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拷問と猶予
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「そこで止まれ異形の者!一歩でも動けば殺す!!ロロとネリーお前たちは早くこちらへ来るんだ。族長が御呼びだ。」
「っ!!ゼハーあのね話を聞いて!」
「ロロ!言い訳は聞かない!掟を破った者の戯言など誰も聞きはしないさ。」
「・・・。ロロ姉さまゼハーの言う通りにゃ。この雰囲気では誰も話を聞いてくれそうにないにゃぁ。」
「ネリー!貴女はどっちの味方なの!」
「それは!ロロ姉さまの味方にゃ!だけど、先祖代々からの掟を破ったのも僕たちにゃ。違うかにゃ?」
「そうね・・・。ダイチ悪いけどここでお別れだわ。」
「ダイチ・・・。ごめんにゃ。助けたいけど集落のみんなを裏切る訳にもいかないにゃ。」
ゼハーと言う名の男の猫族の武装具合とロロとネリーの言動から推測するに集落の掟破りの件と族長からの呼び出し。今ここで私が動けば二人への罰も重いものになるだろう。ゼハーの言う通りにすれば今だけは
何とかやり過ごせるだろうな。
「ロロ、ネリー今まで面倒を見てくれてありがとう。今は彼の言う通りに従った方がいい。私の身の事は気にしなくていいから兎に角君たちはやるべきことをするべきだ。じゃあ、またあとで。」
二人が遠ざかって行くのを後に私はゼハー言う通りに動かずその場で次の言葉を待った。
「ふんっ!異形の者。よく動かずにいたな、逃げようと思えば逃げれたのではないか?何故動かぬ?逃げぬ?」
「確かに逃げようと思えばね。しかし、二人を見殺しにするような事などできようか!動かなくても私たちを逃がすつもりは毛頭ないのだろう?」
そう。この集落へ入る前から私たちは囲まれていたのだ。探知網には6体の姿を捉えていたが双子のことを考えると下手な行動は死を意味するからだ。緊張が段々と最高潮に達するがどちらも動かない、喋らない。
そして先に折れたのがゼハーの方だった。
「いい度胸だ。今は殺さないでおいてやる。だが、後悔する暇もなく死ぬだろうがな!異形の者をひっ捕らえ、拷問にかけろ!知っていることを全て吐かせてから殺せ。」
周りの者に命令するとゼハーはどこかへと消えて行った。そして、私は猫族に捕まることとなる。未だに緊張は続いているがひとまずは乗り切ったか。
-------------------------------------------------------------------------------------
双子は族長の所へと重たい足を運ぶ。そこには歳はとっているものの現役の守り人で最強とされるエイム・フロス・フルーメが椅子に深く座り込むんでいる。
「ロロ、ネリーよくぞ無事に帰った。定期報告を入れなかったことは多めに見よう。しかしだ・・・掟を破ったことは許されない。私が族長になってから掟を破った者はお前たちが初めてだよ。悲しいねぇ・・・族長として何よりお前たちの母親として我が子が掟破りをするとは思いにもよらなかったよ。二人には厳罰としてあの異形の者の最後を看取れ。以上だ。」
「お母さま。そんな・・・」
「そ、それはあんまりなのにゃあ・・・」
「如何なることがあろうともこの決定が覆されることはない。例え、神龍様のどのようなお言葉でもな。」
「何じゃ、我の気配に気が付いておったか。」
「はい。魔法結界の中に異形の者が入った瞬間に貴方様が入りこまれたこともご存知でした。」
「ふん・・・相変わらず鼻の効く猫よなぁ。だが、我も意見することは何もない。この百年掟を破った者はいなかった。そして、掟を破った者がどうなるかも知っていたからこそアヤツに言い聞かせたつもりじゃったが無駄だったようじゃ・・・。」
ラナとエイムはロロとネリーを見下(みお)ろして「残念・・・」と悲しむ顔した。決して見下(みく)しているのではなく、哀れみからの配慮であった。
「我は寝床へゆく。何かあれば呼ぶがよい」
ラナはエイムへそう伝えると音もなく消え去った。
両手首を縄で縛られた状態で吊るしあげられているもう1週間くらいになるだろうか。私への拷問は休むことなく猫族の戦士によって行われていた。
「ハァ・・・ハァ・・・全く頑丈なやつだぜ、悲鳴をあげるどころか眉すら動かさねぇ。」
「何か異形の者は吐いたか?」
「ゼハー隊長。こいつ気味が悪いですぜ。どんなに痛めつけても口を割らないですし、それに見て下さい。こいつの血は赤じゃなくて白なんですよ。こんなの今までに見たことも聞いたこともないですぜ?」
「・・・。やっと現れたか、私が吐くことは何もない。殺すなら殺せ。」
『!!!!』
「俺は狩人だが守り人でもある。お前のその度胸にいいことを教えてやろう。ロロ様とネリー様の命は無事だ。お前が下手な真似をしなかったこともあって族長が直々に事を穏便に済ませたそうだ。だが、それも明日の朝までのことよ。日の出と共に皆の前でお前を処刑する。民の意識を高める為にも必要なことなのでな悪く思うなよ。」
