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四人目の相棒は許嫁
許嫁とカレー
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全ての異世界で、この屋根裏部屋の話が行き渡ってるものと思ってた。
ある意味俺は天狗になってたらしい。
彼女の一言でその鼻をへし折られた。
何ですかって言われても……何と答えりゃいいんだ?
「あー……肉も野菜も入ってる、ご飯にかけて食べる物。うどんとかの麺類の汁とかにもなったりする……」
えーいっ!
食ってみりゃ分かる!
と一言言い放って突き放したいところだが……。
「と、とりあえず、米研ぎの続き、しますね……」
「お、おう……」
彼女はすっかり落ち着いて、その仕事ぶりは普段と変わらず。
もう目を離しても良さそうだ。
そしてこちらはいつもの通り握り飯を作り、そして……。
肉の下ごしらえは時間かかりそうだから、野菜カレーにするか。
※※※※※ ※※※※※
一通り配り終わり、空になりかけた炊飯器で改めて米を炊く。
時間短縮で三十分。
そしてみんなが寝静まった頃、カレーがたくさん入った大きな鍋を運び込んだ。
もちろん蓋はしている。
カレー作りは上でやったら大騒ぎになるからな。
個室に静かに運び込んで、そして彼女はいよいよカレーと初対面。
「そう言えば、ちらっと話を聞いたことがあります」
「ん? どんな?」
「相当人気が高い料理があるけど、なかなか出してくれない……って。なんか……お腹が空いてきそうな匂いがしますね」
辛いのが苦手な人もいる。
ご飯を少なめによそって、それに見合った量のルーをかける。
「ダメだったら……別のにするか。ちょっと時間待ってもらうけど、いいよな?」
「食べられなかったら、いつものようにおにぎりでいいですよ? ではいただきます。んっ……。ん? んんんっ?!」
一口口に入れた瞬間、彼女の動きが止まった。
別の料理にした方が良かったか。
時間はかかるかもしれんが、チャーハンとか……。
「んーっ!」
小さく叫びながらスプーンでカレーを搔き込み始めた。
気に入ってくれたようだ。
が……。
「おかわり、いただけます?!」
「ルーならここにあるのが全部だ。ご飯は炊飯器三つ全部に……」
言い終わる前に彼女は個室から出ていった。
すぐに戻ってきた彼女の手の皿には、山盛りのご飯が乗っている。
その上にかけるルーの量は少なめ。
「これ、すごく美味しいです!」
一言言うと、わき目も降らず、カレーライスを口の中にどんどん入れる。
見る見るうちに皿の上からすべてが消えた。
「すいませんっ! お代わりいただきますっ!」
そしてまた個室から出て、皿の上を白いご飯山盛りにして戻ってくる。
またもルーを少なめにかけて、一心不乱に、しかも猛烈な早さでカレーを食べる。
これを何度繰り返したか。
その豪快な食いっぷりは、見ていて実に気持ちがいい。
それにしても……。
触ってみたいんが、流石にダメだよな。
何を触りたいかというと、彼女のお腹。
まったく膨らまない。
着ている服は薄目だから少しでも膨らむとすぐに分かるが、七回くらい往復している彼女のお腹に少しくらい変化があっても良さそうだと思うんだが。
物理的法則が乱れてたりするのか?
それにしても……。
普段のお淑やかな表情はどこへやら、だ。
うれしい感情を惜しみもせずにむき出しにして、皿を口の高さまで持ち上げて描き込んでいる。
ベースも変わらず、しかも丸飲みではなくしっかり咀嚼。
そのうち声に出すのは「お代わりっ!」の一言だけになってしまっている。
目の色が変わる、ってのはこのことだな。
一生懸命餌を食べるペットを見てる気分だ。
飼ったことはないけど。
飼うとこんな気持ちになるのかな。
いつまでも見守りたい気持ちになる。
※※※※※ ※※※※※
しかし何度も往復していくうちに、元気がなくなっているというか、悲しそうな顔になっていく。
食い過ぎて具合が悪い。
けれども美味しいから食べ終わることができない。
なんてことじゃないだろうな?
