短い怖い話 （怖い話、ホラー、短編集）

あおいいときれた

　コールセンターのバイトをしていた時の話。


　健康食品を扱うメーカーのコールセンターだったから、基本的に相手はおじいちゃおばあちゃん。そうでなければ、中年の男女が多かった。


　ある日、女の子の声で電話が掛かってきた。

　それは、確かに小学生くらいの幼い女の子の声だったが、あまりに無機質で抑揚がなく、ノイズ混じりで最初はよく聞き取れなかった。

　でも、女の子の声は同じ言葉を繰り返しているのはわかった。


　次第に、女の子がなんて言っているのか、わかってきた。


　「あかいいとあかいいろ。あかいいとあおいいろ。あおいいと、きれた。」


　女の子は、そう言っていた。


　気持ちが悪いので、私はしばらくして電話を切った。



　赤い糸ってよく聞くけれど、青い糸の意味がわからなかった。



　けれど、後からなんとなく「青い糸」の意味がわかった気がした。


　友達のA子が、その日の夜に事故で亡くなったのだ。A子は、中高の同級生で、仲良くする振りをして、私の事を陰でいじめていた。けれど、私の両親とA子の両親は仲良かったので、仕方なしに耐えていた。


　この時に思った。

　赤い糸の反対の青い糸は、悪縁の糸なのかもしれない、と。つまり、女の子の声はA子の死を知らせていたのかもしれない、と。


　私は、もう一度、あの女の子からの電話を待ち侘びている。今度は、コールセンターの上司。表では仲がいいけれど、大っ嫌いで、よく私の事を怒鳴ってくる先輩が死んでくれないかなって思いながら。