短い怖い話 （怖い話、ホラー、短編集）

キャリーケース

　
　俺は、マンションの管理人をしてる。

　管理人といっても不動産に雇われてて、やる事は、ほとんどが清掃の仕事だけ。15件の物件を担当してて曜日ごとに清掃に回る。
　クレームとか要望なんかがあった時にだけ対応するって感じ。

　これは去年の話なんだけど、担当の物件でクレームが入った。

　なんでも、異臭のするキャリーケースがゴミ置き場に放置されてるそう。

　クレームの入ったその日の夕方に物件にいった。

　ゴミ置き場に確かにそのキャリーケースはあった。
　しかもなんかかなり臭い。生臭いし、いわゆる腐乱臭もする。

　不動産屋の方に現状を伝える電話をしたら、キャリーケースを開ける前に一応警察を呼べって言われた。

　不動産屋に従って警察を呼ぶと、爆発物処理班みたいなのまで来ちゃって大騒ぎになってしまった。

　マンションの住人も俺も一時避難して、キャリーケースは爆発物処理班の人たちが開けるらしい。

　中身は爆弾とかじゃなかったらしくそんなに開ける時間はかからなかった。

　それで、俺も一応キャリーケースの中身を確認した。

　キャリーケースの中身は魚の頭だった。


　体はない。

　頭だけがキャリーケースにびっちり詰まっていた。上から押し込まれたのか、ぐちゃぐちゃにつぶれている頭もあった。

　頭だけと言うのは異常な光景だった。
　
　心なしか、濁った魚たちの目がこちらを睨んでいるような気がして、俺は直視していられなかった。ら

　ちなみに素人目に見ても種類の違う魚ばかりだった。明らかに金魚みたいなのとかカラフルな魚もいた。
　

　警察は、誰かのいたずらだろうと言うことで片付けた。

しかし、こんなわけのわからない、意味不明ないたずらなぜ、誰がやる必要があるのだろうか。