雇っている天才は報奨を望みますが、必ず仕事は果たします

竹桜

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第十一話 旅行

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 それから本家からの接触は無かった。

 だから、平穏の日々が続いている。

 そして、今日は住んでいる国から離れ、海にやって来ている。

 「凄い~。初めて海なんて見たよ」

 「確かに凄いですね。私も海は初めてです」

 そう言っている2人は私服に身を包み、海を見ているのだ。

 リサーナが海が初めてきたのはカナリエは意外だな。

 いや、意外では無かったな。

 カナリエはあの国から出てないから。

 そうそう、カナリエの私服はリサーナに選んで貰った。

 カナリエは服に興味が無さすぎて、数を持ってなかったのだ。

 だから、リサーナに頼んだ。

 頼んで、本当に良かった。

 よくカナリエに似合っている。

 勿論、リサーナの私服も似合っている。

 そして、ここに来たのは休暇だ。

 商会の方が安定してたので、少し任せてみることにした。

 副会長に。

 まぁ、何も問題無いと思うが。

 そんなことを思っているとカナリエが私の方を向いていたのだ。

 「そう言えば、カイスは海に来たことがあるの?」

 「あるぞ。まぁ、取引の関係で。だから、休暇では初めてだ」

 「そうなのですか。なら、早く行きましょう」

 そう言い、リサーナは私の右手を掴んだのだ。

 「そうだね。早く行こ、カイス」

 そう言い、カナリエも私の左手を掴んだのだ。

 「ああ、そうだな」

 そう言い、私は2人の手を握ったのだ。

 そして、私達は海に向かった。

 ビーチに到着した私達は荷物を置いたのだ。

 2人は恐る恐る海に近づいていた。

 カナリエは興味津々の表情を浮かべ、リサーナは少し不安そうな表情を浮かべながら。

 波が2人の足に掛かると海というものを知ることができ、2人は膝まで海の中に入ったのだ。

 私もそれに続き、膝まで入った。

 「あ、小魚」

 そう呟き、リサーナはその小魚に視線を奪われていた。

 それに気が付いたカナリエが何かを思いついた表情を浮かべた後、ゆっくりとリサーナに近付いたのだ。

 そして、水を掛けたのだ。

 「キャッ」

 いきなり水を掛けられたリサーナは可愛らしい悲鳴を上げたのだ。

 「や、やりましたね。お返しです」

 そう言い、リサーナはカナリエに水を掛けたのだ。

 「先にやったのは僕だけど、お返しするよ」

 そう言い、カナリエもリサーナに水を掛けた。

 それから2人は水の掛け合いをしていたのだ。

 私はそんな2人を見ながら、和んでいたが、あることに気がついてしまった。

 み、服が水に濡れて、透けてしまっていることに。

 だから、ふ、2人の下着が見えてしまっている。

 私は顔を明後日の方向に向けた。

 「なんで変な方を向いているの?カイス」

 「どうしたのですか?カイス様」

 「ふ、2人とも自身の服を見てくれ」

 2人は不思議そうな表情を浮かべながら、自身の服を確認したのだ。

 確認した後、2人は顔を真っ赤にして、両手で胸の辺りを隠したのだ。

 「や、やっぱり、カイスは紳士的だね」

 「カ、カイス様。お見苦しいものをお見せしてしまいました」

 その後、予備に持ってきた服に2人が着替えてから、海での休暇を楽しんだ。
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