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王宮動乱編
アラタの、新たな事業? その6
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泉や雪崩の現象から現れた魔物によって、家族を失った子供達がこの世界には数えきれないほどいるんだそうだ。
現象とは無関係の魔物との戦闘で命を落とした冒険者達もいる。
そのことで家庭の収入が途絶え困窮する遺族もいる。
仕事がないわけじゃない。
仕事との縁がないだけ、なんだそうだ。
「お試し期間は一か月にしよう。もちろん特定の人達に一か月間つきっきりで仕事させるも、他の誰かとの縁で他の仕事に転職させるも、それはアラタに任せるよ」
シアンからはそんなことを言われた。
けどな、どんな連中が手伝いに来るのか分からないってのも不安だ。
だからある程度の仕事の内容をシアンに伝えておいた。
おにぎりの店では、洗米、米運び、おにぎり作り、包みや水筒作り、金の勘定といった仕事を手伝ってもらいたい。
集団戦では、予定表作りと予定を埋めること。
温泉では、入浴客の人数の把握。
単純な作業もあるが、年端のいかない子供にも、生活するための知恵を、仕事を通しての一般常識と共に身に付けてほしい、ということで。
「じゃあヨウミ、お前は集団戦の受け付けの係の方頼むわ。こっちのメンバー選びと場所選び、相手の要望を聞きながらってことだから、そっちはその説明だけで手一杯だろ」
「うん。でもアラタは大丈夫? 温泉の受け付けとおにぎりの方の説明するんでしょ?」
「温泉の方は金銭は全く関わらねぇから大丈夫だろ。それに大人中心に教えときゃ、俺は店につきっきりでも問題ねぇだろ」
「何か不安だけど……頑張ろうね」
あ、何か久しぶりに温かい言葉を聞いた気がする。
いっつも、いろいろといじられてばかりだったからなぁ。
※※※※※ ※※※※※
就職口を探す幅を広げるための支援事業、ってことだよな。
シアンの親衛隊三人ほどに連れられてきた参加者。
参加したのかさせられたのかは分からんが、誰も彼も表情が沈んでる。
気の毒に思うが、それぞれが抱えてる個人的事情なんて知ったこっちゃない。
大人……おそらく二十代の男女二人。そして子供らは……十人くらいと思うが、数える気はしない。
自己紹介も、俺とヨウミだけで終わらせた。
そっち側の自己紹介なんか、されたって覚えてらんねぇし給与渡すこともねぇし、縁が見つかったら転職いつでもオッケーなんだし。
でもそっち側はこっちの名前覚えてもらわねぇと、何の質問もできねぇだろうからな。
温泉には大人の男と子供四人。
集団戦受付には大人の女と子供三人。
残りの子供らが店の手伝い。
「ということで、温泉の番台……受け付けは、脱衣所で混雑起こさないように、同時に利用する人数に上限を決めて受付すること。浴場は相当広いから混雑はないと思うがな。それとタオル持参してない人は立ち入り禁止。この人に貸した、この人に貸してない、っつー差別が生まれちまったらもう手に負えねぇトラブルになるから」
「はい、分かりました」
表情が暗いから、無気力な奴だと思ってたらそうでもなかった。
全員、その表情は変わらんが、何かの作業にはやる気を示してる。
大人に説明するのは気が楽だ。
理解してもらえやすいからな。
「……でも、利用客は冒険者達なんですよね? 無法者とかが来たらどうしましょう?」
「仕掛けがあるんだよ。この仕掛けを動かすと……壁が倒れる」
「は? 壁が倒れる? 何か意味があるんですか?」
「壁が倒れりゃ天井も崩れる。温泉はそのままだけど、壁や天井が崩れりゃこのフィールドの端にある、洗い場がある溜池にしかならない。そんな所に素っ裸でいたら、変な目で見られるだろ?」
「他のお客さんもその被害に遭いますよ? 大丈夫なんですか?」
「こっちの言うことを聞かない客は、他の客から袋叩きの刑に遭う。仕掛けを動かすときには場内にいる客に注意を呼び掛けりゃそれでいいさ。そのあとで俺の方に逃げ込め。あとは何とかしてやるよ。注意書きも貼ってあるし、そこまで強引に入りたがる奴ぁいねぇだろ」
その仕掛けは、脱衣場を建ててくれた冒険者達の配慮だった。
俺がするにせよ手伝いがするにせよ、非力な奴が担当するだろうから、そんな奴でも仕切れるようにってことでな。
ま、何かあったらガキらを連れてすぐにこっちに逃げ込むように言っといたし、問題ねぇだろ。
仕事の内容も単純なのしかねぇしな。
それに比べて店の方は……。
※※※※※ ※※※※※
「……まずみんなに米洗いしてもらうか。そのあとで米運び。バケツリレーでやりゃ、いくらか負担は軽くなるだろ」
店手伝いは子供ばかり。
大人なら、気持ちを切り替えて仕事にとりくむこともできるが、子供はそうはいかないらしいな。
まぁ……誰かに甘えたい年頃なのに、その相手がいないってんじゃなぁ。
けど、この事業に参加したってことは、それなりに覚悟はできてる……とは思うんだが。
