみたい」
『ダイジョウブカ? ソコデナラ、タイナイニキュウシュウスルカラ、ハイテモイイゾ』
「う……うん、ありがと、ンーゴ。伝えとくね」
あの緑の奴の時と同じく、気持ち悪くなってきた。
王宮に近づいている。
と同時に、あの禍々しい気配も近づいている。
吐き気をもよおすほどの、あの気配。
魔法だなんだで収めようにも、元凶があれだけ強烈なら焼け石に水だ。
「……あの緑の奴みたいな連中が、王宮にいるってこと?」
マッキーからの質問も、首を横に振って答えるのが精一杯。
「しょーがないわね。瘴気に当たったってとこかしら。ま、本来魔物ってのは、そんなもんだと思うわよ? 他種族に対して、その存在すら容赦しないってね。……あたしらも含めて、ね」
「けど、アラタさんは私達にとって、簡単な魔力の補充をしてもらってますし」
「イッショニイルト、タノシイシ」
コーティ、怖ぇよ。
今までと違って、毒吐いてるわけじゃねぇから怖さ倍増だよっ。
「楽しいだけじゃなくって、ここに、ずーっといていいんだなーって。何にも気にせずに一緒にずーっと一緒にいてくれる相手がいるって、なんかうれしいし」
「ウンウン」
思えばライムとテンちゃんが一番長く一緒にいたんだな。
まぁ途中でちとあれこれあったが。
「この人と一緒なら、どこでも生きていけそう、みたいな感じだよね。生活力が高いっていうか」
ヨウミ……なんか、その言葉だけだと、ダメな女性って感じがするぞ?
大丈夫か? お前……。
「でもさあ、いつものアラタならあ、こんなことが起きたらあ、真っ先に逃げそうなんだけどなあ」
「こんなこと?」
「うん。だってえ、俺だってえ、魔物が現れる現象はあ、自然現象だと思ってたからあ。それがあ、誰かの仕業ならあ、相当な力持ってないとできないだろお?」
「それは……そうですね」
「この国中でえ、長年起きてる現象だしい、出てくる魔物も普通じゃないしい」
「……どこぞの組織ぐるみだったとすりゃあ、そうとうでかくないとできねぇわな。なら噂の一つでも上がってもよさそうじゃし。けんどそんな組織の話なんぞ聞いたこたぁねぇな。隠れるのがうめぇ巨大な秘密組織かよ……」
「……そんなの、あたしらの手には負えないわよね。いくら持ってる魔力が膨大でも」
コーティの弱気な発言も怖ぇよ。
打つ手なしってことじゃねぇか。
「確かにモーナーの言う通り、逃げてもおかしくないし、逃げても非難されないわよ? なのに王宮に行くってことは……シアンのこと、やっぱり心配?」
ヨウミの言葉になぜかみんなが盛り上がる。
うるせえよ。
あいつのことなんざどうでもいいよ。
つか、あいつ見てたら腹立たしいんだよ。なぜか。
「……馬鹿言え。……奴ら、俺んとこに来たんだぜ? ……シアンや王族を狙うなら、俺んとこに来る必要ねぇだろ。てこたぁ、狙いは知らんが、俺を目的にやってきたってこったろ。逃げたら追ってくる。そのうち追い詰められるのが目に見えてる」
つか、気持ち悪くて苦しんでる奴に答えを求める質問すんな!
「安否不明のシアンを見つけて、少しでも味方を多くつけるってことか。うん、やっぱアラタらしいわ」
マッキーの一言でみんなが笑う。
何でそれで雰囲気が緩くなるかな。
つか、気配が急に強くなってきてる。
王宮にはまだほど遠いはずなのに。
ということは。
「……みんな。悪い報せだ」
「どうしたの? アラタ?」
言いたくない。
が、言わなきゃならんことだ。
「王宮の中に入ってるかどうかは知らんが……不気味な連中、店の前にやって来た数とは比べ物にならん。千ぐれぇいるんじゃね? 分からんけど。それに不気味な親玉らしいやつもいる」
「千って……」
「生きてる者が相手なら、何とかできると思いますが……」
「シンデルモノガアイテダト……」
「親玉狙うにしても、それらに守られてるなら……こっちの攻撃も届かないよね……」
「しかもお、トドメをさせるのはあ……アラタだけ……」
厳密にいえば、俺とヨウミの防具から出す攻撃。
しかも一斉攻撃。
しかもしかも、倒せる保証はない。
倒したことがある、という経験だけしかない。
「……アラタ。マジで逃げても、誰からも責められないわよ?」
珍しいコーティからの優しい言葉。
涙が出るくらいうれしいが、今出ている涙は襲ってくる吐き気の苦しさだから、多分うれし涙が流れる余裕はない。
それに、俺達が生き延びられる勝算ならある。
戦闘での勝算は分からんが。
「……王宮に入れそうになければ逃げる。けど入れるなら、……そこに逃げ込めば何とかなるかもな」
と、口から出まかせ。
そんな非常事態なら、俺達だけを避難させるために門を開けてくれるだろうか?
もし受け入れてくれるなら、という、完全に皮算用だけどな。
それにしても、吐瀉物をすぐに吸収し、しかも不快な臭いもすぐに消してくれるンーゴの体内って……思った以上に衛生的じゃないか?
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