モテたかったが、こうじゃない 魔力ゼロになったおれは、あらゆるスパダリを魅了する愛され体質になってしまった

なん

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第二章

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髪を触られている感触がくすぐったくて目を開けると、とろけそうな甘い表情のレイヴァン様と目が合った。

目が合うとさらに嬉しそうに目を細めて目尻を撫でられた。

「あぁ…僕の色だ…」

そのままレイヴァン様の顔がだんだん近づいてきたから頭突きをかましてやった。

ごつんっ!といい音が鳴ってお互い悶絶する。痛い…っ。

「~~っ!マシロっ、痛いじゃないか…っ!」

「うるせぇ…っ、おれだって痛いわ!」

「じゃあなぜしたんだ」

「尻は舐めるなって言ったよな」

暫く無言で見つめ見つめ合っていると、ふっと目を逸らされた。

「…途中でいいって言った」

「そういう意味じゃないって分かってたよな?」

「でも、マシロも気持ち良さそうだった」

「・・・・・」

少し不貞腐れたようにしているレイヴァン様にイラッとする。

それも合わせて嫌だったんだよこっちは。

「おれ嫌だって言った。それでもあんたがどうしてもって言うから、尻以外ならって約束したよな。なのになんでしたの?」

淡々と話す様子にやっと本気で怒っていると気がついたのか、レイヴァン様が焦った顔でおれを見た。

「やり過ぎたのはすまなかった。僕の下で喘ぐマシロが可愛過ぎて、自分の欲が抑えられなかったんだ。許してくれ…」

おれに向かって伸びてきた手を思い切り叩き落とす。

拒まれるなんて思ってもいなかったのか、ショックを受けている様子のレイヴァン様におれの機嫌はますます下がっていく。

昨日の夜。レイヴァン様から色々聞いて、昔のトラウマや葛藤、おれの事で気持ちが前向きに変わった事。色々話してくれて辛かったんだな、大変だったけど立ち直れたんなら良かったな、って思った。

おれの事何度も好きだって言うし、ありえないくらい格好いいのに可愛いところもあるし、正直少し浮かれていたのかもしれない。いや、自惚れてた、っていうのかな?

自分の身体を見てみる。

服は消されて無いから裸のままであちこちに吸われた跡が赤くなってる。

えっちの時も、もう気持ち良過ぎて辛いって何度も言ったのに止めてくれるどころか嬉しそうにもっと揺さぶって奥を突かれて身体中バキバキだ。

沢山これでもかと注ぎ込まれたお腹は膨らみこそなくなったけど、魔力を吸収中なのかぐるぐると動いてる。

「お腹いっぱいって言っても溢れるくらい中で出すし。気持ち良過ぎてやだって言っても何度もイかせられるし。身体中舐めるし。もう疲れたって言ったらポーション飲ませて何回もするし」

「すまない…。本当にマシロが可愛くて止まらなかった」

なんでちょっと照れてんだよ。

レイヴァン様はずっと塔に篭って人とあんまり会わなかったみたいだし、おれに対しての罪悪感とか責任感とかがイケメンフェロモンで変な方向に向いちゃって、好きだって思い込んでるだけなんじゃないの?

それか、

好きって言えば、抱けちゃうから…とか……。

フェロモンで今のおれはイケメンにとってははちゃめちゃに可愛い存在らしいし。
身体目当て…いや、それだとおれもか。

今更えっちするのが嫌とかはなくて、恥ずかしいはあるけど気持ちいいし、気持ちよさに引っ張られて訳わかんなくなってる時の言動だって別にまるっきり嘘ってわけでもない、と思う…し。

レイヴァン様に好きとか可愛いって言われるのも慣れないけど嫌じゃない。嬉しいと思う時もたまにある。
でも今は少しモヤっとする。

…おれはいったい何が気に入らないんだろう。

ダメだ、キャパオーバーだ。よく分からなくなってきた。

黙り込んだおれにオロオロしているレイヴァン様。ちゃんと服着てる。

対して全裸のおれ。

…なんだかな。

「おれ、帰る」

「え、マシロ…っ、待てっ!すまない、そんなに嫌だとは思わなくて…っ」

新しいものに変えられていたシーツを引っぺがして体に巻く。

見られたら終わりだけど、おれの部屋まで近いし大丈夫だろう。

軋む身体に鞭打ってゆっくり扉に向かう。レイヴァン様が止めようと近づいてきたけど、今触ったら絶交。というとのろのろ進むおれから一歩離れて着いてくる。

ちょっと可哀想かなっとも思ったけど、もういいよっていう気になれなかった。

なんとか扉まで辿り着いてドアノブに手を掛ける。

「許してくれ…っ、もうマシロが可愛くても我慢するから…っ」

扉を開けながら、泣きが入ってる声に振りむく。

レイヴァン様がほっとした顔をした。この部屋を出る前に、これだけは念押ししておこう。

わかんないなりに、わかってることが一つだけあるんだ。

「おれは尻の穴を舐める王子なんて嫌だ」

「マシロ…っ!」

「え…なに、尻の穴…?」

悲痛な叫びと反対方向から別の困惑した声が聞こえて扉の方を見ると、レイヴァン様と顔の作りが似ている金髪のイケメンが立っていた。おれと目が合うと途端に慌て出した。

「あのっ、たまたま部屋の前を通っただけっていうか、別に変な意味はなくて…っ、て!マシロちゃん!?なんて格好してるの…っ!駄目だよちゃんと服着て…っ!」

「アレク王子、おれを連れてって」

「え?連れてくって…?でもまず服を…」

「いいから。出来ればだっこして」

「え、えーー…?」

おれと中にいるレイヴァン様を交互に見た後、何かを察したのかアレク王子がおれを抱えてくれた。

「アレク待て…っ」

「よく分かんないけど、多分今は距離をおいた方がいいよ。お前興奮してるし…」

ぎゅーっとアレク王子にしがみつく。

「…マシロちゃんもそうしたいみたいだし」

「でも…っ」

「いいから、取り敢えず今日はお前が引けレイ。…明日俺の部屋に来い。マシロちゃんもそれでいい?」

しがみついたままこくんと頷いた。

「レイも、あんまり落ち込むなよ。わかったな」

「・・・・・・」

レイヴァン様は何も言わなかったが、アレク王子の口調からすごく落ち込んでたのかもしれない。

そのままなぜかいたアレク王子に運ばれて王子の部屋に向かった。



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