28 / 74
第二章
8
しおりを挟む
髪を触られている感触がくすぐったくて目を開けると、とろけそうな甘い表情のレイヴァン様と目が合った。
目が合うとさらに嬉しそうに目を細めて目尻を撫でられた。
「あぁ…僕の色だ…」
そのままレイヴァン様の顔がだんだん近づいてきたから頭突きをかましてやった。
ごつんっ!といい音が鳴ってお互い悶絶する。痛い…っ。
「~~っ!マシロっ、痛いじゃないか…っ!」
「うるせぇ…っ、おれだって痛いわ!」
「じゃあなぜしたんだ」
「尻は舐めるなって言ったよな」
暫く無言で見つめ見つめ合っていると、ふっと目を逸らされた。
「…途中でいいって言った」
「そういう意味じゃないって分かってたよな?」
「でも、マシロも気持ち良さそうだった」
「・・・・・」
少し不貞腐れたようにしているレイヴァン様にイラッとする。
それも合わせて嫌だったんだよこっちは。
「おれ嫌だって言った。それでもあんたがどうしてもって言うから、尻以外ならって約束したよな。なのになんでしたの?」
淡々と話す様子にやっと本気で怒っていると気がついたのか、レイヴァン様が焦った顔でおれを見た。
「やり過ぎたのはすまなかった。僕の下で喘ぐマシロが可愛過ぎて、自分の欲が抑えられなかったんだ。許してくれ…」
おれに向かって伸びてきた手を思い切り叩き落とす。
拒まれるなんて思ってもいなかったのか、ショックを受けている様子のレイヴァン様におれの機嫌はますます下がっていく。
昨日の夜。レイヴァン様から色々聞いて、昔のトラウマや葛藤、おれの事で気持ちが前向きに変わった事。色々話してくれて辛かったんだな、大変だったけど立ち直れたんなら良かったな、って思った。
おれの事何度も好きだって言うし、ありえないくらい格好いいのに可愛いところもあるし、正直少し浮かれていたのかもしれない。いや、自惚れてた、っていうのかな?
自分の身体を見てみる。
服は消されて無いから裸のままであちこちに吸われた跡が赤くなってる。
えっちの時も、もう気持ち良過ぎて辛いって何度も言ったのに止めてくれるどころか嬉しそうにもっと揺さぶって奥を突かれて身体中バキバキだ。
沢山これでもかと注ぎ込まれたお腹は膨らみこそなくなったけど、魔力を吸収中なのかぐるぐると動いてる。
「お腹いっぱいって言っても溢れるくらい中で出すし。気持ち良過ぎてやだって言っても何度もイかせられるし。身体中舐めるし。もう疲れたって言ったらポーション飲ませて何回もするし」
「すまない…。本当にマシロが可愛くて止まらなかった」
なんでちょっと照れてんだよ。
レイヴァン様はずっと塔に篭って人とあんまり会わなかったみたいだし、おれに対しての罪悪感とか責任感とかがイケメンフェロモンで変な方向に向いちゃって、好きだって思い込んでるだけなんじゃないの?