「そうかい。冥土の土産に一つ教えてくれ。お前たちのいう掟とは一体何なのだ?」
「っ!!ゼハーあのね話を聞いて!」
「ロロ!言い訳は聞かない!掟を破った者の戯言など誰も聞きはしないさ。」
「・・・。ロロ姉さまゼハーの言う通りにゃ。この雰囲気では誰も話を聞いてくれそうにないにゃぁ。」
「ネリー!貴女はどっちの味方なの!」
「それは!ロロ姉さまの味方にゃ!だけど、先祖代々からの掟を破ったのも僕たちにゃ。違うかにゃ?」
「そうね・・・。ダイチ悪いけどここでお別れだわ。」
「ダイチ・・・。ごめんにゃ。助けたいけど集落のみんなを裏切る訳にもいかないにゃ。」
ゼハーと言う名の男の猫族の武装具合とロロとネリーの言動から推測するに集落の掟破りの件と族長からの呼び出し。今ここで私が動けば二人への罰も重いものになるだろう。ゼハーの言う通りにすれば今だけは
何とかやり過ごせるだろうな。
「ロロ、ネリー今まで面倒を見てくれてありがとう。今は彼の言う通りに従った方がいい。私の身の事は気にしなくていいから兎に角君たちはやるべきことをするべきだ。じゃあ、またあとで。」
二人が遠ざかって行くのを後に私はゼハー言う通りに動かずその場で次の言葉を待った。
「ふんっ!異形の者。よく動かずにいたな、逃げようと思えば逃げれたのではないか?何故動かぬ?逃げぬ?」
「確かに逃げようと思えばね。しかし、二人を見殺しにするような事などできようか!動かなくても私たちを逃がすつもりは毛頭ないのだろう?」
そう。この集落へ入る前から私たちは囲まれていたのだ。探知網には6体の姿を捉えていたが双子のことを考えると下手な行動は死を意味するからだ。緊張が段々と最高潮に達するがどちらも動かない、喋らない。
そして先に折れたのがゼハーの方だった。
「いい度胸だ。今は殺さないでおいてやる。だが、後悔する暇もなく死ぬだろうがな!異形の者をひっ捕らえ、拷問にかけろ!知っていることを全て吐かせてから殺せ。」
周りの者に命令するとゼハーはどこかへと消えて行った。そして、私は猫族に捕まることとなる。未だに緊張は続いているがひとまずは乗り切ったか。
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双子は族長の所へと重たい足を運ぶ。そこには歳はとっているものの現役の守り人で最強とされるエイム・フロス・フルーメが椅子に深く座り込むんでいる。
「ロロ、ネリーよくぞ無事に帰った。定期報告を入れなかったことは多めに見よう。しかしだ・・・掟を破ったことは許されない。私が族長になってから掟を破った者はお前たちが初めてだよ。悲しいねぇ・・・族長として何よりお前たちの母親として我が子が掟破りをするとは思いにもよらなかったよ。二人には厳罰としてあの異形の者の最後を看取れ。以上だ。」
「お母さま。そんな・・・」
「そ、それはあんまりなのにゃあ・・・」
「如何なることがあろうともこの決定が覆されることはない。例え、神龍様のどのようなお言葉でもな。」
「何じゃ、我の気配に気が付いておったか。」
「はい。魔法結界の中に異形の者が入った瞬間に貴方様が入りこまれたこともご存知でした。」
「ふん・・・相変わらず鼻の効く猫よなぁ。だが、我も意見することは何もない。この百年掟を破った者はいなかった。そして、掟を破った者がどうなるかも知っていたからこそアヤツに言い聞かせたつもりじゃったが無駄だったようじゃ・・・。」
ラナとエイムはロロとネリーを見下(みお)ろして「残念・・・」と悲しむ顔した。決して見下(みく)しているのではなく、哀れみからの配慮であった。
「我は寝床へゆく。何かあれば呼ぶがよい」
ラナはエイムへそう伝えると音もなく消え去った。
両手首を縄で縛られた状態で吊るしあげられているもう1週間くらいになるだろうか。私への拷問は休むことなく猫族の戦士によって行われていた。
「ハァ・・・ハァ・・・全く頑丈なやつだぜ、悲鳴をあげるどころか眉すら動かさねぇ。」
「何か異形の者は吐いたか?」
「ゼハー隊長。こいつ気味が悪いですぜ。どんなに痛めつけても口を割らないですし、それに見て下さい。こいつの血は赤じゃなくて白なんですよ。こんなの今までに見たことも聞いたこともないですぜ?」
「・・・。やっと現れたか、私が吐くことは何もない。殺すなら殺せ。」
『!!!!』
「俺は狩人だが守り人でもある。お前のその度胸にいいことを教えてやろう。ロロ様とネリー様の命は無事だ。お前が下手な真似をしなかったこともあって族長が直々に事を穏便に済ませたそうだ。だが、それも明日の朝までのことよ。日の出と共に皆の前でお前を処刑する。民の意識を高める為にも必要なことなのでな悪く思うなよ。」
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