Ωであることを隠してる先輩を無理やり番にしてしまう、いじめられっ子の話。

あかさたな!

文字の大きさ
上 下
33 / 38

●10月_副会長の憂鬱2※【抑制剤なし/軟禁/おもちゃ】

しおりを挟む
 するとモー・キンムーが、ラー・キンムーに向かって言った。

「あれは金になるぜ、兄貴」

 ラー・キンムーが口の端を上げてうなずいた。

「そうだな。いい土産になりそうだ」

 俺は、そんなふたりを鼻でせせら笑った。

「ふん、俺からこれを奪い取れると思っているのか?」

 ラー・キンムーが恍惚の表情を浮かべて言った。

「お前はつまらん小僧だが、ひとつだけ素晴らしいことがある。それは、お宝を持っているということだ!」

 ラー・キンムーが言うなり、凄まじい勢いで俺に襲いかかってきた。

 俺はすぐに蒼龍槍を後ろ手に引いて構え、間合いをはかる。

 ここだ!

 俺は力強く蒼龍槍を前に出す。

 と、ラー・キンムーが待っていたかのように上に向かって跳び上がった。

 蒼龍槍が空を切る。

 と、その後ろにモー・キンムーが!

 上からラー・キンムー、目の前にはモー・キンムーという二段構えの攻撃が迫る。

「死ねい!」

 ラー・キンムーが上から真っ直ぐ指を伸ばした手刀でもって、俺を指し貫こうと試みる。

 俺はすんでのところでそれを、ダッキングしてかわした。

 頭のすぐ上をラー・キンムーの手刀が通り過ぎる。

 だが目の前にはモー・キンムーが、俺の動きを予測していたかのように下段蹴りを繰り出していた。

 俺はその足を、蒼龍槍で薙ぎ払おうと渾身の力でもって横殴りした。

 すさまじい衝撃音と共に、モー・キンムーの右足が砕けた。

 モー・キンムーがたまらず絶叫した。

「おのれ!」

 弟の仇とばかりに、ラー・キンムーが踵を返して俺に襲い掛かる。

 俺はすぐさま立ち上がり、振り向きざまに蒼龍槍を振るった。

 再びの衝撃音が鳴り響く。

 蒼龍槍はラー・キンムーの脇腹にめり込み、肋骨数本を葬った。

 ラー・キンムーのけたたましい悲鳴が上がる。

 俺は肺腑の中の空気を一気に吐き出した。

「ふう~」

「やりおるの。さすがじゃ」

 俺の背から、バーン翁が語りかけていた。

 俺は振替し、肩をすくめてみせた。

「なあに、大したことじゃないさ」

 バーン翁が相好を崩した。

「そうかそうか。だがなかなかの相手だったとは思わないか?」

 これには俺もうなずくしかなかった。

「ああ。こいつら、Sランクだと思う」

 バーン翁がうなずいた。

「うむ。野良のSランクじゃな」

「Sランクってのは、数が少ないんじゃなかったのか?」

 俺が抗議するように言ったことで、バーン翁が笑みを見せた。

「わしのせいじゃないんだから、文句を言うな」

「でもさあ、三人もだぜ?たぶんSランクっていっても、ぎりぎり合格ってところだと思うけど、それにしてもだぜ」

「まあそれに関しては、わしも興味津々じゃ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

成り行き番の溺愛生活

アオ
BL
タイトルそのままです 成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です 始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください オメガバースで独自の設定があるかもです 27歳×16歳のカップルです この小説の世界では法律上大丈夫です  オメガバの世界だからね それでもよければ読んでくださるとうれしいです

孤独を癒して

星屑
BL
運命の番として出会った2人。 「運命」という言葉がピッタリの出会い方をした、 デロデロに甘やかしたいアルファと、守られるだけじゃないオメガの話。 *不定期更新。 *感想などいただけると励みになります。 *完結は絶対させます!

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...