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元婚約者との面会
どうも
しおりを挟むコンコンコン
「ユシエル様失礼致します。お客様がいらっしゃいました。」
「通せ」
執事が告げた来訪に、
短く鋭くユシエルが答える。
また膝から逃げようとしても、腰をしっかり掴まれてしまい、びくともしない。
「失礼します。バンガル瀬野です。」
そう言って、礼儀正しく部屋に瀬野が入ってきた。
いつも見ない、余所行きな感じが
彼のクールで大人っぽい見た目に、違和感なく馴染んでいた。
大人っぽくなったな~と親戚のおじいちゃんみたいなことを考えてしまう。
まあ、現実逃避したいくらい、空気が重いんだ。
「どうぞおかけください。」
「失礼します。」
まもなく使用人がお茶を淹れてくれた。
うーん!とてもいい匂いだな。
うわ~瀬野が持ってきたお土産のクッキー好きなやつだ。
「ほら、美都様はちゃんと元気そうでしょ」
使用人が部屋からいなくって、2人の空気が少し砕ける。
「ああ、そうだな」
あんまり瀬野を見てしまっては、またユシエルが妬いてしまうかなと思って、
あまり見ないようにしてたけど、
なんか話題が自分だったから思わず2人の方を見てしまう。
「ハハハ、美都それ好きでしょ」
瀬野に話しかけられ、どうしようかとユシエルの方を見ると、
「いいですよ。」
と言われて、やっと拘束を開放され
部屋の隅におかれ美味しいクッキーをお茶と共に堪能する。
2人の重い話しが早く終わらせてほしいと少し願いながら。
うわ~本当美味しいな!さすが瀬野!
そして少し間があって
「ユシエル、美都を大事にしろよ」
そう瀬野は言い残し、
ドア近くにいた俺の頭をひとなでして、
去っていった。
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