66 / 130
たぬきに化かされた話
しおりを挟む
まだ8歳だった頃。
両親共働きの俺の家は、夏休みにクソ田舎のばあちゃんの家に預けられるのが保育園の時からの恒例行事だったもんで、8歳の時の夏休みもクソ田舎のばあちゃんの家に預けられていた。
周りには、俺以外は子供なんていない様な本当に田舎で当時既に『過疎化』という言葉がぴったりの場所だった。
ある日、俺は1人で竹藪で遊んでいた。虫取りに飽きて、竹藪の中を探検したくなったんだ。
竹藪の中は夏だけどかなり涼しい。
汗だくだったんで、俺は一本の竹を背もたれにして座って休むことにした。
ばぁちゃんが持たせてくれた水筒のお茶を飲んで一息ついた。5分くらいしたらサクッサクッと葉っぱを踏む足音がしてきた。音のする方を見るとばあちゃんが手招きしていた。
ばぁちゃんが迎えに来てくれたんだ。
俺は、もう帰る時間なんだと思って立ち上がり、急いでばあちゃんの方へと向かった。
ばぁちゃんは、俺を待つ事なく歩き去っていく。
あっという間に見えなくなった。
と思ったけど、やがてばぁちゃんが見えてきた。
俺は、そのばぁちゃんに着いて行った。
しかし、行けども行けども辺りは竹林。
「ばぁちゃん、まだー?つかないのー?」
俺は、大声で尋ねるた。
「まだまだだよ。」
ばぁちゃんはそう答えた。
この会話を何度も繰り返した。
そのうち、俺は疲れて眠くなってそこら辺に座り込んで駄々をこねた。そしたら、ばあちゃんがおんぶしてくれた。
そのうち俺は、眠くなってぐっすり眠ってしまった。
そしてその頃、俺は家族に大捜索されていたらしい。
何でも、ばあちゃんの家を飛び出していなくなったんだと。
俺は、結局丸2日もばぁちゃんちに帰っていなかったらしい。
捜索願とか出されて、ばあちゃんちの村中の人が俺を探し回ったとか。
結局、俺はばあちゃんちの家から5キロほど離れた街中に倒れていたところをほごされた。
その後1週間、俺は高熱で寝込むことになる。その間に、竹林での出来事を話した。
俺は、ばぁちゃんが水筒を持たせてくれたことやばぁちゃんが迎えに来て竹林の中を2人で歩いたこと、そのうち疲れて座り込むとばぁちゃんがおんぶしてくれたこと。そして、寝てしまったことを話した。
結果、ばぁちゃんは水筒なんか持たせてないし、竹林に迎えに行ったりしていない。何なら、竹林は俺が飛び出して行ってすぐに探したが俺の姿はなかったとのこと。
そもそも、水筒も持たせてないなんて。じゃあ、アレは誰だったんだって話。
それに、2日も行方不明だったのもよくわからない。ちなみに俺の体感では1日も経っていない。
それなのに、2日も帰らなかったなんて。
ばぁちゃんは言ってた。
「たぬきに化かされたんだろうって」
この地域には、たぬきが多い。
そして、よくたぬきに化かされる人がいるとのこと。
俺はたぬきに化かされたその1人になったのだ。
もう40年くらい昔の話。
両親共働きの俺の家は、夏休みにクソ田舎のばあちゃんの家に預けられるのが保育園の時からの恒例行事だったもんで、8歳の時の夏休みもクソ田舎のばあちゃんの家に預けられていた。
周りには、俺以外は子供なんていない様な本当に田舎で当時既に『過疎化』という言葉がぴったりの場所だった。
ある日、俺は1人で竹藪で遊んでいた。虫取りに飽きて、竹藪の中を探検したくなったんだ。
竹藪の中は夏だけどかなり涼しい。
汗だくだったんで、俺は一本の竹を背もたれにして座って休むことにした。
ばぁちゃんが持たせてくれた水筒のお茶を飲んで一息ついた。5分くらいしたらサクッサクッと葉っぱを踏む足音がしてきた。音のする方を見るとばあちゃんが手招きしていた。
ばぁちゃんが迎えに来てくれたんだ。
俺は、もう帰る時間なんだと思って立ち上がり、急いでばあちゃんの方へと向かった。
ばぁちゃんは、俺を待つ事なく歩き去っていく。
あっという間に見えなくなった。
と思ったけど、やがてばぁちゃんが見えてきた。
俺は、そのばぁちゃんに着いて行った。
しかし、行けども行けども辺りは竹林。
「ばぁちゃん、まだー?つかないのー?」
俺は、大声で尋ねるた。
「まだまだだよ。」
ばぁちゃんはそう答えた。
この会話を何度も繰り返した。
そのうち、俺は疲れて眠くなってそこら辺に座り込んで駄々をこねた。そしたら、ばあちゃんがおんぶしてくれた。
そのうち俺は、眠くなってぐっすり眠ってしまった。
そしてその頃、俺は家族に大捜索されていたらしい。
何でも、ばあちゃんの家を飛び出していなくなったんだと。
俺は、結局丸2日もばぁちゃんちに帰っていなかったらしい。
捜索願とか出されて、ばあちゃんちの村中の人が俺を探し回ったとか。
結局、俺はばあちゃんちの家から5キロほど離れた街中に倒れていたところをほごされた。
その後1週間、俺は高熱で寝込むことになる。その間に、竹林での出来事を話した。
俺は、ばぁちゃんが水筒を持たせてくれたことやばぁちゃんが迎えに来て竹林の中を2人で歩いたこと、そのうち疲れて座り込むとばぁちゃんがおんぶしてくれたこと。そして、寝てしまったことを話した。
結果、ばぁちゃんは水筒なんか持たせてないし、竹林に迎えに行ったりしていない。何なら、竹林は俺が飛び出して行ってすぐに探したが俺の姿はなかったとのこと。
そもそも、水筒も持たせてないなんて。じゃあ、アレは誰だったんだって話。
それに、2日も行方不明だったのもよくわからない。ちなみに俺の体感では1日も経っていない。
それなのに、2日も帰らなかったなんて。
ばぁちゃんは言ってた。
「たぬきに化かされたんだろうって」
この地域には、たぬきが多い。
そして、よくたぬきに化かされる人がいるとのこと。
俺はたぬきに化かされたその1人になったのだ。
もう40年くらい昔の話。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
追っかけ
山吹
ホラー
小説を書いてみよう!という流れになって友達にどんなジャンルにしたらいいか聞いたらホラーがいいと言われたので生まれた作品です。ご愛読ありがとうございました。先生の次回作にご期待ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる