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海に、行こっか?~青い車~2
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走る車の中。
美しい海。
美しい空。
オープンカーでブルーの車。
そして、彼女。
僕は、その四つを頭に思い浮かべてみた。
美しいなんて言葉では言い足りない気がする。
なんというか、絵になる風景というか…
本当に、絵に描いて飾ってしまいたい。
変人だな、と自分で思う。
海も空も美しい。この車も好きだ。
少々古い車だが、よく手入れされてるし、シンプルさもあるけれどなだけ可愛らしさもあるとおもうのだ。
もしもそれらと微笑む彼女がすべて僕の目の前に一度に存在するなんていうことは、僕からすると最高の景色だ。
やっぱり変人ではなく、変態かな?
それとも僕も人と違う感性かな?
まぁ、でも付き合っているのだからきっと許されるはずだ。
自分で言うのもなんだが、やはり海に誘ったのは正解だったと思う。
良く似合う。
非常に良く似合う。
「屋根、開けるね。」
彼女はそう言って、屋根を開けた。
風が気持ちいい。
会話のほとんどない車内の空気を切り裂くように風が吹き込む。
良く晴れた天気でよかったな。太陽が眩しい。
「寒くない?」
「僕は平気。そっちこそ寒くない?」
「この位なんてことないわよ。」
「なら、いいけどさ。」
互いを思い合う。
この瞬間は、僕のお気に入りだ。
「私は、この風が好きなの。」
彼女が唐突に切り出した。
「どうして?ん~、まぁ確かにきもちいけどさ。」
「綺麗な風だから、かな?」
「そっか。 綺麗、か。」
彼女はそんな答えを返してきた。
風が、綺麗かどうかはわからない。彼女の感性は、少し変わった部分があったりする。
だが、屋根を開けるのは名案だった。
楽しい。ワクワクして子供みたいだな。
頬にあたる風が冷たく感じる。
でも心地よくって、目を瞑った。おでこで切る風を感じたかったのだ。
彼女自身海にぴったりの人だ。
横を見ながらふとそう思った。
特に、クールなふりをして、偶に見せる無邪気な表情なんか海にぴったりだろう。
僕は、彼女が見せるニッコリと笑った表情を思い出し、表情を緩める。
「何笑ってるのよ。」
そう言う彼女も頬を緩めて見せた。
30分も車を走らせれば海に着く。
もうすぐ見えてくるだろう。
そうするうちに風に乗って、潮の匂いがし始めてきた。
普段は来ることなんてないけれど、案外海は身近あって、見守ってくれてるんだと実感した。母なる海ということか。
こんなにも近くにある。
どこまでも深い青。
同じ青だけれど空とは違う。
もっと
深く、暖かい色。
「ここがすべての源なんだよ。」
彼女が言った。
「ここからさ。僕らも繋がってんだよな。」
「私達もここから始まったんだよ。」
「ありがたいね。」
「ありがたいよ。」
「出会えてよかったよ。」
深い意味は無い。本当にそう思える。
「海のおかげね。」
僕は海や空が地球を包み込んでいるのだと、漠然と思う。
ずっとこの海の向こうまでを見たことなんてないけれど世界は、本当にどこまでも続いているのだろう。
それから、この関係がいつまでもこの海のようにどこまでも続くように、願った。海に願った。
僕らはそうして海に吸い込間れるように足だけ海で濡らし、浜辺で肩を寄せ、太陽が沈むのを二人で眺めながら夕方を迎えた。
帰る頃にはもう月の光が射しこもうとしていた。
美しい海。
美しい空。
オープンカーでブルーの車。
そして、彼女。
僕は、その四つを頭に思い浮かべてみた。
美しいなんて言葉では言い足りない気がする。
なんというか、絵になる風景というか…
本当に、絵に描いて飾ってしまいたい。
変人だな、と自分で思う。
海も空も美しい。この車も好きだ。
少々古い車だが、よく手入れされてるし、シンプルさもあるけれどなだけ可愛らしさもあるとおもうのだ。
もしもそれらと微笑む彼女がすべて僕の目の前に一度に存在するなんていうことは、僕からすると最高の景色だ。
やっぱり変人ではなく、変態かな?
それとも僕も人と違う感性かな?
まぁ、でも付き合っているのだからきっと許されるはずだ。
自分で言うのもなんだが、やはり海に誘ったのは正解だったと思う。
良く似合う。
非常に良く似合う。
「屋根、開けるね。」
彼女はそう言って、屋根を開けた。
風が気持ちいい。
会話のほとんどない車内の空気を切り裂くように風が吹き込む。
良く晴れた天気でよかったな。太陽が眩しい。
「寒くない?」
「僕は平気。そっちこそ寒くない?」
「この位なんてことないわよ。」
「なら、いいけどさ。」
互いを思い合う。
この瞬間は、僕のお気に入りだ。
「私は、この風が好きなの。」
彼女が唐突に切り出した。
「どうして?ん~、まぁ確かにきもちいけどさ。」
「綺麗な風だから、かな?」
「そっか。 綺麗、か。」
彼女はそんな答えを返してきた。
風が、綺麗かどうかはわからない。彼女の感性は、少し変わった部分があったりする。
だが、屋根を開けるのは名案だった。
楽しい。ワクワクして子供みたいだな。
頬にあたる風が冷たく感じる。
でも心地よくって、目を瞑った。おでこで切る風を感じたかったのだ。
彼女自身海にぴったりの人だ。
横を見ながらふとそう思った。
特に、クールなふりをして、偶に見せる無邪気な表情なんか海にぴったりだろう。
僕は、彼女が見せるニッコリと笑った表情を思い出し、表情を緩める。
「何笑ってるのよ。」
そう言う彼女も頬を緩めて見せた。
30分も車を走らせれば海に着く。
もうすぐ見えてくるだろう。
そうするうちに風に乗って、潮の匂いがし始めてきた。
普段は来ることなんてないけれど、案外海は身近あって、見守ってくれてるんだと実感した。母なる海ということか。
こんなにも近くにある。
どこまでも深い青。
同じ青だけれど空とは違う。
もっと
深く、暖かい色。
「ここがすべての源なんだよ。」
彼女が言った。
「ここからさ。僕らも繋がってんだよな。」
「私達もここから始まったんだよ。」
「ありがたいね。」
「ありがたいよ。」
「出会えてよかったよ。」
深い意味は無い。本当にそう思える。
「海のおかげね。」
僕は海や空が地球を包み込んでいるのだと、漠然と思う。
ずっとこの海の向こうまでを見たことなんてないけれど世界は、本当にどこまでも続いているのだろう。
それから、この関係がいつまでもこの海のようにどこまでも続くように、願った。海に願った。
僕らはそうして海に吸い込間れるように足だけ海で濡らし、浜辺で肩を寄せ、太陽が沈むのを二人で眺めながら夕方を迎えた。
帰る頃にはもう月の光が射しこもうとしていた。
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