8 / 19
アウトサイド・アトラクション
しおりを挟む
「君は乗らないの?」
「どうして?」
「みんな並んでるよ」
「僕は背が高すぎるんだ」
「そうは見えないけど」
「外からは見えないこともあるよ」
「ここで本を読んでるの?」
「そうだけど」
「石の上は硬くない?」
「別に」
「浮かれた人がたくさんいるよ」
「浮かれた人の隅っこは意外に落ち着くんだ」
「今しかできないことをしようとは思わないの?」
「例えば?」
「みんなと楽しい思い出を作るとか」
「ごちゃごちゃしたとこは楽しくない」
「その本の中は違うの?」
「文字は別だよ」
「どうして別なの?」
「密にならなきゃ意味にならないでしょ」
「人より文字が好きなの?」
「まあそういうことかな」
「ずっとそうしていて退屈じゃないの?」
「人といるよりはね」
「いつも独りでいるの?」
「自然にしてるだけ」
「人間を避けているの?」
「疎ましい時にはそうかもね」
「人間嫌いなんだ」
「どうかな」
「本は特別なの?」
「何が?」
「それも人から生じたものでしょ」
「それが何?」
「矛盾は感じないの?」
「何の矛盾?」
「登場人物に寄り添うことに」
「架空の人は別じゃない。あと人だけじゃないよ」
「猫とか虫とか?」
「妖怪とか人魚もいるよ」
「それだって擬人化されてるでしょ」
「だから何なの」
「じゃあ作者はどう? 作者は完全に人間でしょ」
「作者はあとがきまで出てこないから」
「都合がいいんだね」
「何のこと?」
「登場人物が勝手に動き回ってると思うんだ」
「だって物語だから」
「後ろにいる作者を忘れられるんだね」
「よくわからないよ」
「どんな話?」
「人が出てきてだんだん消えて行くの」
「じゃあ私と一緒だ」
「えっ?」
「君は3年生?」
「もうすぐ4年だけどね」
「じゃあもっと冒険しなくちゃ」
「この中でもうしてるよ」
「そうか」
「おじさんは?」
「お化け屋敷から追い出されちゃってね」
「そうなんだ」
「本物は駄目なんだってさ」
「へー、どこが本物なの?」
「さあな。自分がわかってるってことかな」
「そう。これからどうするの?」
「他でもまわってみるとするか」
「おじさん。きっと必要とされるとこがあるよ」
「そうかな」
「多様性が必要なんだって」
「本に書いてあるのか?」
「違うよ。一般論だよ」
「そうか。じゃあまたどこかのアトラクションで」
「じゃあね」
「メリークリスマス!」
「メリークリスマス!」
「どうして?」
「みんな並んでるよ」
「僕は背が高すぎるんだ」
「そうは見えないけど」
「外からは見えないこともあるよ」
「ここで本を読んでるの?」
「そうだけど」
「石の上は硬くない?」
「別に」
「浮かれた人がたくさんいるよ」
「浮かれた人の隅っこは意外に落ち着くんだ」
「今しかできないことをしようとは思わないの?」
「例えば?」
「みんなと楽しい思い出を作るとか」
「ごちゃごちゃしたとこは楽しくない」
「その本の中は違うの?」
「文字は別だよ」
「どうして別なの?」
「密にならなきゃ意味にならないでしょ」
「人より文字が好きなの?」
「まあそういうことかな」
「ずっとそうしていて退屈じゃないの?」
「人といるよりはね」
「いつも独りでいるの?」
「自然にしてるだけ」
「人間を避けているの?」
「疎ましい時にはそうかもね」
「人間嫌いなんだ」
「どうかな」
「本は特別なの?」
「何が?」
「それも人から生じたものでしょ」
「それが何?」
「矛盾は感じないの?」
「何の矛盾?」
「登場人物に寄り添うことに」
「架空の人は別じゃない。あと人だけじゃないよ」
「猫とか虫とか?」
「妖怪とか人魚もいるよ」
「それだって擬人化されてるでしょ」
「だから何なの」
「じゃあ作者はどう? 作者は完全に人間でしょ」
「作者はあとがきまで出てこないから」
「都合がいいんだね」
「何のこと?」
「登場人物が勝手に動き回ってると思うんだ」
「だって物語だから」
「後ろにいる作者を忘れられるんだね」
「よくわからないよ」
「どんな話?」
「人が出てきてだんだん消えて行くの」
「じゃあ私と一緒だ」
「えっ?」
「君は3年生?」
「もうすぐ4年だけどね」
「じゃあもっと冒険しなくちゃ」
「この中でもうしてるよ」
「そうか」
「おじさんは?」
「お化け屋敷から追い出されちゃってね」
「そうなんだ」
「本物は駄目なんだってさ」
「へー、どこが本物なの?」
「さあな。自分がわかってるってことかな」
「そう。これからどうするの?」
「他でもまわってみるとするか」
「おじさん。きっと必要とされるとこがあるよ」
「そうかな」
「多様性が必要なんだって」
「本に書いてあるのか?」
「違うよ。一般論だよ」
「そうか。じゃあまたどこかのアトラクションで」
「じゃあね」
「メリークリスマス!」
「メリークリスマス!」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
Tokyo Flowers
シマセイ
現代文学
東京で働く25歳のユイは、忙しい毎日の中で、ふと立ち止まり、日常に 隠された美しさに気づき始める。それは、道端に咲く花、カフェの香り、夕焼けの色… 何気ない日常の中に、心を満たす美しさが溢れていることに気づき、彼女の心境に変化が訪れる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる