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※やはり勇者は詰めが甘い男だった

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魔王ルルは勇者リオンを寝室へ連れ込むと、隙をついてキングサイズのベットに勇者を押し倒した。


年々鍛えげられた馬鹿力の勇者リオンでもビクともしないほど、強い力だった。

あんな細い(細マッチョ体質なだけ)ひょろひょろ魔王にこんな力が隠されていたことに驚きを隠せない表情をしていた。


「今宵は満月、我が吸血鬼の血を引いてることを知って、やって来たのだろう」

「あっ…」

勇者リオンは失念していた。
吸血鬼が最もパワーアップしてる日だったことを。いや、そもそも雨が降っても傘をささない逞しい勇者なので、空の天気をあまり見ないところがある。

「やはり、偶然か。だが自らきた獲物を捕食しても文句は言えまいな」

近距離で見下ろされる魔王の顔はいつもの貧血のような血色の悪さがなく、イキイキとして、これほど美形だと勇者リオンは初めて知った。


「…イッ!」

その顔が徐々に近づき、そのままファーストキスを奪われてしまうのかと勇者リオンはギュッと目を瞑ったが、
やって来たのは柔らかい何かではなく、首筋の鋭い痛みだった。

「ああ、生身はやはり極上だ…」

「あっ、変態魔王!!やめっら…」

勇者リオンは恐る恐る片目を開けて見ると、自分の首が舐められてるような感覚と、魔王ルルの位置から、今のぞわぞわの原因を分析した。


もしかして、自分は吸血鬼に捕食されているのか。


「てかっ、お前、ぁ、血苦手じゃないのかよっ!!」

「本能に逆らえず食べてしまいたくなるからね。特に一度人の子の味を知ると、その衝動を抑えるのはなかなか大変と聞いていたから」

そう、王様と魔王は休戦協定を結んでいた。昔のように人の子に手を出せなくなってしまっていたのだ。

「いやっ、アッ、くすぐったいからやめぃ」

ただの食事とは思えないほど、執拗に首という弱点をなめられ、勇者は耳を塞ぎたくなるような嬌声が自分から発せられてると気づくまでに時間を要した。

そんな刺激だけで、若い勇者の象徴は固く張り詰めていた。

それに気づいた魔王ルルは少し揶揄うように尋ねた。

「もしかして、こういう行為は初めて??」

「…っ」

魔王ルルが膝でトントンと指し示す勇者の反応してしまったことについてなのか、
それともさっきまでされていた吸血行為のことか、
勇者にはわからなかった。


「そっか、初めてなら優しくしないと」

無言を肯定と受け取った魔王ルルの言葉の続きで勇者リオンはさらに混乱した。
これから自分は何されるんだろうと。
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