344 / 493
舞姫への悲恋編
そっちとこっちの境界線 その7
しおりを挟む
「なぁ、メイス。お前、彼女と比べて引け目に感じてんだろ?」
メイスは何も答えない。
答えられねぇだろうなぁ。
何かを口にしたら、肩書ばかりじゃなく、内面も見劣りしてしまうことが自分でも分かってるはずだ。
でも言わずにいられない。
ジレンマだよなぁ。
「お前の知らないいろんなことを、マイヤは知ってる。お前の知らない上の階級の世界も、マイヤは知ってる。収入の額だって」
「もう、いいですっ」
「いいわきゃあるか。その、何とかって施設に入るまで、いつも一緒に過ごしてたんだろ? 血が繋がってなくても家族同然じゃねぇか。で、年齢的な面でそこを出された後は、互いに依存することなくここまで生きてこれたんだろうが」
片方が名声を得て、その功労にすり寄って生きて行こうとする根性持ってないだけ立派なもんだ。
そう思うと……僻みや妬みって、案外可愛いもんじゃねえか?
「……でも……どうせ俺は……一生懸命頑張ってきたのに……何の手柄もなく……」
「当たり前だ。一年くらいで物になる奴なんざ、そうはいねぇっての。類まれなる才能ってやつでも持ってなきゃな」
その仕事で生活できるようになるっつーことは、その仕事のプロになるってこった。
客から正当と思われる報酬をもらうんだからな。
プロになって生活できるようになるためには、仕事への信頼が必要になる。
仕事ができても、その仕事はその人がした、という信頼がなきゃ報酬はもらえねぇ。
ソースは俺だ。
仕事を押し付けられて、仕事の完了を報告する。
ところが俺がやった仕事だ、と信頼されなきゃ、その仕事ぶりの評価は俺には来ない。
だから給与も上がらねぇ。
……忘れたくても蘇る記憶。
それがいい思い出じゃねぇから本当に厄介だ。
過去の記憶、誰か何とかしてくんねぇかなぁ。
それに比べてこいつらは、家族は失ったとは言え、謂れのない人間からの負の財産を押し付けられたわけじゃねぇ。
トラブルのレベルの、何と低い事。
自分の心の切り替え次第で解決できることじゃねぇか。
「そんなの……自分にどんな才能があるかなんて、分かるわけないじゃないか! メイムは運が良かったんだよ! 好きかどうかは別として、みんなから認められる仕事を続けられたんだからっ!」
「マイル……。あたし、マイルが周りからどう見られたって気にしないっ! だって……」
「メイム……昨日は……久しぶりに会ったっての言うのに……」
何らかの力を持った者は、その力に見合った人生における選択肢を自由に選ぶことができる。
力持たざる者は、選択肢は狭まれる上、強制的に選ばされることが多い。
……と感じされられることはある。
それは……メイスもおんなじか。
将来は一緒に生活することを当人同士で決めたとしても、力を持った方は、その力を支配したいと思った、より力を持つ者によって将来を決めさせられる。
あるいは、力を持てなかった者を選び捨てる。
世間の荒波に飲まれ、自分を見失う……。
世知辛ぇなぁ。
「俺よりも先にアラタさんに声かけて……アラタさんの通話機を借りてまで通話する相手が国王陛下? 俺は……俺は今まで……何やってたんだろ……ほんと……」
おっとそれは良くない一言だぞ?
「ただの八つ当たりじゃねぇか。こいつを守るために一緒に暮らす、みたいなこと言ってなかったか?」
言ってなかったかな?
まぁいいや。口から出まかせだぃな。
「それにメイスよぉ、俺はこいつに踏み台にされてただけだぞ?」
「踏み台? どういうこと……」
「え? あたし、そんなつもりじゃ」
マイヤが誰よりもメイスのことを思って、優先しての行動と思わせりゃよかろ?
