5 / 26
被験体とVSS
しおりを挟む
「今の我々が使っている実験型移民船の光子AIは32年前に完成した第2.5世代型のものです。そして、移民船本艦隊に使用されている光子AIは第2世代型のものではるこはご承知かと。そして、更なる高速AIを作るには現段階では100年以上はかかると専門家の意見も一致しています。」
ユキは負けまいと更に続ける。
「そこで、この極秘プロジェクトの根本となる「V・S・S」のクラウドネットワークと"人"の脳の処理能力をマルチタスクに並列処理することで従来の光子AIの何百倍以上の処理能力と計算結果その他諸々の恩恵を得ようとした訳です。しかし、ここで問題となってくるのが脳に蓄積された人の"記憶"です。記憶の詳細は省くとしますが、この中でも"エピソード記憶"と"意味記憶"の二つに分けられることができ、我々が残したいのは"意味記憶"つまり知識的な記憶は保持したまま、"エピソード記憶"つまりストーリー性を含む記憶の消去(デリート)をして擬似的なAIを創造し、「VSS」のクラウドネットワークを接続して軍事転用・運用することがプロジェクトの最終段階に当たります。」
「そのため移民船本艦隊で被験者(モルモット)となりうる人物を100人選定しこの隔離施設でのデリート作業及びピコマシンの投薬(注入)作業をしておりましたがピコマシンの投薬後の拒絶反応が見られたのがNo.36の被験体であったという訳です。」
ピコマシンとはナノマシンよりも小さく高性能なロボットである。
「なるほど、プロジェクトの詳細説明とNo.36の関連性は理解できたが・・・なぜピコマシンの拒絶反応が見られたのだね?」
黒服はさも知らなかったような態度でユキに再度説明を求める。
「ピコマシン注入目的の説明から入ることになりますがよろしいでしょうか?」
「かまわん、頼めるかな」
黒服は説明を受け入れることにした。
「ピコマシンを注入し、脳の神経細胞とピコマシンを結合させ、脳細胞全体と脊髄の一部を金属生命体へ変革させることでより高効率な電気信号のやり取りをすることが可能となります。金属生命体へ造り変わった脳全体と脊髄の一部を取り出し"脳殻(のうかく)"へ入れることで外部のネットワークへの高速アクセスと光子AIに代わる第四の新たなAIを造り出すのです。が、No.36はこの金属生命体へ変革させる時に何らかの原因でエピソード記憶の一部が混在してしまうという異例の事態が起こりました。このままでは実験段階で終わる危険性もあったので従来投薬する予定の約16倍以上のピコマシンを注入し、エピソード記憶関連の情報を消去したという経緯に至ります。変革は成功し脳殻への移植も順調に進んでおります。」
「報告ご苦労。人の脳を別の物へと造り変えるか--VSSと脳殻と接続するのは被験体100体で滞りなく実験は進んでいるという認識でよいのだね?これ以上の遅れと予算を増やすことはできないのだからそこらへんははっきりしてくれ。」
黒服は冷たく言い放つ。人を人とも思わぬ精神の持ち主。
「実験及び次のシークエンスは無事に進んでおります。主任からも許可は頂いておりますので・・・。」
ユキはこの黒服が大嫌いであったしかし、後戻りはできない。だから今は耐え忍ぶしかないのだ。
被験体100体の脳殻とV・S・Sのクラウドネットワーク接続のテスト実験が始まっていく。
のちにこのテスト実験は大きな事故を起こすことなく収め擬似AI(脳殻)とVSSの「汎用性多目的攻撃・支援統合ネットワーク兵装システム」の基礎開発と基幹システム構築は大成功に終わった。
光子脳殻AIと兵装システムを搭載したハイブリットのアンドロイドの登場となる。
ユキは負けまいと更に続ける。
「そこで、この極秘プロジェクトの根本となる「V・S・S」のクラウドネットワークと"人"の脳の処理能力をマルチタスクに並列処理することで従来の光子AIの何百倍以上の処理能力と計算結果その他諸々の恩恵を得ようとした訳です。しかし、ここで問題となってくるのが脳に蓄積された人の"記憶"です。記憶の詳細は省くとしますが、この中でも"エピソード記憶"と"意味記憶"の二つに分けられることができ、我々が残したいのは"意味記憶"つまり知識的な記憶は保持したまま、"エピソード記憶"つまりストーリー性を含む記憶の消去(デリート)をして擬似的なAIを創造し、「VSS」のクラウドネットワークを接続して軍事転用・運用することがプロジェクトの最終段階に当たります。」
「そのため移民船本艦隊で被験者(モルモット)となりうる人物を100人選定しこの隔離施設でのデリート作業及びピコマシンの投薬(注入)作業をしておりましたがピコマシンの投薬後の拒絶反応が見られたのがNo.36の被験体であったという訳です。」
ピコマシンとはナノマシンよりも小さく高性能なロボットである。
「なるほど、プロジェクトの詳細説明とNo.36の関連性は理解できたが・・・なぜピコマシンの拒絶反応が見られたのだね?」
黒服はさも知らなかったような態度でユキに再度説明を求める。
「ピコマシン注入目的の説明から入ることになりますがよろしいでしょうか?」
「かまわん、頼めるかな」
黒服は説明を受け入れることにした。
「ピコマシンを注入し、脳の神経細胞とピコマシンを結合させ、脳細胞全体と脊髄の一部を金属生命体へ変革させることでより高効率な電気信号のやり取りをすることが可能となります。金属生命体へ造り変わった脳全体と脊髄の一部を取り出し"脳殻(のうかく)"へ入れることで外部のネットワークへの高速アクセスと光子AIに代わる第四の新たなAIを造り出すのです。が、No.36はこの金属生命体へ変革させる時に何らかの原因でエピソード記憶の一部が混在してしまうという異例の事態が起こりました。このままでは実験段階で終わる危険性もあったので従来投薬する予定の約16倍以上のピコマシンを注入し、エピソード記憶関連の情報を消去したという経緯に至ります。変革は成功し脳殻への移植も順調に進んでおります。」
「報告ご苦労。人の脳を別の物へと造り変えるか--VSSと脳殻と接続するのは被験体100体で滞りなく実験は進んでいるという認識でよいのだね?これ以上の遅れと予算を増やすことはできないのだからそこらへんははっきりしてくれ。」
黒服は冷たく言い放つ。人を人とも思わぬ精神の持ち主。
「実験及び次のシークエンスは無事に進んでおります。主任からも許可は頂いておりますので・・・。」
ユキはこの黒服が大嫌いであったしかし、後戻りはできない。だから今は耐え忍ぶしかないのだ。
被験体100体の脳殻とV・S・Sのクラウドネットワーク接続のテスト実験が始まっていく。
のちにこのテスト実験は大きな事故を起こすことなく収め擬似AI(脳殻)とVSSの「汎用性多目的攻撃・支援統合ネットワーク兵装システム」の基礎開発と基幹システム構築は大成功に終わった。
光子脳殻AIと兵装システムを搭載したハイブリットのアンドロイドの登場となる。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる