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リベンジの日々

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勇者・リオンは悔しかった。

まるで子供と戯れるみたいな勝負に負け続きで、悔しかった。

相手がわざと負けたら、食い下がってもう一度勝負をさせた。

それでも今まで一度も勝てていない。

得意な剣術でも負け、
手を変えようと苦手なチェスで再挑戦するも敗北。


我慢対決で、息をどちらが長く止めてられるかをやっても、負けてしまい、
運で決まるおみくじでも負けた。

もう万策尽きた感じだ。

そんな絶望的ななか、ある“魔装備”の噂を耳にした。
それは王宮の鍵付きの倉庫で厳重保管されてるものらしい。

何か曰く付きらしいが、それを使って前前魔王に勝った勇者がいたらしい。


これは神からのアドバイスに違いない。
勇者リオンは勇者としての道徳心を忘れ、曰く付きの魔装備を盗むことを決めた。

いや、借りて返せば問題ない。
そう借りるだけ。

そんな言い訳を正当化して実行に移した。


確かに詰めの甘いところはあるが、
身体能力はずば抜けて人と比べると秀でていたので、十分にカバーできる範囲だった。

そう、逃げ足がとにかく早いのだ。


さてさて、彼は魔王城の通り道にある、拠点にしてる古い家に盗品を広げて、月明かりを頼りにどんなものか物色し始めた。


「うーん、指輪と首飾りとマントか…。」

薄紫色の怪しいオーラを纏っているそれらの道具はたしかに強そうに見えた。

特段指輪の方は厳重に保管されていたから、相当強力に違いない。

でも触れても特段なにか起こったわけでもない、むしろ少し古くなっているので、まだいつもの装備と変わってない気がする。

「いやいや、きっと実践でこそ効果を発揮するに違いない。」

邪推な考えを振り払うように頭を振り、
恐る恐るそれらの魔装備を身につけて、勇者リオンは再び魔王城へ出発した。


でも結局途中で疲れて来たため、スライムボスを捕まえてその上に乗ることにした。
スライムボスはぽよんぽよん飛び跳ねて移動するが、体もぽよんぽよんしてるので、快適であった。

スライムに飲み込まれるかと最初はヒヤヒヤしたが、スライムボスだけなんか兜をかぶってたから、そこがちょうど勇者リオンの椅子の役割を果たした。


道中は満月に近い月明かりに照らされていたため、見通しも良く、良い旅だなと勇者はうつらうつらと眠気と戦いながら歩みを進めていた。


…………


「…もうついたの…??」

朝日で目を覚ました勇者は当たりを確認した。

どうやらスライムボスも眠気に勝てなかったらしく、勇者が眠ってからそれほど進んでいないようだった。

「おまえ~、全然進んでないじゃないか!!」

「ムムムムッ‼︎ムム」

「はあ?お腹すいたから飯よこせ??しょうがねーな」

「ムッムムー‼︎」

二人は仲良くご飯を食べ、再び魔王城を目指し始めました。





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