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めでたし、めでたし
しおりを挟む声が枯れるまで魔王ルルに抱き潰された健康児な勇者リオンは、目を覚ますと昨夜朧げに覚えている魔王ルルのベットで目を覚ました。
どんなに鍛錬しても感じることのなかった筋肉痛のような痛みが全身にあり、
帰ろうにも勇者の気力でどうにもならないほど体は疲れ切っていた。
せっかく身につけていた魔装備がないことに慌てたが、近くのテーブルに置かれてるのが目に入り少し安堵した。
起きてからしばらくして、ドアがノックされた後、返事をする前にゴートとかいうすました、いけすかないやろうが入ってきた。
「魔王様からです。温かいうちにお召し上がりくださいね」
喉が枯れていたせいで文句の一つも言う前に、彼は食事を置いてさっさと帰ってしまった。
ご飯に罪はないから、美味しくいただくことにした。本当に美味しかった。
お腹も満たされ、そのままうとうとしてると、次に驚いて目を覚ました時には夕日がもう傾いていた。
しばらくしてふだんよりはだいぶ顔色がいい魔王ルルが食事を運んできてくれて、一緒に食べることになった。
「明日君が持って来た魔装備を王宮に送り返す連絡を入れたんだけど…勇者リオンよ…もう帰ってこないでくれと言われたんだが」
「うそ…なんで」
こっそり返す前に、ことがバレてしまったようだ。今まで数々のお咎めを受けて来たけれど、今回は入国拒否されてしまったらしい。
「それで、よかったら魔王城で働かないか??そしたら我を倒す君の夢もまだ再挑戦できるし、ご飯と屋根がある生活は最低限保証できるんだが」
「ぐぬぬぬぬっ、、、、」
勇者は一瞬ためらったが、明日の自分について久しぶりに考えた。
「……お世話になります」
勇者リオン、いや元勇者リオンはとりあえずベットから出れない今の状態でできる精一杯の敬礼をした。
これが魔王ルルの生贄としての罠だったと元勇者リオンが気付くのにそう時間はかからなかった。
翌月の満月でまた、あっさり捕食されてしまったからだ。
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