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店の日常編
千里を走るのは、悪事だけじゃない その4
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「え?! 店辞めるの?!」
「辞めたらどうなるかなーって思ったら、何か楽しくなってきちゃってな」
「何でえ、そう思うんだよお?」
その日の晩飯時は大騒ぎになるのは、まぁしょうがないよな。
けど、お尋ね者になった頃と比べりゃ、随分とまぁ可愛いもんじゃねぇか。
あん時は、捕まったら即処刑、そんな感じだ。
だが今回はどうよ?
痛い目に遭わなきゃ分かんねぇみてぇだなってレベルだろ?
「貯金はかなりある。二か月くらいなら自給自足の生活してても問題ない。遊び歩くのは勘弁だがな」
「それは……仕事してた時間を、畑とか田んぼとか耕して作物を育てる生活をすれば問題ないってことなんでしょうけど」
「田んぼは耕す必要はねぇな。ススキモドキがあるからな。あと食事はクリマーが言った通り、作物を作るってことだが……森の中に行きゃ、何か食うものはいろいろ生えてるだろ。山菜とか」
「タクサン、アルヨ。タベルモノニハ、タブンコマラナイ」
「うん。生活に必要なのは衣食住。そのうちの住む場所に食う物は困らない。となると、あとは衣服とかだよな?」
「肉とかは?」
ヨウミが心配そうに聞いてきたが、肉だったら……そりゃあ……。
「あたしらがいるから心配ないよ、ヨウミ」
「そそ。ずっと一緒にいるからねー」
「ちょ、ちょっと、テンちゃんっ」
モフモフとは違う系統だが、テンちゃんがヨウミに体を押し付けながらスリスリする。
気持ちよさそうだな。
「けんどよぉ、俺とンーゴとの契約はどうなるんや?」
「契約?」
「毎日俺らにおにぎり食わしてくれるっつー話やど? もう作れんってなったら、ハイサヨウナラやけんどな?」
「辞めるのは商売だぞ? 商売辞めてもおにぎり作りは続けるさ」
「へ?」
「ナンカ、ヨクワカランガ……コノアトモ、アラタノオニギリハクエル、ッテコトデイイカ?」
「あぁ、心配すんな。ということで、野菜とか果物とかの畑作ってみようかなーとか思ったりする」
「カネッテモンガヒツヨウダッタリ、ヒツヨウジャナカッタリ。ヒトノシャカイトハ、ジツニムズカシイ」
「まったくだなや」
※※※※※ ※※※※※
「え? 金を受け取らない?」
「どういうこと? ただで持って行けるの?」
翌朝の店の営業が始まる時間。
客達は案の定大騒ぎ。
「商売は? 儲け、ないだろ」
「生活していけるの?」
こっちより、自分の生活心配しろよ。
いつも命がけの仕事だろ?
「どこぞの若者達から、営業妨害だから店を閉めろってな」
うわぁ。
ハチの巣をつつくような大騒ぎ。
俺の方がドン引きだわ。
「ひょっとして、あの看板の店か?」
「おい、アラタ! そいつら、どんなやつだよ! とっちめてやる!」
どこの誰とは言ってなかったもんな。
所在不明の正体不明。
どこかの組織の回し者かも分からんし。
「名前も名乗ならかったしなー。ま、商売しなきゃいいことだ。ストックはかなりあるしよ。けど、順番守らねぇ客は出入り禁止にすんぜ? あと騒がしくする奴もだ。言っとくが、店の前に限った話じゃねぇからな? 村中の騒ぎになったら、その責任は俺に来るんだからよ」
負いたくない責任を負わされるのもご免だしな。
「それと、タダだからって持ちきれないほど持ってくのも勘弁してくれ。おにぎりは必要な分だけ持ってくこと」
「ま、まぁ……アラタがそう言うんなら……」
騒ぎにはならなかったが、いつもよりざわついてる。
まぁそれくらいは仕方がねぇわな。
「まぁなんだ、タダより高い物はないっつーが、今回に限っては裏事情があるから、客に損害はねぇ。必要な分なら好きに持ってけ」
列が動き出す。
会計が必要じゃないだけ、列の動きは一々止まることがない。
見てて気持ちいいもんだな。
「アラタ」
「何だよ、ヨウミ」
「ボーっとしてないで、おにぎり出してよ」
お、おう。
会計しなくていいってことと、仕事しなくていいってこととは違うな、確かに、うん。
※※※※※ ※※※※※
ただでおにぎりを配る。
このやり方は、はっきり言って失敗だ。
「お腹、減ってきたね」
「並んでる客、減らないね」
「誰ですか? こんなこと考えた人はっ」
アーアーアーっ。
キコエナーイっ。
大体、俺だってこうなるなんて予想もしてなかった。
一時、列の人数が減ってたんだが、次第に人数が増えてきて、昼飯の時間が目前だ。
ドーセンに注文しに行っても、順番待ちで待たされるんじゃねぇか?
