神様+‪α‬

炙りチーズ

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第一章 日常編

第一話 「宿題なんて適当にやれ」

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ピピピピ  ピピピピ

五月蝿いうるさい…何だこの音は、時計か?


「……五月蝿い」


と時計に声をかける。しかし相手は機械、声が返ってくるわけがない。しかも時計は何時まで経っても鳴らすのを辞めない。仕方ない、渋々起き上がる

私の名前は望祝ねがいのアユカ。今年、神沢高等学校に入学する予定の中学三年生である

 時計を止めると傍に置いてあった眼鏡をかけゆっくり瞬きをする

すると私は絶句した、何故なら部屋が散らかっていたからだ。推しのイラストが写されているクリアファイル、同人誌、様々な物が散乱している

泥棒が入ったと思い慌てて何か取られていないか漁る、然し“本当に”大切な物は何も取られていない。良かったぁ…


「しっかし、何でこんな散らかってんだ?」


そう言って私は昨夜の事を思い出す


「あぁ、思い出した、プリントを探してたんだった」


 あの後プリントは見つかり無事課題は終わりを告げた

 散らかっていた物を元の場所に戻しながら私は今日が日曜日で本当に良かったと心の底から思う。平日だったら遅刻確定だ

これでも私は“願いの神様”という役割を担っている、結構重要な役割らしい。いや私がそんなん任せられちゃって良いの?

全て片付け終えるとクローゼットを開ける、中には水色のワンピースや制服が入っている

パジャマを脱ぎ散らかすと水色のワンピースを身にまとい、机に置いてある水晶クリスタル頸飾ネックレスに手を伸ばす

首元にかけるとまた机に置いてある水晶クリスタル装身品アクセサリーを身に着ける、髪を溶かすために鏡に見ると可愛くない私が写っていた

寝癖でボサボサした茶髪ロングに黒い目、目の下には隈があり可愛くない。はぁ…これだから鏡は嫌いなんだ

いつもの姿になるとある写真に目を向ける、写真に写っていたのは一人の女の子と二人の女性だった、あぁ……懐かしいなぁ


「…今日も頑張るよ」


微笑みそう言うと私は扉を開け部屋を出ていった


「おはよー」


一番最初に聞こえてきたのは大人びていて優しい声、私は聞こえてきた方向を向く

そこには綺麗な青い髪を生やし、透き通るようなブルーの瞳をした美しい女性が立っていた。名前は弧柳こやなぎ 璃華りっか、私を拾ってくれた命の恩人だ

そして璃華は人間では無い、天照大御神アマテラスオオミカミと言われる神様の上の神様、すっごーい神様だ


「今日は遅かったねーいつもはもう少し早いのに」

「昨日捜し物をしてて」

「えー?呼んでくれれば手伝ったのに……」


いや皆既に寝てたろと私は言おうとしたが腹の底に押し込み「じゃあまた今度頼むわ」と返す、ふぅと一息着くと隣に座っている人物に目を向ける

隣に座っていたのは私と同じ髪色に同じ服を着ている少女だった

こいつの名は望祝ゆきあ。私の妹とか、相棒とかと名乗り私に付き纏ってくる。ちなみにだが私はゆきあの事が嫌いだ

勿論こいつも人間では無い、いきなり目の前に現れたもう一人のアユカ

ゆきあは幸せそうな顔をしながらすーすーと寝息を立てる、何となくイラつきを覚えたのでの頬を抓った


「ちょ!痛い痛いって!」

「あんたは何時まで寝てるんだ」

「起きる!起きるから離して!」


頬から手を離し「んじゃ、はよ起きろ」と返す


「全く、そんなんだからモテないんだよ?」

「ぶん殴るぞ」

「冗談だからガチトーンで言わないで」


まるでコントの様な会話を繰り広げていると制服を着た白髪の女の子が話しかける


「お、おはようアユカ!」

「おはよー紗揺さゆり


少女の名前は蝶子ちょうこ 紗揺さゆり、蝶の髪飾りを付けている。頬には蝶のマークがあり右目は黒く左目は白い、いわゆる虹彩異色オッドアイ

もちのろんこの子も普通では無い、未来から来た女の子で人を治療できる能力を持っている。ここまで言えば分かるであろう、私の家族は全員普通では無いのだ


「わ、私ね、今日の朝ご飯作るの手伝ったの!」

「え、本当!? 紗揺は良い子ね」


私がそう言うと紗揺はパァァ、と嬉しそうな顔を浮かべる、くっ……可愛い!


「……有難う!」


紗揺が有難う!と言う前にゆきあが何か言っている声が聞こえたが気にしないでおこう

私達がそんな会話をしていると璃華がパンケーキを皿に乗せて運んできた


「はい、アユカの大好きなパンケーキ」

「わぁい!」


 私は万歳して喜ぶ璃華が座ると私達は手を合わせて一斉に「いただきます」と呟いた


「そういえば二人共、課題って終わったの?」

「うん、終わったよ」

「え、アユカもう終わったの!? 僕未だなんだけど!」

「そりゃ自業自得だろ、本ばっか読んでたんだから」


そう言いながら私は蜂蜜をパンケーキにかける、その向こうに座っている璃華も蜂蜜をドバドバとかける

璃華も大の甘い物好きで世界一甘いと言われるインドのお菓子「グラムジャ厶ン」を食べてみたいと言う程だ

流石に私はそれは食べたくないなぁ…


「ゆっくりやるのは良いけど終わらせなさいよ?」

「はーい」


 ……まるでお母さんだな、と私は密かに思う


「私は課題終わったから本でも買いに行くわ」

「んじゃ僕も行こうかな」

「いや来んな」

「何故!?」

「いやこっちが何故だわ」


そう言って私はゆきあをじろりと睨む


「どうせサボりたいだけでしょ?」

「うぐっ」

「って事でアンタはお留守番。璃華、一緒に行こー! あ、紗揺はゆきあを見張っててね?」


そう云うと紗揺は「分かった」と返事をする、うん、良い子だ


「それじゃ、ファイト!」

「うへぇ……」


私はニッコリと笑顔を浮かべるとゆきあの肩を手を置いてそう言った

あぁ、楽しいなぁと心の中で思う。私はこの時間が好きだ、大好きだ。この時間がずっと続けば良いのに……と思う




___これは_望祝アユカと、その妹? ゆきあと、弧柳 璃華と、蝶子紗揺が繰り広げる

涙あり笑いありのほっこり、家族のお話である_
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