ドキドキ♡学園

本野汐梨 Honno Siori

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人気者のカレと♡

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 クラスでも人気者の翔くんは、サッカー部に所属している明るくて元気な上に爽やかなイケメン!

 しかも、みんなから好かれているから学級長をずっとやっていて、次の生徒会長候補って噂。


 いつもキラキラ素敵な翔くん。キラキラ光る姿は、眩しくって遠い存在。

 もちろん、女子にモテモテなんだよね。

 爽やかな笑顔が素敵で、いつの間にか翔くんのことが、好きになっていた。

 いつかお話したいな、とは思ってたんだけど。

 そんなこと、思っていたらこの春におんなじクラスになりました!
 
 でも、引っ込み思案の私は翔くんに話しかけたいけれど話しかけられずにいた。



 でも、今日はチャンスだ。



 二学期になったら、学級委員が変わる。きっと、翔くんはまた学級長になるだろう。
 だから、私は副委員長に立候補することにした。
 そうすれば、翔くんとお話しするチャンスが生まれるに違いない。

 そう、決心していた私は学級委員決めの時、すぐに手をあげて自ら副委員長に立候補した。

 もちろん、翔くんもみんなの推薦を受けて学級委員長をすることになった。

 「よろしくね!」

 爽やかな、笑顔をこちらに向けて翔くんは挨拶してくれた。

 これが、私と翔くんとの初めての会話。



 それ以来、私と翔くんは委員会などに一緒に出席することになった。
 
 毎週末に行われる学級委員の為に、一緒に放課後に発表内容を考えたりする事が多くなった。

 でも、まだまだ私たちの会話はぎこちない…

 緊張してイマイチ上手に会話ができないのだ。だって、翔くんとお話しできるなんて夢みたいなんだもん!!
 私が、緊張しているからか、翔くんもなんとなく会話がぎこちない気がする…
 翔くん、他の仲の良い女の子にはタメ語なのに、私には敬語で話しかけてくのだ。

 とっても悲しい…


 でも、二学期は仲良くなるチャンスがいっぱい!

 9月には体育祭があるし、10月には文化祭があるのだ。

 ちなみに、私は友達の優香ゆうかちゃんのアドバイスをもとに、体育祭の後には翔くんに告白しようと思っている。


 その前に、まずは体育祭の準備で忙しい。
 二学期になったらすぐに体育祭の準備が始まった。

 私たち、学級委員は体育祭の準備の雑用をこなさなければならない。

 私たちに振り分けられた仕事は、裏庭の草取りと白組の立て看板の作成。

 「まずは、看板の作成からしませんか?」
 翔くんがそう言ったので、私たちは今日の放課後から看板の作成に取り掛かることになった。

 体育祭まで残り1ヶ月。看板、作り終わるかな?

 まずは、放課後に翔くんと備品置き場に、何も書かれていない看板とペンキを借りにいかないといけない。

 放課後すぐに、「一緒に行きませんか?」と翔くんが笑顔で誘ってくれた。
 イケメンすぎて、思わずドキッとしてしまった。

 翔くんと職員室に行って、先生に鍵を借りて備品置き場の倉庫に向かう。

 備品置き場は、校舎から離れたほとんど人が来ない外庭にある。大きなプレハブ小屋だ。
 つまり、今日は初めて二人っきりになる。

 そう考えると、心臓がバクバクしてしまう。

 何話せばいいんだろう…

 私は、ドキドキしながら翔くんの少し後ろを歩きながら考えていた。


 でも、その悩みはすぐに解決した。
 翔くんは、積極的に私に話しかけてくれたんだ!

 「俺、あんまり絵を描くのが得意じゃないんだけど、看板なんか作れますかね?」
 
 「大丈夫!私が絵を描くのを頑張るんで、翔くんは、もしを書くのをお願いしてもいいですか?」

 「うん!文字書くくらいなら頑張りますよ!」

 本当に爽やかでカッコ良すぎる…!!