「二人とも、何の仕事にも就かなくてものんびり生活できるようになるために大金稼ぐってんで、そのために利用されただけだよ」
「そんな、あたしそんな人聞きの悪い……」
「お前ら、この人生何才くらいで死ぬつもりよ? 百だったら、あと九十年くらいだろ? 一か月の生活費、二万円ってわけにゃいくめぇよ。二十万だって足りねぇんじゃねぇの? それが十二ヶ月だから、一年で二百万あっても足りねぇわな。どんぶり勘定で二億円か? いくら有名な踊り子でも、そこまで貯めちゃいねぇだろ」
「あ、あたしそこまで考えては……」
マイヤは途中で口を挟もうとするが無視無視。
そんなのは些細な問題だ。気にするまでもない。
「それにこいつ言ってたぞ? 人気はいつか落ちるかもしれない。そしたら収入がなくなるから、その時が来るまで稼ぐだけ稼がないと、お前といつまでも一緒にいることができないってよ。身売りされたんだろ? お前ら。つまり借金抱えてるわけだ。その借金がどんくらい残ってるか知らねぇが、残ってようがどうだろうが、稼いで損することはねぇよな? どのみち昔話で懐かしんでる暇はなかろうよ」
「……人気が落ちるなんてこと、あるわけが……」
まぁ……見知らぬ業界の内情なんて想像もつかないから、彼女の人気が落ちるなんてことも思いもしないんだろうが、諸行は無常なんだぜ?
俺への嫉妬心は薄れてるっぽいが……。
「マイル、そんなことないよ。落ちたら見向きもされないことって、よくあるし、そうなるとどんどんお客さんがいなくなってく先輩達もいっぱい見た。あたしも……いつかは収入が減る時が来ると思う。けどね、あたしには、人気が落ちても綺麗じゃなくなっても、ずっとあたしのこと見ててくれる人、いるから」
おう、そうだな。
彼女さんよ、彼氏に言ってやれ言ってやれ。
「なっ……」
「だから、それまでは稼げるまで稼がないと、ね。……今はまだ誰にも言ってないけど……いつかはバレると思ってる。そうなってからは多分、今の人気が続かないだろうから……そのあとはマイル、頼りにしてるからね?」
「で、でも、メイム。お前……俺の事、見下して……」
男下げてんじゃねぇよ。
「お前なぁ。若い踊り子で人気があるんだぞ? 言い寄る連中山ほどいそう、くらいの想像力ねぇのかよ」
「そ、それくらいは」
「なのに今、どうよ? 一人きりでここに来てたんだぞ? 誰かと同伴じゃねぇんだぞ? 付きまとわれることはあるかもしれんが、そんな奴らがいたとしても、こいつ、もろに無警戒だ。そんな奴ら、眼中にいねぇってこったろうが」
「う……」
大体女の子にそこまで言われて、それでもグダグダごねてるってこたぁ、こいつ自身も問題抱えてるんだよな。
……その世話までやかにゃならねぇのかよ……。
乗り掛かった船があまりにも厄介な構造すぎる。
「まぁ、確かに腰が引ける気持ちは分からなくはない。一緒になるにふさわしい相手かどうか、とか、釣り合いがとれてるか、とか、まぁ胸張って、この子の彼氏だって言い張れりゃ問題はねぇわけだ。ところが同じ年月を重ねて、彼女のように名を上げるどころか、うだつが上がらねぇっつーか、そこんとこだよな。別の仕事に就くことも視野に入れてもいいんじゃねぇの?」
「俺だって……。これしかできないからこれやってんだ。他に、もっと稼げる仕事があればやってるよ。でも……普通の仕事したって……釣り合いとれるほどの儲けなんか……」
今度はいじけか?