まさか、カレーの量がだんだん減っていって、それが残念で悲しいとか言うんじゃねぇだろうな?
「どうした? 無理して食わなくていいんだぞ? 食えるだけ食って、お腹いっぱいになったらご馳走様でいいんだからな?」
悲しそうな顔をしながらも頷く。
そしてまた食べ始めるが、明らかにペースは落ちてる。
「どうした。なんか異常でもあったか? あるなら止めろよ?」
子供じゃあるまいし、そんな注意を受けるような奴だったか?
「えっと……あの……」
「どした。気になることがあるなら遠慮なく言えよ?」
「あの……。コウジさん、全然食べてらっしゃらないので……」
気が抜けた。
でも我を失ってでも夢中になることもある、ってのも分かって、なかなか興味深い人間観察。
いや、鬼女観察?
ま、そんな細かいことどうでもいいか。
「俺のことは気にすんな。美味かったんだろ? 心行くまで味わって、お腹いっぱいになるまで食いな」
「あ、あとその……もう一つ……」
もう一つ?
何かあるのか?
「炊飯器、全部空になりそうです……」
ちょっと待て!
何度も往復してるのを見たが、どんだけ食ってんだお前は!
い、いや、美味しく楽しく食事ができてるのであれば問題ないけどさ……。
「……ルーもなくなりそうだし、ちょうどいいんじゃないか? 食い足りないなら問題あるが……」
「あ、量はいい塩梅です……」
お腹いっぱいじゃねぇのかよ!
じゃあ普段の食う量、まるっきり足りないんじゃないのか?!
つか、とりあえず今は……。
「食い終わったら後片付けしながら米研ぎなー。それで問題ないから」
「はい……。すいません……」
別に謝るほどのことじゃねえよ。
でも次にカレー食わすときは……覚悟を決めとくか。
炊飯器増やすわけにもいかねぇしなぁ。
ある意味俺は天狗になってたらしい。
彼女の一言でその鼻をへし折られた。
何ですかって言われても……何と答えりゃいいんだ?
「あー……肉も野菜も入ってる、ご飯にかけて食べる物。うどんとかの麺類の汁とかにもなったりする……」
えーいっ!
食ってみりゃ分かる!
と一言言い放って突き放したいところだが……。
「と、とりあえず、米研ぎの続き、しますね……」
「お、おう……」
彼女はすっかり落ち着いて、その仕事ぶりは普段と変わらず。
もう目を離しても良さそうだ。
そしてこちらはいつもの通り握り飯を作り、そして……。
肉の下ごしらえは時間かかりそうだから、野菜カレーにするか。
※※※※※ ※※※※※
一通り配り終わり、空になりかけた炊飯器で改めて米を炊く。
時間短縮で三十分。
そしてみんなが寝静まった頃、カレーがたくさん入った大きな鍋を運び込んだ。
もちろん蓋はしている。
カレー作りは上でやったら大騒ぎになるからな。
個室に静かに運び込んで、そして彼女はいよいよカレーと初対面。
「そう言えば、ちらっと話を聞いたことがあります」
「ん? どんな?」
「相当人気が高い料理があるけど、なかなか出してくれない……って。なんか……お腹が空いてきそうな匂いがしますね」
辛いのが苦手な人もいる。
ご飯を少なめによそって、それに見合った量のルーをかける。
「ダメだったら……別のにするか。ちょっと時間待ってもらうけど、いいよな?」
「食べられなかったら、いつものようにおにぎりでいいですよ? ではいただきます。んっ……。ん? んんんっ?!」
一口口に入れた瞬間、彼女の動きが止まった。
別の料理にした方が良かったか。
時間はかかるかもしれんが、チャーハンとか……。
「んーっ!」
小さく叫びながらスプーンでカレーを搔き込み始めた。
気に入ってくれたようだ。
が……。
「おかわり、いただけます?!」
