短い怖い話 （怖い話、ホラー、短編集）

車のセンサー

　最近の車って障害物を検知すると、ピピピピって鳴るセンサーついてるじゃん？


　去年の夏に、友達4人で幽霊が出るって噂の神社に肝試しに行った時の話。

　まぁ、肝試しは大したことなくってギャーギャー仲間内で騒いで終わった。

　1時間くらい滞在して、停めていた車に乗り込んだ。
　車は、神社の境内の中にある駐車場に停めていた。俺が運転手だったんだけど、駐車が面倒で、それにもう誰もいないから前向き駐車で適当に車を駐車場の線の中に突っ込んでた。

　だから、バックで駐車場を出るためにギアをRに入れて、アクセルを踏んだ。

　踏んだ瞬間に、ピピピピピッとけたたましくセンサーの音が鳴り響いた。

　咄嗟にブレーキを踏む。

　しかし、こんなところに障害物があるはずがない。

　もう一度、Rに入れて進もうとするがセンサーの音がなる。

　夜だし、ミラーではよく見えないから車を降りて確認しようとした。



　すると、車の真後ろに何か蠢くものが。

　思わずビクッとしてしまった。


　それは、ハイハイしている赤ちゃんだった。
　こんな夜中の神社に赤ちゃんが1人でハイハイしているわけがない。


　赤ちゃんは、車の後ろを小さな円を描くようにハイハイしている。下が砂利にも関わらず、物音ひとつ出さずに。まるで少し浮いている状態でハイハイしているようなスムーズな動き。一瞬でこの世のものでは無いと思った。

　俺はビビって、すぐに車に戻りRにギアを入れる。

　ピピピピピッとセンサーが鳴るが、無視して帰った。

　一緒の友人たちにも話したら、その中の1人が「あそこ、水子供養の神社なんだよ…」
と呟いた。


　一応、その後車を確認したが赤ちゃんを轢いた形跡もないし、ニュースにもなっていない。




　あれは、供養できていない水子の霊だったんだと思う。