「目の前に食いもんがあるのに、それを食えねぇってのはつれぇな」
「ぶつくさ言ってないで、とっとと品出ししなさいっ!」
お昼の時間の昼食のお預けの戦犯扱いだなこれ。
昼休みの時間、あらかじめ決めとくべきだったな……。
「辞めたらどうなるかなーって思ったら、何か楽しくなってきちゃってな」
「何でえ、そう思うんだよお?」
その日の晩飯時は大騒ぎになるのは、まぁしょうがないよな。
けど、お尋ね者になった頃と比べりゃ、随分とまぁ可愛いもんじゃねぇか。
あん時は、捕まったら即処刑、そんな感じだ。
だが今回はどうよ?
痛い目に遭わなきゃ分かんねぇみてぇだなってレベルだろ?
「貯金はかなりある。二か月くらいなら自給自足の生活してても問題ない。遊び歩くのは勘弁だがな」
「それは……仕事してた時間を、畑とか田んぼとか耕して作物を育てる生活をすれば問題ないってことなんでしょうけど」
「田んぼは耕す必要はねぇな。ススキモドキがあるからな。あと食事はクリマーが言った通り、作物を作るってことだが……森の中に行きゃ、何か食うものはいろいろ生えてるだろ。山菜とか」
「タクサン、アルヨ。タベルモノニハ、タブンコマラナイ」
「うん。生活に必要なのは衣食住。そのうちの住む場所に食う物は困らない。となると、あとは衣服とかだよな?」
「肉とかは?」
ヨウミが心配そうに聞いてきたが、肉だったら……そりゃあ……。
「あたしらがいるから心配ないよ、ヨウミ」
「そそ。ずっと一緒にいるからねー」
「ちょ、ちょっと、テンちゃんっ」
モフモフとは違う系統だが、テンちゃんがヨウミに体を押し付けながらスリスリする。
気持ちよさそうだな。
「けんどよぉ、俺とンーゴとの契約はどうなるんや?」
「契約?」
「毎日俺らにおにぎり食わしてくれるっつー話やど? もう作れんってなったら、ハイサヨウナラやけんどな?」
「辞めるのは商売だぞ? 商売辞めてもおにぎり作りは続けるさ」
「へ?」
「ナンカ、ヨクワカランガ……コノアトモ、アラタノオニギリハクエル、ッテコトデイイカ?」
「あぁ、心配すんな。ということで、野菜とか果物とかの畑作ってみようかなーとか思ったりする」
「カネッテモンガヒツヨウダッタリ、ヒツヨウジャナカッタリ。ヒトノシャカイトハ、ジツニムズカシイ」
「まったくだなや」
※※※※※ ※※※※※
「え? 金を受け取らない?」
「どういうこと? ただで持って行けるの?」
翌朝の店の営業が始まる時間。
客達は案の定大騒ぎ。
「商売は? 儲け、ないだろ」
「生活していけるの?」
こっちより、自分の生活心配しろよ。
いつも命がけの仕事だろ?
「どこぞの若者達から、営業妨害だから店を閉めろってな」
うわぁ。
ハチの巣をつつくような大騒ぎ。
俺の方がドン引きだわ。
「ひょっとして、あの看板の店か?」
「おい、アラタ! そいつら、どんなやつだよ! とっちめてやる!」
どこの誰とは言ってなかったもんな。
所在不明の正体不明。
どこかの組織の回し者かも分からんし。
「名前も名乗ならかったしなー。ま、商売しなきゃいいことだ。ストックはかなりあるしよ。けど、順番守らねぇ客は出入り禁止にすんぜ? あと騒がしくする奴もだ。言っとくが、店の前に限った話じゃねぇからな? 村中の騒ぎになったら、その責任は俺に来るんだからよ」
負いたくない責任を負わされるのもご免だしな。
「それと、タダだからって持ちきれないほど持ってくのも勘弁してくれ。おにぎりは必要な分だけ持ってくこと」
「ま、まぁ……アラタがそう言うんなら……」
騒ぎにはならなかったが、いつもよりざわついてる。
まぁそれくらいは仕方がねぇわな。
「まぁなんだ、タダより高い物はないっつーが、今回に限っては裏事情があるから、客に損害はねぇ。必要な分なら好きに持ってけ」
列が動き出す。
会計が必要じゃないだけ、列の動きは一々止まることがない。
見てて気持ちいいもんだな。
「アラタ」
「何だよ、ヨウミ」
「ボーっとしてないで、おにぎり出してよ」
お、おう。
会計しなくていいってことと、仕事しなくていいってこととは違うな、確かに、うん。
※※※※※ ※※※※※
ただでおにぎりを配る。
このやり方は、はっきり言って失敗だ。
「お腹、減ってきたね」
「並んでる客、減らないね」
「誰ですか? こんなこと考えた人はっ」
アーアーアーっ。
キコエナーイっ。
大体、俺だってこうなるなんて予想もしてなかった。
一時、列の人数が減ってたんだが、次第に人数が増えてきて、昼飯の時間が目前だ。
ドーセンに注文しに行っても、順番待ちで待たされるんじゃねぇか?
「目の前に食いもんがあるのに、それを食えねぇってのはつれぇな」
「ぶつくさ言ってないで、とっとと品出ししなさいっ!」
お昼の時間の昼食のお預けの戦犯扱いだなこれ。
昼休みの時間、あらかじめ決めとくべきだったな……。
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