無理やり参加させられたケースかもしれん。
が、その事情だって俺の知ったこっちゃねぇ。
が、その前に。
……俺の米の選別と収集作業が先だった。
現象とは無関係の魔物との戦闘で命を落とした冒険者達もいる。
そのことで家庭の収入が途絶え困窮する遺族もいる。
仕事がないわけじゃない。
仕事との縁がないだけ、なんだそうだ。
「お試し期間は一か月にしよう。もちろん特定の人達に一か月間つきっきりで仕事させるも、他の誰かとの縁で他の仕事に転職させるも、それはアラタに任せるよ」
シアンからはそんなことを言われた。
けどな、どんな連中が手伝いに来るのか分からないってのも不安だ。
だからある程度の仕事の内容をシアンに伝えておいた。
おにぎりの店では、洗米、米運び、おにぎり作り、包みや水筒作り、金の勘定といった仕事を手伝ってもらいたい。
集団戦では、予定表作りと予定を埋めること。
温泉では、入浴客の人数の把握。
単純な作業もあるが、年端のいかない子供にも、生活するための知恵を、仕事を通しての一般常識と共に身に付けてほしい、ということで。
「じゃあヨウミ、お前は集団戦の受け付けの係の方頼むわ。こっちのメンバー選びと場所選び、相手の要望を聞きながらってことだから、そっちはその説明だけで手一杯だろ」
「うん。でもアラタは大丈夫? 温泉の受け付けとおにぎりの方の説明するんでしょ?」
「温泉の方は金銭は全く関わらねぇから大丈夫だろ。それに大人中心に教えときゃ、俺は店につきっきりでも問題ねぇだろ」
「何か不安だけど……頑張ろうね」
あ、何か久しぶりに温かい言葉を聞いた気がする。
いっつも、いろいろといじられてばかりだったからなぁ。
※※※※※ ※※※※※
就職口を探す幅を広げるための支援事業、ってことだよな。
シアンの親衛隊三人ほどに連れられてきた参加者。
参加したのかさせられたのかは分からんが、誰も彼も表情が沈んでる。
気の毒に思うが、それぞれが抱えてる個人的事情なんて知ったこっちゃない。
大人……おそらく二十代の男女二人。そして子供らは……十人くらいと思うが、数える気はしない。
自己紹介も、俺とヨウミだけで終わらせた。
そっち側の自己紹介なんか、されたって覚えてらんねぇし給与渡すこともねぇし、縁が見つかったら転職いつでもオッケーなんだし。
でもそっち側はこっちの名前覚えてもらわねぇと、何の質問もできねぇだろうからな。
温泉には大人の男と子供四人。
集団戦受付には大人の女と子供三人。
残りの子供らが店の手伝い。
「ということで、温泉の番台……受け付けは、脱衣所で混雑起こさないように、同時に利用する人数に上限を決めて受付すること。浴場は相当広いから混雑はないと思うがな。それとタオル持参してない人は立ち入り禁止。この人に貸した、この人に貸してない、っつー差別が生まれちまったらもう手に負えねぇトラブルになるから」
「はい、分かりました」
表情が暗いから、無気力な奴だと思ってたらそうでもなかった。
全員、その表情は変わらんが、何かの作業にはやる気を示してる。
大人に説明するのは気が楽だ。
理解してもらえやすいからな。
「……でも、利用客は冒険者達なんですよね? 無法者とかが来たらどうしましょう?」
「仕掛けがあるんだよ。この仕掛けを動かすと……壁が倒れる」
「は? 壁が倒れる? 何か意味があるんですか?」
「壁が倒れりゃ天井も崩れる。温泉はそのままだけど、壁や天井が崩れりゃこのフィールドの端にある、洗い場がある溜池にしかならない。そんな所に素っ裸でいたら、変な目で見られるだろ?」
「他のお客さんもその被害に遭いますよ? 大丈夫なんですか?」
「こっちの言うことを聞かない客は、他の客から袋叩きの刑に遭う。仕掛けを動かすときには場内にいる客に注意を呼び掛けりゃそれでいいさ。そのあとで俺の方に逃げ込め。あとは何とかしてやるよ。注意書きも貼ってあるし、そこまで強引に入りたがる奴ぁいねぇだろ」
その仕掛けは、脱衣場を建ててくれた冒険者達の配慮だった。
俺がするにせよ手伝いがするにせよ、非力な奴が担当するだろうから、そんな奴でも仕切れるようにってことでな。
ま、何かあったらガキらを連れてすぐにこっちに逃げ込むように言っといたし、問題ねぇだろ。
仕事の内容も単純なのしかねぇしな。
それに比べて店の方は……。
※※※※※ ※※※※※
「……まずみんなに米洗いしてもらうか。そのあとで米運び。バケツリレーでやりゃ、いくらか負担は軽くなるだろ」
店手伝いは子供ばかり。
大人なら、気持ちを切り替えて仕事にとりくむこともできるが、子供はそうはいかないらしいな。
まぁ……誰かに甘えたい年頃なのに、その相手がいないってんじゃなぁ。
けど、この事業に参加したってことは、それなりに覚悟はできてる……とは思うんだが。
無理やり参加させられたケースかもしれん。
が、その事情だって俺の知ったこっちゃねぇ。
が、その前に。
……俺の米の選別と収集作業が先だった。
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