「ルーならここにあるのが全部だ。ご飯は炊飯器三つ全部に……」
言い終わる前に彼女は個室から出ていった。
すぐに戻ってきた彼女の手の皿には、山盛りのご飯が乗っている。
その上にかけるルーの量は少なめ。
「これ、すごく美味しいです!」
一言言うと、わき目も降らず、カレーライスを口の中にどんどん入れる。
見る見るうちに皿の上からすべてが消えた。
「すいませんっ! お代わりいただきますっ!」
そしてまた個室から出て、皿の上を白いご飯山盛りにして戻ってくる。
またもルーを少なめにかけて、一心不乱に、しかも猛烈な早さでカレーを食べる。
これを何度繰り返したか。
その豪快な食いっぷりは、見ていて実に気持ちがいい。
それにしても……。
触ってみたいんが、流石にダメだよな。
何を触りたいかというと、彼女のお腹。
まったく膨らまない。
着ている服は薄目だから少しでも膨らむとすぐに分かるが、七回くらい往復している彼女のお腹に少しくらい変化があっても良さそうだと思うんだが。
物理的法則が乱れてたりするのか?
それにしても……。
普段のお淑やかな表情はどこへやら、だ。
うれしい感情を惜しみもせずにむき出しにして、皿を口の高さまで持ち上げて描き込んでいる。
ベースも変わらず、しかも丸飲みではなくしっかり咀嚼。
そのうち声に出すのは「お代わりっ!」の一言だけになってしまっている。
目の色が変わる、ってのはこのことだな。
一生懸命餌を食べるペットを見てる気分だ。
飼ったことはないけど。
飼うとこんな気持ちになるのかな。
いつまでも見守りたい気持ちになる。
※※※※※ ※※※※※
しかし何度も往復していくうちに、元気がなくなっているというか、悲しそうな顔になっていく。
食い過ぎて具合が悪い。
けれども美味しいから食べ終わることができない。
なんてことじゃないだろうな?
まさか、カレーの量がだんだん減っていって、それが残念で悲しいとか言うんじゃねぇだろうな?
「どうした? 無理して食わなくていいんだぞ? 食えるだけ食って、お腹いっぱいになったらご馳走様でいいんだからな?」
悲しそうな顔をしながらも頷く。
そしてまた食べ始めるが、明らかにペースは落ちてる。
「どうした。なんか異常でもあったか? あるなら止めろよ?」
子供じゃあるまいし、そんな注意を受けるような奴だったか?
「えっと……あの……」
「どした。気になることがあるなら遠慮なく言えよ?」
「あの……。コウジさん、全然食べてらっしゃらないので……」
気が抜けた。
でも我を失ってでも夢中になることもある、ってのも分かって、なかなか興味深い人間観察。
いや、鬼女観察?
ま、そんな細かいことどうでもいいか。
「俺のことは気にすんな。美味かったんだろ? 心行くまで味わって、お腹いっぱいになるまで食いな」
「あ、あとその……もう一つ……」
もう一つ?
何かあるのか?
「炊飯器、全部空になりそうです……」
ちょっと待て!
何度も往復してるのを見たが、どんだけ食ってんだお前は!
い、いや、美味しく楽しく食事ができてるのであれば問題ないけどさ……。
「……ルーもなくなりそうだし、ちょうどいいんじゃないか? 食い足りないなら問題あるが……」
「あ、量はいい塩梅です……」
お腹いっぱいじゃねぇのかよ!
じゃあ普段の食う量、まるっきり足りないんじゃないのか?!
つか、とりあえず今は……。
「食い終わったら後片付けしながら米研ぎなー。それで問題ないから」
「はい……。すいません……」
別に謝るほどのことじゃねえよ。
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