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しおりを挟むそれは、同僚達との飲み会で帰りがかなり遅くなった日だった。
俺は、その頃、田中絢音に狙われているのではないかという漠然とした不安に駆られており、精神的に不安定になっていた。仲の良い同僚には、事情を話したりしていたので、俺の元気のない調子を見ていた同僚が、飲み会を開いてくれたのだった。
しかし、俺は田中絢音のことで頭が一杯で、あまり酔っ払うことができなかった。
結局、二次会には参加することは無かった。そのまま、俺は一人歩いて家路についた。
それが良くなかった。
俺は、もう何もやる気が起きなくて、家に着くなりスーツのままでベッドに寝っ転がった。
深夜2時を過ぎてしまった頃。
部屋に、携帯のバイブ音が鳴り響く。
アルコールが残った脳みそが痛い。
酔っ払うことはできなかったのに、アルコールは悪い意味で体に効いている。
「こんな時間に誰だよ…。」
俺は何も考えずに、電話に出た。
「ねー。今、部屋の前にいるんだけど。鍵開けてもらえる?」
頭の中にハテナがたくさん浮かぶ。
「何言ってんの?」
とりあえずそう答えた。
「言葉のままだけど…。」
身の危険を感じた俺は、携帯を置いてベッドの下に潜り込んだ。
ドアを開ける音がする。
背筋が凍った。
動けなかった。
ドアを開けて入ってきたのは、お察しの通り、田中絢音だった…。
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