……俺もいじけたことはあったが……こぼす相手がいる分、俺よりは幸せかもしれん。
俺にも、俺に何か言ってくれる奴がいたら今頃は……。
……いかんいかん。こっちも落ち込んじまいそうだ。
それに、こいつの言うことに一つ間違いがある。
「お前、これしかってどれのことだよ」
「どれって……この仕事のことだよ!」
「嘘つけ」
「何でそんなこと言うんすかっ」
頭ごなしに否定されたら、そりゃ誰でも腹立つわな。
けどな。
「剣まともに使えねぇから、ずっとこん棒、メイス使ってるっつってたじゃねえか。人よりもその武器の特徴とか、よく知ってんじゃねえか? だったらその専門家になれなくはねぇと思わねぇか?」
「……俺を馬鹿にしてんですか?」
「じゃあ米しか扱ってねぇ俺の店を、お前は馬鹿にしてんのか?」
「ど、どういうことっすかっ」
「……今までどんなこと思って仕事してたか知らんが、誰かの助けになるつもりで仕事してみろってこったよ。儲けになるかならねぇか、確かにそれも重要だがな。多くの人から求められる有り難さを生産してみろってこった」
言い方がひねくれてたか?
別にいっか。
話はこれでお終いって訳じゃねぇ。
「いろんな形とか大きさのやつ、使ってみたんじゃねぇの? その経験を活かしてみたらいいさ。少なくとも、命かけても得られるかどうか分からんお宝探すよりは、安定した収入は得られるんじゃねぇの?」
二人には青天の霹靂な提案だ。
俺も自覚してる。
突拍子もないことを何口走ってんだ、とな。
突然の提案は、もちろん思いつきなんだが……実は、ある程度の勝算はある。
前々から考えてたんだけどな。
メイスは何も答えない。
答えられねぇだろうなぁ。
何かを口にしたら、肩書ばかりじゃなく、内面も見劣りしてしまうことが自分でも分かってるはずだ。
でも言わずにいられない。
ジレンマだよなぁ。
「お前の知らないいろんなことを、マイヤは知ってる。お前の知らない上の階級の世界も、マイヤは知ってる。収入の額だって」
「もう、いいですっ」
「いいわきゃあるか。その、何とかって施設に入るまで、いつも一緒に過ごしてたんだろ? 血が繋がってなくても家族同然じゃねぇか。で、年齢的な面でそこを出された後は、互いに依存することなくここまで生きてこれたんだろうが」
片方が名声を得て、その功労にすり寄って生きて行こうとする根性持ってないだけ立派なもんだ。
そう思うと……僻みや妬みって、案外可愛いもんじゃねえか?
「……でも……どうせ俺は……一生懸命頑張ってきたのに……何の手柄もなく……」
「当たり前だ。一年くらいで物になる奴なんざ、そうはいねぇっての。類まれなる才能ってやつでも持ってなきゃな」
その仕事で生活できるようになるっつーことは、その仕事のプロになるってこった。
客から正当と思われる報酬をもらうんだからな。
プロになって生活できるようになるためには、仕事への信頼が必要になる。
仕事ができても、その仕事はその人がした、という信頼がなきゃ報酬はもらえねぇ。
ソースは俺だ。
仕事を押し付けられて、仕事の完了を報告する。
ところが俺がやった仕事だ、と信頼されなきゃ、その仕事ぶりの評価は俺には来ない。
だから給与も上がらねぇ。
……忘れたくても蘇る記憶。
それがいい思い出じゃねぇから本当に厄介だ。
過去の記憶、誰か何とかしてくんねぇかなぁ。
それに比べてこいつらは、家族は失ったとは言え、謂れのない人間からの負の財産を押し付けられたわけじゃねぇ。
トラブルのレベルの、何と低い事。
自分の心の切り替え次第で解決できることじゃねぇか。
「そんなの……自分にどんな才能があるかなんて、分かるわけないじゃないか! メイムは運が良かったんだよ! 好きかどうかは別として、みんなから認められる仕事を続けられたんだからっ!」
「マイル……。あたし、マイルが周りからどう見られたって気にしないっ! だって……」
「メイム……昨日は……久しぶりに会ったっての言うのに……」
何らかの力を持った者は、その力に見合った人生における選択肢を自由に選ぶことができる。
力持たざる者は、選択肢は狭まれる上、強制的に選ばされることが多い。
……と感じされられることはある。
それは……メイスもおんなじか。
将来は一緒に生活することを当人同士で決めたとしても、力を持った方は、その力を支配したいと思った、より力を持つ者によって将来を決めさせられる。
あるいは、力を持てなかった者を選び捨てる。
世間の荒波に飲まれ、自分を見失う……。
世知辛ぇなぁ。
「俺よりも先にアラタさんに声かけて……アラタさんの通話機を借りてまで通話する相手が国王陛下? 俺は……俺は今まで……何やってたんだろ……ほんと……」
おっとそれは良くない一言だぞ?
「ただの八つ当たりじゃねぇか。こいつを守るために一緒に暮らす、みたいなこと言ってなかったか?」
言ってなかったかな?
まぁいいや。口から出まかせだぃな。
「それにメイスよぉ、俺はこいつに踏み台にされてただけだぞ?」
「踏み台? どういうこと……」
「え? あたし、そんなつもりじゃ」
マイヤが誰よりもメイスのことを思って、優先しての行動と思わせりゃよかろ?
「二人とも、何の仕事にも就かなくてものんびり生活できるようになるために大金稼ぐってんで、そのために利用されただけだよ」
「そんな、あたしそんな人聞きの悪い……」
「お前ら、この人生何才くらいで死ぬつもりよ? 百だったら、あと九十年くらいだろ? 一か月の生活費、二万円ってわけにゃいくめぇよ。二十万だって足りねぇんじゃねぇの? それが十二ヶ月だから、一年で二百万あっても足りねぇわな。どんぶり勘定で二億円か? いくら有名な踊り子でも、そこまで貯めちゃいねぇだろ」
「あ、あたしそこまで考えては……」
マイヤは途中で口を挟もうとするが無視無視。
そんなのは些細な問題だ。気にするまでもない。
「それにこいつ言ってたぞ? 人気はいつか落ちるかもしれない。そしたら収入がなくなるから、その時が来るまで稼ぐだけ稼がないと、お前といつまでも一緒にいることができないってよ。身売りされたんだろ? お前ら。つまり借金抱えてるわけだ。その借金がどんくらい残ってるか知らねぇが、残ってようがどうだろうが、稼いで損することはねぇよな? どのみち昔話で懐かしんでる暇はなかろうよ」
「……人気が落ちるなんてこと、あるわけが……」
まぁ……見知らぬ業界の内情なんて想像もつかないから、彼女の人気が落ちるなんてことも思いもしないんだろうが、諸行は無常なんだぜ?
俺への嫉妬心は薄れてるっぽいが……。
「マイル、そんなことないよ。落ちたら見向きもされないことって、よくあるし、そうなるとどんどんお客さんがいなくなってく先輩達もいっぱい見た。あたしも……いつかは収入が減る時が来ると思う。けどね、あたしには、人気が落ちても綺麗じゃなくなっても、ずっとあたしのこと見ててくれる人、いるから」
おう、そうだな。
彼女さんよ、彼氏に言ってやれ言ってやれ。
「なっ……」
「だから、それまでは稼げるまで稼がないと、ね。……今はまだ誰にも言ってないけど……いつかはバレると思ってる。そうなってからは多分、今の人気が続かないだろうから……そのあとはマイル、頼りにしてるからね?」
「で、でも、メイム。お前……俺の事、見下して……」
男下げてんじゃねぇよ。
「お前なぁ。若い踊り子で人気があるんだぞ? 言い寄る連中山ほどいそう、くらいの想像力ねぇのかよ」
「そ、それくらいは」
「なのに今、どうよ? 一人きりでここに来てたんだぞ? 誰かと同伴じゃねぇんだぞ? 付きまとわれることはあるかもしれんが、そんな奴らがいたとしても、こいつ、もろに無警戒だ。そんな奴ら、眼中にいねぇってこったろうが」
「う……」
大体女の子にそこまで言われて、それでもグダグダごねてるってこたぁ、こいつ自身も問題抱えてるんだよな。
……その世話までやかにゃならねぇのかよ……。
乗り掛かった船があまりにも厄介な構造すぎる。
「まぁ、確かに腰が引ける気持ちは分からなくはない。一緒になるにふさわしい相手かどうか、とか、釣り合いがとれてるか、とか、まぁ胸張って、この子の彼氏だって言い張れりゃ問題はねぇわけだ。ところが同じ年月を重ねて、彼女のように名を上げるどころか、うだつが上がらねぇっつーか、そこんとこだよな。別の仕事に就くことも視野に入れてもいいんじゃねぇの?」
「俺だって……。これしかできないからこれやってんだ。他に、もっと稼げる仕事があればやってるよ。でも……普通の仕事したって……釣り合いとれるほどの儲けなんか……」
今度はいじけか?
