主様のあるじ様

みづ

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はじまりの地

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「あっ、主様! 見てください! 街です!」

 魔女の家を出て二日。
 私と主様は一つの集落の入り口に辿り着いていた。

「街というか村だな……」
「あれが魔女さんの言ってたはじまりの地でしょうか?」

 主様が次の目的地として定めたのは、はじまりの地と呼ばれる場所だった。
 森を抜けて開けた草原を歩き続け、代わり映えのない景色に突如現れたその場所。
 一定の距離にまで近づかないと見えない魔法でもかかっていたのか、ぐるりと囲われた柵は数分前までは見ることすらなかったものだ。

 木と草で編まれたような柵は、私の背丈よりも高い。
 その柵越しに半周して、私と主様は大木で作られた門の前に立っていた。

「門兵はいないようだな」
「そのまま中に入っても良いのでしょうか?」

 イスタから出たことのない私は、街への出入り方法を知らない。
 前に近所のおじさんが王都へ観光へ行こうとしたが、途中の街道で身分証の発行が必要で数日足止めされたと言っていたっけ……。

「主様……私、身分を証明できるものとか持ってないです」
「……持っていても使えん。ここに来た理由を忘れたか」
「あっ」

 ため息混じりの主様の言葉に、イスタを逃げるように出たことを思い出す。
 そして、魔女の言葉も。

 国から追われる主様。
 そして、その解決の一端を担う何かが、このはじまりの地にあるのだ。
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