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勉強デート[有希]
しおりを挟む体育祭が終わった翌週。
待ちに待った勉強デートの日がやってきた。
放課後に、生徒会室で待ち合わせした。
「お待たせ。」
そう言いながら蓮也先輩が生徒会室にやってきた。
「ごめん、ちょっと遅くなっちゃった。」
「いえ。今日は僕が終わるのが早かったんです。」
じゃあ、帰ろうか。と言いながら先輩が歩き出した。
僕の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれる。
「有希くん、なんの教科が得意?」
急に質問されて困惑してしまう。
正直、僕は得意な教科なんて無い。
勉強がともかく苦手なのだ。
だから、進学クラスには入れず普通クラスの中でも1番下のクラスに入っている。
ちょうど考えてから、「得意な教科は無いんです。」と答えた。
「じゃあ、好きな教科は何?」
質問を変えられた。
これなら答えられる。
「国語です。なんか、物語とか読むの楽しいから、好きです。」
「なるほどね~。俺、国語苦手だし嫌いだから羨ましいな。」
「じゃあ、蓮也先輩は何が好きですか?」
「ん?俺は有希くんが好き。」
学校の中で急に変なことを言われるからびっくりしちゃって、何も言い返せなくなってしまった。
恥ずかしくて俯いてしまう。
「顔。赤くなっちゃったね。」
確かに、急に顔が熱い気がする。
だって、蓮也先輩が変な事言うんだもん。
「蓮也先輩のせいですよ…。」
「え?俺のせい?」
そうですよ、としか言い返せない。
「ごめん、怒っちゃった。可愛いからからかいたくて。」
からかわれてたのか…。
そう思うと余計に恥ずかしくなってきた。
「蓮也先輩、ちゃんと答えてください!」
ちょっとツッケンドンな感じで言い返してみる。
蓮也先輩は、まだ笑っている。
「んー、物理と数学。計算は得意。文章が苦手。本とか読めない。」
「僕と反対ですね。」
「そうなるね。だから、数学とかならいっぱい教えてあげるよ。」
「助かります。」
蓮也先輩は、進学クラスだから多分国語だって僕より得意なんだろうな。
元野球部のエースで、進学クラスで、身長が高くてイケメンで、優しい。
もちろん、女の子にモテモテだ。
あまりにも非がないものだから、僕とは釣り合わないのではないかと思う。
「今日、泊まってくよね。」
「えっと…。今日は父は帰ってこないと思うので蓮也先輩が良ければ泊まろうと思います。」
父は最近、新しい女ができたらしく、殆どうちに帰ってこない。
お金がないのが困るけれど、父がいないのは好都合で、蓮也先輩と長く一緒に居られる。
「もちろん。毎日でも泊まっていいくらい。」
「毎日はちょっと…。アルバイトもあるし。」
「アルバイトの後とか。」
言いかけて黙ってしまった。
「あんまり、疲れさせると良くないね。余裕がある時は来て欲しいな。」
と言い換えられた。
「はい。僕も少しでも一緒に過ごしたいから。がんばりますね。」
遠慮させてしまって少し申し訳ない。
本当は、毎日通いたい。
と言うか一緒に住んでしまいたい。
一緒に住みたいって言ったら蓮也先輩は、なんて言うのだろう。
「じゃあ、途中でご飯とお菓子買ってから帰ろうか。」
学校を出ると、まずコンビニに向かった。
僕は、体育祭の時にご飯を食べさせてもらったから、今度は自分で買うと言ったけど、結局蓮也先輩が全て払ってくれた。
僕は、おにぎりを1つだけ買おうとしていた。
でも、そんなんじゃ足りないからダメ、と言って、親子丼とサラダスパゲッティを買ってくれた。
蓮也先輩も、カレーと唐揚げ弁当、それからポテチやチョコフレークなど沢山のお菓子を買っていた。
「明日の朝は、食パンあるから焼いてあげるね。」
何もかも世話されてしまって、申し訳ない。
「あの。高校卒業してたくさんアルバイトできるようになったら恩返しするので…。」
今は自分が生きるのに精一杯で蓮也先輩に奢ったりできない。
「それって、まだまだ一緒に居てくれるって事?その解釈でいい?」
「あ、、えっと…。あ、はい。」
僕が想像していた返事と全く違う反応が返ってきて、ちょっと吃ってしまった。
もちろん、ずっと一緒に、死ぬまで一緒に連夜先輩のすぐ近くにいたい。それが許されるならば。
コンビニで買い物を終えて、蓮也先輩の部屋に着いた。
そして、すぐに勉強を始めた。
もうすぐテストが近い。蓮也先輩が数学の勉強を始めたので僕も数学の勉強を始めた。
「わからなかったら言ってね。教えてあげるよ。」
受験生の時間を奪ってしまっていいのか、と思いつつ、数学は殆どわからないので、蓮也先輩に甘えて、全部の問題を質問してしまった。
2時間くらい勉強したら、ご飯を食べてお風呂に入った。
「今日は、勉強するから。理性保つから。お風呂別に入ろう。」
「僕と賛成です。僕、性欲強いから…。」
蓮也先輩に心を許しすぎて、変なことを口走ってしまった。
「俺も。有希くんの事が好きだからかな。最近、よく、暴走してる。」
そう言いながら、蓮也先輩はお風呂を貯めに行った。
しばらくして、「お風呂が沸きました」と機械が喋り出した。
「有希くん、先に入っていいよ。湯船に浸かりな。俺は、もうちょっとやりたいから。」
「あ、ありがとうございます。」
蓮也先輩の部屋のお風呂に1人で入った。
シャンプーやボディーソープを借りた。
蓮也先輩の匂いがした。
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