 楽しい会話をしていると、倉庫まですぐに辿り着いた。


 すぐに看板は見つかった。

 これを近くの空き教室に持って行って、そこで看板作りをすることになった。

 私の背よりも大きくて、重たい看板だったけど、翔くんが教室まで運んでくれた。
 その姿が、頼もしくてキュンキュンしてしまう。


 ともかく、時間がないので、私は看板に白い龍の絵を描くことにした。

 翔くんと2人きりになってしまって、緊張している。この時間がずっと続けばいいのになぁ。

 サラサラと下書きをしていると、翔くんが「めっちゃ上手ですね!」と言ってくれた!

 翔くんも一緒に文字を書いたりペンキを塗ったりしてくれる。

 その間も、楽しい会話が途切れない。

 不意に、私は思った。

 『ここは、お互いタメ語になるチャンスなのでは?』


 「翔くん、どうして敬語なの?」


 「んー、なんとなく…。緊張しちゃうからかなぁ…」

 
 「それならさ、お互いタメ語で喋らない?」

 勇気を出して言ってみた。なんか少しだけ声が震えふるちゃって恥ずかしい…!!

 「うん!そうしようか!」


 翔くんが、少しだけ照れながら答えてくれた。

 嬉しくて飛び上がりたい気分!!

 今日は、いい日になりそう。


 私たちは、これをきっかけに距離がグッとちぢめていった。


 「それにしても、本当に絵が上手なんだね。」

 「そうかな?そんなに上手ってほどでもないと思うけれど」

 翔くんがとってもすてきな笑顔で、私の描いている白い龍の絵を、褒めてくれる。
 なんだか、翔くんに認められたような気がして、嬉しくなった。

 それに、キュンキュンしてしまう。

 実は自信がなくって、たぶん、翔くんが褒めるほど、上手じゃなかったけれど、お世辞だったとしても嬉しくってたまらない。何度も何度も翔くんは、私の絵を褒めてくれた。

 褒められるたびに、私の顔が赤くなっているのがわかる。


 心臓がバクバクと音を立てていた。
 翔くんの事が大好きで仕方がないからだ。

 それに、この空間とってもドキドキする。

 誰もいない空間で、二人っきりなんて、こんなシチュエーション他にない。
 ドキドキが止まらない…!!!


 本当は、もっと会話を楽しみたかったのだけれど、体育祭までもう時間が無い。
 
 一生懸命に手を動かした。この時間がずっと続けばいいのに。

 2時間ほど作業をして、今日はひとまず帰ることにした。
 明日も明後日もこの作業を続ける。
 
 
 帰り際に、「また明日ね!」と手を振ってくれた。
 


 翌日もまたその翌日も、私たちは作業を続けていった。
 翔くんと私は、いつも授業が終わると一緒に空き教室に向かった。
 かっこいい翔くんと一緒に歩くのは、ちょっとだけ誇らしくって気分が良かった。
 
 そして看板作成を頑張っている間に、私は翔くんのことをいっぱい知る事ができた。

 サッカー部の話や、翔くんのお兄ちゃんの話、好きな食べ物や、好きなドラマや歌手の話で盛り上がった。
 その中でも、最近流行りのアイドルの話はとっても盛り上がった。

 お話ししているだけなのに、こんなに楽しいなんて驚きだ。
 私は、勝手に私たちは相性が良いかもしれないなんて考えていた。


 そして、看板の作成を始めてから、あっという間に、1週間が過ぎた。

 看板も、色塗りを始めている。今週中には、終わってしまう。
 そうなったら、誰にも見られないこの空間で、二人きりで過ごすこのシチュエーションも終わりになってしまう。

