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エレベーター

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 20時に仕事が終わって、マンションにたどり着いたのは21時15分。

 エントランスでポストを確認して、すぐにエレベーターに乗り込んだ。

 8のボタンを押して、そのまま後ろに下がって、壁に寄りかかろうとした。

 その時。


 むにゅっとした感触。

 驚いた心臓がバクバクと音を立てた。


 振り向くと、女が立っていた。

 髪が長く、肌が白い。爪が長く、ガリガリだった。無表情だった。

 「あ、すみません。」

 咄嗟に謝ったが、無反応だった。



 『一階から乗ったのにおかしいな。一緒に誰か乗ったのか?乗り込んだ時に人って乗ってたか?』

 色々疑問に思ったが、もう8階に着く。


 ドアの前に立つ。


 開くその瞬間を待つ。


 開いた瞬間。


 さっきまで背後にいたはずの女が、ドアの外に立っていた。



 ニタリと、こちらを見て笑っていた。
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