それか、
好きって言えば、抱けちゃうから…とか……。
フェロモンで今のおれはイケメンにとってははちゃめちゃに可愛い存在らしいし。
身体目当て…いや、それだとおれもか。
今更えっちするのが嫌とかはなくて、恥ずかしいはあるけど気持ちいいし、気持ちよさに引っ張られて訳わかんなくなってる時の言動だって別にまるっきり嘘ってわけでもない、と思う…し。
レイヴァン様に好きとか可愛いって言われるのも慣れないけど嫌じゃない。嬉しいと思う時もたまにある。
でも今は少しモヤっとする。
…おれはいったい何が気に入らないんだろう。
ダメだ、キャパオーバーだ。よく分からなくなってきた。
黙り込んだおれにオロオロしているレイヴァン様。ちゃんと服着てる。
対して全裸のおれ。
…なんだかな。
「おれ、帰る」
「え、マシロ…っ、待てっ!すまない、そんなに嫌だとは思わなくて…っ」
新しいものに変えられていたシーツを引っぺがして体に巻く。
見られたら終わりだけど、おれの部屋まで近いし大丈夫だろう。
軋む身体に鞭打ってゆっくり扉に向かう。レイヴァン様が止めようと近づいてきたけど、今触ったら絶交。というとのろのろ進むおれから一歩離れて着いてくる。
ちょっと可哀想かなっとも思ったけど、もういいよっていう気になれなかった。
なんとか扉まで辿り着いてドアノブに手を掛ける。
「許してくれ…っ、もうマシロが可愛くても我慢するから…っ」
扉を開けながら、泣きが入ってる声に振りむく。
レイヴァン様がほっとした顔をした。この部屋を出る前に、これだけは念押ししておこう。
わかんないなりに、わかってることが一つだけあるんだ。
「おれは尻の穴を舐める王子なんて嫌だ」
「マシロ…っ!」
「え…なに、尻の穴…?」
悲痛な叫びと反対方向から別の困惑した声が聞こえて扉の方を見ると、レイヴァン様と顔の作りが似ている金髪のイケメンが立っていた。おれと目が合うと途端に慌て出した。
「あのっ、たまたま部屋の前を通っただけっていうか、別に変な意味はなくて…っ、て!マシロちゃん!?なんて格好してるの…っ!駄目だよちゃんと服着て…っ!」
「アレク王子、おれを連れてって」
「え?連れてくって…?でもまず服を…」
「いいから。出来ればだっこして」
「え、えーー…?」
おれと中にいるレイヴァン様を交互に見た後、何かを察したのかアレク王子がおれを抱えてくれた。
「アレク待て…っ」
「よく分かんないけど、多分今は距離をおいた方がいいよ。お前興奮してるし…」
ぎゅーっとアレク王子にしがみつく。
「…マシロちゃんもそうしたいみたいだし」
「でも…っ」
「いいから、取り敢えず今日はお前が引けレイ。…明日俺の部屋に来い。マシロちゃんもそれでいい?」
しがみついたままこくんと頷いた。
「レイも、あんまり落ち込むなよ。わかったな」
「・・・・・・」
レイヴァン様は何も言わなかったが、アレク王子の口調からすごく落ち込んでたのかもしれない。
そのままなぜかいたアレク王子に運ばれて王子の部屋に向かった。
目が合うとさらに嬉しそうに目を細めて目尻を撫でられた。
「あぁ…僕の色だ…」
そのままレイヴァン様の顔がだんだん近づいてきたから頭突きをかましてやった。
ごつんっ!といい音が鳴ってお互い悶絶する。痛い…っ。
「~~っ!マシロっ、痛いじゃないか…っ!」
「うるせぇ…っ、おれだって痛いわ!」
「じゃあなぜしたんだ」
「尻は舐めるなって言ったよな」
暫く無言で見つめ見つめ合っていると、ふっと目を逸らされた。
「…途中でいいって言った」
「そういう意味じゃないって分かってたよな?」
「でも、マシロも気持ち良さそうだった」
「・・・・・」
少し不貞腐れたようにしているレイヴァン様にイラッとする。
それも合わせて嫌だったんだよこっちは。
「おれ嫌だって言った。それでもあんたがどうしてもって言うから、尻以外ならって約束したよな。なのになんでしたの?」
淡々と話す様子にやっと本気で怒っていると気がついたのか、レイヴァン様が焦った顔でおれを見た。
「やり過ぎたのはすまなかった。僕の下で喘ぐマシロが可愛過ぎて、自分の欲が抑えられなかったんだ。許してくれ…」
おれに向かって伸びてきた手を思い切り叩き落とす。
拒まれるなんて思ってもいなかったのか、ショックを受けている様子のレイヴァン様におれの機嫌はますます下がっていく。
昨日の夜。レイヴァン様から色々聞いて、昔のトラウマや葛藤、おれの事で気持ちが前向きに変わった事。色々話してくれて辛かったんだな、大変だったけど立ち直れたんなら良かったな、って思った。
おれの事何度も好きだって言うし、ありえないくらい格好いいのに可愛いところもあるし、正直少し浮かれていたのかもしれない。いや、自惚れてた、っていうのかな?
