【詩小説】自分探しの迷子

ロボモフ

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アーモンドチョコレート

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 アーモンドとチョコレートを口の中で融合させて、僕はアーモンドチョコレートを作り出した。アーモンドはアーモンド、チョコレートはチョコレート。僕の口の中でそれは紛れもないアーモンドチョコレートになった。アーモンドが欲しい時、僕はアーモンドを食べる。チョコレートが欲しい時、僕はチョコレートを食べる。別々にやってきたアーモンドとチョコレートが私の口の中で出会い、私の歯によって噛み砕かれる時、アーモンドチョコレートが生まれました。素晴らしいハーモニーが、生まれながら溶け合いながら、私の中に消えていきました。

 甘い気分でない時は、僕はアーモンドを食べる。チョコレートには目もくれず、アーモンドばかりを食べる。甘い気分に浸りたい時、私は純粋にチョコレートに手を伸ばします。アーモンドは置いといて、なめらかなチョコレートだけに溺れていくことができます。俺にあるのはアーモンドチョコレート。出会いも融合も必要ない。それは既に誰かがやったこと。他人の経験に興味はない。

 アーモンドチョコレート。それは完成品。俺は美味しいとこだけいただくとする。完成された水戸の一行よりも、僕はどこからか集まってくる侍の方に惹かれていく。アーモンドはアーモンドとして弾けていく。チョコレートはチョコレートらしく熱に弱い。それでも縁があれば二つは僕を通じてアーモンドチョコレートになることがある。それくらいの緩さでちょうどいい。アーモンドチョコレートがそこにあれば、いつだって最良のバランスをつかむことができます。

 けれども、私は鈍くなった。いつからか、ハッピーエンドは私を幸福にしなくなった。あるいは、私はもっともっと欲張りになったのです。荒削りにすぎるアーモンドと素朴なだけのチョコレートを持ち寄って、私の中で変えてみたくなったのです。私の中でアーモンドチョコレートになっていく時間こそが、どんな完成にも勝る喜びだったのです。くだらない過程はいらない。俺には一粒のアーモンドチョコレートがあればいい。欲しい時に一つ、もっと欲しい時にもう一つ。それだけあったらそれでいい。
 アーモンドチョコレート。そこに理屈をつけることはない。完成されたものの果てはいつだってかなしい。僕はまだアーモンドと一緒に転がっている方がいい。混じりけのない道ほど先は長そうだ。
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