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前兆
しおりを挟む昔、行方不明になった友人がいた。
結局、行方不明になった三日後に友人が住んでいた場所からかなり離れた、北海道の山の中で遺体で発見された。
俺は、その1週間前に一緒に飲んでいたし、その後も電話で話したりしていたので衝撃的だった。
その友人が、亡くなる一週間前に会ったとき「最近、歩いているとよく車に轢かれそうになるんだよね。車のドライバーたちはまるで、俺が突然現れたかのような驚き方をするんだ。職場でも、最近気づかれないことが多くってさ。十年くらい前に流行ったバスケ漫画の主役みたいに、俺、消えてるのかもしれない。」と、少し笑いながら話してくれた。
俺は、その事についてあまり深くは考えておらず、単なる笑い話くらいに考えていた。
しかし、友人は心配で心配で仕方がないらしくて、遺体となって発見される4日前に不安そうな声で電話をかけてきた。
「最近、記憶が飛んでる気がするんだ。気づいたら、職場にいたり、スーパーにいたり、××神社とか、〇〇小学校にいたり…」
「唐突すぎてちょっと意味がわからないけど…。」
「この前は、ちゃんと話せなかったけれど。あの、俺が消えてるんじゃないかって話ね。」
「ああ、あれね。」
「実は、もっとやばいことが怒っていてさ。最近はなんだか記憶が飛ぶんだよね。気づいたら違う場所にいるの。この前なんか、家に居たつもりなのに、〇〇駅にいたんだよ!」
〇〇駅というのは、僕らの住む県と隣県の県境に有る駅の事。車で2時間くらいかかりますが、いい釣りのスポットが近くにあるので僕らはしょっちゅう行き来していた。
「そんなことありえんだろ(笑)」
僕は、その時友人の話なんか一切信用せずに笑い飛ばしていた。
そして、本当に友人は遠くに飛ばされたんだ。直感で思った。まぁ、推測の域を出ないが。
友人が、北海道の山奥で発見されたと聞いた時、きっとオカルト的な何かの力で友人は北海道まで飛ばされたと思った。大きな恐怖を覚えた。
あれから、一体何年経ったのか…。
そして、最近、僕の意識がおかしい…
この前、家でゴロゴロしながらスマホでアニメを見ていたはずなのに、気がつけば近所の神社に居た。
北海道の山奥で亡くなっていた友人と、若い頃に肝試しに来た場所だった。
神隠しの怖い話がある神社で、僕と友人は若かった事もあり、かなりふざけてたのを思い出した。特に友人は、賽銭を盗んだりもしてた。もう何年も前の話なので時効かなぁ、なんて思っていましたし、この神社に行く事なんて無かったからすっかり忘れていた。
僕は、神社にいる事に気がついた時、友人も神社に飛ばされた事があると言っていたのを思い出した。
次は、僕の番。
この神社は、神隠しの噂がある神社。
関連があるかはわからないが、この神社に若い頃、いたずらしたのが災いとか呪いとかそう言うものに変化して、今、降りかかってるんだと思う。
もし、僕がいなくなったら…
それは、神社の呪いかもしれない。
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