自分の身体を見てみる。
服は消されて無いから裸のままであちこちに吸われた跡が赤くなってる。
えっちの時も、もう気持ち良過ぎて辛いって何度も言ったのに止めてくれるどころか嬉しそうにもっと揺さぶって奥を突かれて身体中バキバキだ。
沢山これでもかと注ぎ込まれたお腹は膨らみこそなくなったけど、魔力を吸収中なのかぐるぐると動いてる。
「お腹いっぱいって言っても溢れるくらい中で出すし。気持ち良過ぎてやだって言っても何度もイかせられるし。身体中舐めるし。もう疲れたって言ったらポーション飲ませて何回もするし」
「すまない…。本当にマシロが可愛くて止まらなかった」
なんでちょっと照れてんだよ。
レイヴァン様はずっと塔に篭って人とあんまり会わなかったみたいだし、おれに対しての罪悪感とか責任感とかがイケメンフェロモンで変な方向に向いちゃって、好きだって思い込んでるだけなんじゃないの?
それか、
好きって言えば、抱けちゃうから…とか……。
フェロモンで今のおれはイケメンにとってははちゃめちゃに可愛い存在らしいし。
身体目当て…いや、それだとおれもか。
今更えっちするのが嫌とかはなくて、恥ずかしいはあるけど気持ちいいし、気持ちよさに引っ張られて訳わかんなくなってる時の言動だって別にまるっきり嘘ってわけでもない、と思う…し。
レイヴァン様に好きとか可愛いって言われるのも慣れないけど嫌じゃない。嬉しいと思う時もたまにある。
でも今は少しモヤっとする。
…おれはいったい何が気に入らないんだろう。
ダメだ、キャパオーバーだ。よく分からなくなってきた。
黙り込んだおれにオロオロしているレイヴァン様。ちゃんと服着てる。
対して全裸のおれ。
…なんだかな。
「おれ、帰る」
「え、マシロ…っ、待てっ!すまない、そんなに嫌だとは思わなくて…っ」
新しいものに変えられていたシーツを引っぺがして体に巻く。
見られたら終わりだけど、おれの部屋まで近いし大丈夫だろう。
軋む身体に鞭打ってゆっくり扉に向かう。レイヴァン様が止めようと近づいてきたけど、今触ったら絶交。というとのろのろ進むおれから一歩離れて着いてくる。
ちょっと可哀想かなっとも思ったけど、もういいよっていう気になれなかった。
なんとか扉まで辿り着いてドアノブに手を掛ける。
「許してくれ…っ、もうマシロが可愛くても我慢するから…っ」
扉を開けながら、泣きが入ってる声に振りむく。
レイヴァン様がほっとした顔をした。この部屋を出る前に、これだけは念押ししておこう。
わかんないなりに、わかってることが一つだけあるんだ。
「おれは尻の穴を舐める王子なんて嫌だ」
「マシロ…っ!」
「え…なに、尻の穴…?」
悲痛な叫びと反対方向から別の困惑した声が聞こえて扉の方を見ると、レイヴァン様と顔の作りが似ている金髪のイケメンが立っていた。おれと目が合うと途端に慌て出した。
「あのっ、たまたま部屋の前を通っただけっていうか、別に変な意味はなくて…っ、て!マシロちゃん!?なんて格好してるの…っ!駄目だよちゃんと服着て…っ!」
「アレク王子、おれを連れてって」
「え?連れてくって…?でもまず服を…」
「いいから。出来ればだっこして」
「え、えーー…?」
おれと中にいるレイヴァン様を交互に見た後、何かを察したのかアレク王子がおれを抱えてくれた。
「アレク待て…っ」
「よく分かんないけど、多分今は距離をおいた方がいいよ。お前興奮してるし…」
ぎゅーっとアレク王子にしがみつく。
「…マシロちゃんもそうしたいみたいだし」
「でも…っ」
「いいから、取り敢えず今日はお前が引けレイ。…明日俺の部屋に来い。マシロちゃんもそれでいい?」
しがみついたままこくんと頷いた。
「レイも、あんまり落ち込むなよ。わかったな」
「・・・・・・」
レイヴァン様は何も言わなかったが、アレク王子の口調からすごく落ち込んでたのかもしれない。
そのままなぜかいたアレク王子に運ばれて王子の部屋に向かった。
214
お気に入りに追加
4,177
あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます
ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜
名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。
愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に…
「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」
美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。
🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶
応援していただいたみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。