 もちろん、その後も体育祭の準備はもちろん、学級委員の仕事もあるからお話しする機会がなくなるわけじゃないんだけど、寂しく感じてしまう。

 それから、二人きりの時に私は、翔くんに質問をしてみたいことがある。


 そして、今日、その質問をする瞬間がやってきた。

 クラスのある女の子と男の子が、お付き合いを始めたというウワサの話をしていた時。

 「翔くんはさ、カノジョとか、いないの?」

 急に、心臓いがバクバクし始めた。
 どうしよう、「カノジョがいる」と言われたら…
 翔くんに、カノジョが居るなんて、そんな話は聞いた事なかったけれど。

 真実はどうかわからない。
 カノジョがいることを、みんなには隠しているかもしれないし。

 「付き合っている人はいないかな。」

 翔くんは、あっさり答えてくれた。
 スッと、緊張がほぐれた。

 でも、好きな人はいるのかもしれない。まだ、不安が残る。

 私は、たまらずに質問を続けた。

 「好きな人は?いないの?」

 好きな人は、いるかもしれないよね…

 再び、緊張してきて、龍の絵の色塗りをしていた手を止めて、翔くんの方を見る。

 「それはね、ヒミツ、かな」

 うまく誤魔化されてしまった。
 
 「逆に、好きな人とかいないの?」
 
 翔くんに、質問しかえされてしまった。


 「好きな人は、いるよ」

 恥ずかしくって、ちょっと下を向いて、翔くんから目線をそらした。

 翔くんは、ニヤニヤしている。
 
 「それって、誰?」

 いやいや、そんなに突っ込んで質問してこないでよ。
 
 目の前にいる人、翔くんのことが好きだよ、って言えたら良いのに。

 私にはまだそんな勇気がない。
 だから、私もやんわりはぐらかしてみた。

 「ひみつ!」

 その日は、あんまり作業が進まなかった。
 ドキドキしすぎて、手がふるえちゃったから。

 その後も、イマイチ会話が弾まなくって、翔くんにガッカリされたんじゃないかって、すごく落ちこんでしまった。
 それに、結局翔くんの好きな人は誰かわからなかった。


 翌日、昨日の出来事を優香ちゃんに話した。そしたら、「それって、みゃくアリだよ!!」って言われた。
 本当に脈ありだったらいいなぁ、と思いながら、1日を過ごした。
 そして、あっという間に放課後を迎えた。

 今日あたりには、看板制作が終わる予定だ。

 昨日の、ちょっとだけぎこちない雰囲気がまるで嘘のように私たちは、楽しいお話で盛り上がった。特に盛り上がったのは、昨日の最近人気のアニメ!かなりの人気で、私はもちろん、翔くんもクラスのみんなも大好きだ。
 配信日の翌日になると、そのアニメの話でみんな盛り上がるのだ。

 私たちは、おしゃべりに夢中になってしまっていたけれど、なんとか看板の作成を終えた。
 私は、翔くんともう2人きりになれないのだと、寂しい気持ちになったけれど、同時に大きな看板を完成させる事ができた達成感もあった。感情が、ごちゃ混ぜだったけど、翔くんが大喜びだったから、私も手を叩いて喜んだ。

 そのまま、先生に看板が完成したことの報告を行った。

 すでに、紅組の看板は完成しているから、明日までに校門に飾っておいてくれるそうだ。

 翌日、登校すると、看板は飾ってあった。

 優香ちゃんに報告すると、「2人の初めての愛の共同作業だね!!!」なんて恥ずかしい事を言われてしまって、私の顔は真っ赤になった。

 けれど、翔くんは人気者。
 私と、翔くんが2人で看板を作ったことを妬む女子もいた。

 私は、隣のクラスの女子グループに目をつけられていた。リーダーは、翔くんの事が好き、と周囲に豪語している、愛ちゃんという女の子。
 なんでも、お金持ちのおうちで、ちょっと話し方がお嬢様っぽい。というか、本物のお嬢様って話だ。お嬢様にふさわしく、成績優秀、スポーツ万能でバスケ部のエースなんだそう。悲しいことに、庶民の私とは、大違いだ。
 私は、怖かったけれど、優香ちゃんは「嫉妬なんか気にしなくっていいよ」と言ってくれている。
 実際に、私は勇気を出して学級委員に立候補して、翔くんと一緒に仕事をしているだけだ。
 妬まれたって、気にしないようにしようと思っていた。