……俺もいじけたことはあったが……こぼす相手がいる分、俺よりは幸せかもしれん。
俺にも、俺に何か言ってくれる奴がいたら今頃は……。
……いかんいかん。こっちも落ち込んじまいそうだ。
それに、こいつの言うことに一つ間違いがある。
「お前、これしかってどれのことだよ」
「どれって……この仕事のことだよ!」
「嘘つけ」
「何でそんなこと言うんすかっ」
頭ごなしに否定されたら、そりゃ誰でも腹立つわな。
けどな。
「剣まともに使えねぇから、ずっとこん棒、メイス使ってるっつってたじゃねえか。人よりもその武器の特徴とか、よく知ってんじゃねえか? だったらその専門家になれなくはねぇと思わねぇか?」
「……俺を馬鹿にしてんですか?」
「じゃあ米しか扱ってねぇ俺の店を、お前は馬鹿にしてんのか?」
「ど、どういうことっすかっ」
「……今までどんなこと思って仕事してたか知らんが、誰かの助けになるつもりで仕事してみろってこったよ。儲けになるかならねぇか、確かにそれも重要だがな。多くの人から求められる有り難さを生産してみろってこった」
言い方がひねくれてたか?
別にいっか。
話はこれでお終いって訳じゃねぇ。
「いろんな形とか大きさのやつ、使ってみたんじゃねぇの? その経験を活かしてみたらいいさ。少なくとも、命かけても得られるかどうか分からんお宝探すよりは、安定した収入は得られるんじゃねぇの?」
二人には青天の霹靂な提案だ。
俺も自覚してる。
突拍子もないことを何口走ってんだ、とな。
突然の提案は、もちろん思いつきなんだが……実は、ある程度の勝算はある。
前々から考えてたんだけどな。
0
お気に入りに追加
1,586
あなたにおすすめの小説
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
追放されたテイマー半年後に従魔が最強になったのでまた冒険する
Miiya
ファンタジー
「テイマーって面白そうだったから入れてたけど使えんから出ていって。」と言われ1ヶ月間いたパーティーを追放されてしまったトーマ=タグス。仕方なく田舎にある実家に戻りそこで農作業と副業をしてなんとか稼いでいた。そんな暮らしも半年が経った後、たまたま飼っていたスライムと小鳥が最強になりもう一度冒険をすることにした。そしてテイマーとして覚醒した彼と追放したパーティーが出会い彼の本当の実力を知ることになる。
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
今日も誰かが飯を食いに来る。異世界スローライフ希望者の憂鬱。
KBT
ファンタジー
神の気まぐれで異世界転移した荻野遼ことリョウ。
神がお詫びにどんな能力もくれると言う中で、リョウが選んだのは戦闘能力皆無の探索能力と生活魔法だった。
現代日本の荒んだ社会に疲れたリョウは、この地で素材採取の仕事をしながら第二の人生をのんびりと歩もうと決めた。
スローライフ、1人の自由な暮らしに憧れていたリョウは目立たないように、優れた能力をひた隠しにしつつ、街から少し離れた森の中でひっそりと暮らしていた。
しかし、何故か飯時になるとやって来る者達がリョウにのんびりとした生活を許してくれないのだ。
これは地味に生きたいリョウと派手に生きている者達の異世界物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる