短い怖い話 （怖い話、ホラー、短編集）

隣の家の玄関

　うちは、一軒家が並ぶ住宅街にある。

　右隣も左隣も似た様な一軒家が並んでる。
　もちろん、この辺の人たちはみんな知り合い。

　でも、最近、左隣の家の玄関に変な人がたってることがある。いつからか分からないけども、冬に入り、暗くなるのが早くなってきた頃だと思う。


　気づいた時には夕方の薄暗い時間帯になると、必ず立っているようになった。

　70代くらいの男。
　年齢の割に背は高くて、細身。


　左隣の住民の顔くらいわかる。

　5人家族で、40代くらいの夫婦と子供3人。中高生の仲良し三姉妹だ。

　玄関に立っている男は、明らかにそこの家の住民ではない。

　隣家といえども、知らない男が夕方の薄暗い時間帯に立っているのは気味が悪かった。
　何よりも男は、隣家のインターホンを覗いている。


　いつもいつも覗いていた。



　さすがに、隣家の人もやばいと思ったようで、警察を呼んだこともあった。

　けど、認知症の老人だのなんだのって、取り合ってくれなかったみたい。

　でも、多分本当に認知症とかではなかっと思うけど…。
　認知症のフリしてたんじゃないかなって今は思ってる。


　それで、なんとなくそんな気はしてたんだけど、隣家の次女が通り魔被害に遭った。

　家の近くで突然後ろから刺されたんだって。
　命は助かったけど、結構なニュースになっていたし、それ以降、次女の姿を見かけなくなったからどこか別の場所に住んでるのかもしれない。もしかしたらまだ入院中？


　もちろん、本人は、隣家のインターホンを覗いていた老人。

　いつかやるだろうとは思っていたけど。

　怖いよなぁ。もう脳みそが衰えてわけわかんなくなってる人って。