 でも、看板が飾られたこの日に、事件は起こった。




 私たちは、今日から、もう一つの仕事である、裏庭の草取りがある。

 他のクラスの学級委員さん達と、共同で行うからそんなに大変な作業じゃない。

 裏庭の草取りの初日だったけれど、翔くんは、学級委員の別の仕事があるので、私1人で裏庭に向かった。

 私がゴミ袋と軍手を持って裏庭に行くと、すでに何人かが草取りを始めていた。

 そんな中に、隣のクラスの愛ちゃんの姿を見つけた。私は、挨拶だけして1人モクモクと作業をしていた。
 
 けれど、愛ちゃんの方から私に強い言葉をかけてきた。

 「あなた、翔くんと付き合ってたりしないよね?」

 「私たち、付き合ったりはしてないよ。」

 「そうよね、良かった。。ジャマ、しないでね。」

 強気な愛ちゃんは、他の人も聞いている場所で堂々といった。



 …愛ちゃんに先を越されてしまった!!

 私は、とても動揺して「そうなんだね。」とだけ返事した。
 心臓が、バクバクして息が苦しかった。手に汗がにじむ。
 
 この感覚は、翔くんと一緒にいる時には感じた事がない、とても暗い感情の息苦しさだった。

 翔くんは、「遅くなってごめんね!」と言いながら、爽やかな表情でやってきた。

 愛ちゃんが、翔くんに、いつ話しかけてくるのか気が気じゃなかった。翔くんが、私にドラマの話を一生懸命してくれた。けれど、私はあいづちを打つ事しかできなかった。

 そんな様子を見て、翔くんは「体調悪いの?」と心配してくれていた。私は、本当のことなんか言えるわけもなくって「疲れちゃっただけだよ。」と答えた。

 この日も、イマイチ会話が盛り上がることはなかった。翔くんは、私が疲れているなんてこと言ったからあまりおしゃべりするのを控えてくれたのかもしれない。

 あっという間に、2時間半くらいすぎていた。まだ学校に残っている生徒に向けて下校時刻を知らせる放送が流れた。
 私たちが、片付けをしていると、愛ちゃんがこちらに寄ってきた。

 そして、翔くんに話しかけた。

 「放課後、話したい事があるのだけど。一緒に帰れない?」

 そう言って誘っていた。
 翔くんは、「いいよ。」と軽い感じで答えていた。

 私は、逃げるように帰った。帰り道の途中で気がつけば、涙が流れていた。

 今日は、お父さんもお母さんも仕事が遅くなる日でよかった。泣いているところを見られたらなんて説明すればいいかわかんないもん。

 すぐに、優香ちゃんに電話して、今日あった出来事を泣きながら話した。

 優香ちゃんは、そっと私の話を聞いてくれていた。

 







 翌日のこと。

 愛ちゃんが翔くんに告白した話で持ちきりだった。


 どうやら、校門で愛ちゃんはいきなり堂々と翔くんに告白したらしいので、部活帰りの子達も多くって、目撃者がたくさんいたそうだ。

 でも、よくよく話を聞くと翔くんは愛ちゃんの告白を断ったらしい。
 しかも、「他に気になっている子がいるから」翔くんは言っていたらしい。

 私は、ひとまず愛ちゃんに翔くんがとられなかった事に安心した。


 でも、私の中にはモヤモヤが残ってしまった。

 翔くんの、"気になる子"って一体全体だれなんだろうか?


 結局、私はモヤモヤのせいで、その日もその次の日も次の日も、翔くんと上手くお話しすることができなかった。
 もちろん、少しくらいはお話しできたけれど、看板を作っている時に比べると全然だ。

 みんなで頑張ったから裏庭は綺麗になった。私の心とは対照的に。

 そして、あっという間に体育祭の本番の日になってしまった。


 私は、運動音痴なので、最低限の競技にしか出場しない。その代わりに、学級委員として美化活動をしなきゃいけないかは、気合いは充分!翔くんが、競技に出るので忙しい分、私が頑張らなくっちゃ!!
 
 それに、今日はもう一つ、大切なことがある。


 それは、翔くんへの告白。


 実は、愛ちゃんが翔くんに告白したのをみてずっとモヤモヤしてた。
 翔くんが誰かにとられたらどうしようって、ずっと不安だった。

 だから、私は決めた。振られてもいいから、翔くんに告白するんだって。その方が、何もしないよりは後悔が少ない。もちろん、ダメ元だけど…

 それに今日は、体育祭だし学級委員は片付けのために遅くまで残ることになる。

 体育祭の今日は、2人きりになるチャンスもたくさんあるだろう。

 そのタイミングを見計らって、思い切って告白するんだ。


 私は、体育祭の間、ソワソワしながら、所属している白組のみんなのことを応援した。
 学年別のダンスや綱引き、玉入れなどが次々と終わる中、いよいよ最後の競技が始まった。
 赤白対抗のリレーだ。翔くんは、白組として出場する。

 私は、心の中で一生懸命翔くんの名前を呼んで応援した。

 翔くんの風を切って走る姿は、カッコよかった。


 そして、心の中で、翔くんが私の事を好きであります様にって念じてみた。

 閉会式はあっという間に終わってしまった。ちなみに、白組は紅組にわずかに及ばす、負けてしまった。

 最後には、クラスで集まって記念撮影をした。学級委員の2人は頑張ったから真ん中に写そうって、先生の一声で、なんと私は翔くんの隣で写真を撮ることができた。嬉しくって顔がニヤけてしまった。少し離れたところで、優香ちゃんまでニヤついていたのがわかった。


 楽しい時間のあとは、学級委員の私と翔くんは、体育祭のあと片付けが始まる。

 私たちが、先生に指示を仰ぐと、テントの片付けをする様に、と言われた。

 テントの片付けは重労働だったから、大人数で片付けていたけれど、結構時間がかかってしまった。

 骨組みを全部、体育館の横にある倉庫に運んでから、私と翔くんは、屋根の布の部分を畳んでいた。
 大きい布だから、畳むのは大変で、はしっこと、はしっこを上手く合わせることができない。
 最後に小さく畳むときに、何度も私の指と翔くんの手が触れた。
 毎回毎回、ドキッとしてしまってちょっとだけ、オドオドしてしまったの、翔くんは気づいていたかな?
 恥ずかしさを誤魔化すために、骨組みの片付けで疲れ切った腕を頑張って動かしていた。


 私は、結局、翔くんに告白できずに体育祭を終えようとしていた。

 


 なんとか片付けは終わったけれど、結局帰る頃にはほとんど誰も校内には残っていなかった。

 私と翔くんは、自分たちの荷物を持って家路に着いた。
 なんとなく、流れで私たちは一緒に校門を出て一緒に帰る方向に歩き始めていた。

 流れでこうなってしまったとはいえ、初めて翔くんと一緒に帰る。


 たわいも無い話で盛り上がれるこの時間が、私は大好きだった。
 今日は、体育祭の話題がいっぱいで、話がつきそうに無い。



 …ずっと、この時間が続けばいいのに。



 そのためにも、翔くんに告白しなくては。

 体育祭の、綱引きの種目の話で盛りあがっていたけれど、思い切って話を切り出した。



 「あのさ、翔くん。実は、翔くんに言っておきたいことがあるの…」
 少し、声が小さくなってしまった。

 「ん?急に、どうしたの?」


 翔くんは、不思議そうな顔をしている。

 「あのね。私、翔くんの事が、好きなの。」


 なんて言えば上手く伝わるのかわからなくって、私はストレートな言葉で告白した。
 さっきは、ちょっと声が小さかったかな?ちゃんと聞こえてたかな?


 「俺も。おんなじ気持ち。」

 一瞬どういうことかわからなかった。でも、おんなじ気持ちってことは…。


 「俺と、付き合ってくれる?」


 気がつくと、嬉しくって涙が溢れ出ていた。

 ずっとこの瞬間を待っていた。

 こうして私と翔くんは、晴れてカップルとなり、末長く幸せに暮らすことになるのだった。


 
~完~ 
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