雇っている天才は報奨を望みますが、必ず仕事は果たします

竹桜

文字の大きさ
上 下
2 / 15

第二話 新たな魔法具

しおりを挟む

 商会に戻った私はカナリエから貰った魔法具を元に生産を開始した。
 
 生産は上手く行き、1週間後には販売を開始することが出来たのだ。

 新たに発売した魔法具の売れ行きは良い。

 だから、相当の利益が出ている。

 それらを記録として書き起こした紙を見ながら、私は副会長と執務室の中にいる。

 「流石ですね。カナリエ嬢は」

 「そうだな。カナリエは本当の天才だな」

 「だからこそ、本当に不思議でなりません。あれ程の天才を手放したことが」

 「それは本当に同意だな。まぁ、カナリエの性格を考えれば分からないことではないからな」

 「正直なことを申しますと私も扱いに困る部分はあると思っています。それで、会長は大丈夫なのですか?」

 「何がだ?」

 「カナリエ嬢の追加の報奨のことですよ」

 「特に問題は無い。そんなに難しいことでは無いからな」

 「なら、時間が掛かるだけなのですね。それなら良かったです」

 そんな会話を終えた後、私は屋敷に帰ったのだ。

 屋敷に帰ると唯一仕えているメイドが出迎えてくれた。

 「お帰りなさいませ、会長様」

 「ただいま、リサーナ」

 唯一仕えているリサーナは私が本家にいた時からずっと一緒だ。

 そして、歳も同じだ。

 「お食事の準備は出来ております」

 「そうか。なら、食堂に向かおう」

 そう言い、私は食堂に向かい、リサーナが作ってくれた夕食を食べた。

 食べ終えた後、私はリサーナに聞きたいことを思い出したのだ。

 「1つ聞きたいんだが、カナリエとはどうだ?」

 「どうと言われましても。本当にお世話しかしていませんよ」

 「そうなのか」

 「前々から気になっていたのですが、カナリエ様の追加の報奨は何なのですか?」

 「主に掃除とかだな」

 「掃除ですか?私に頼むのではなく会長様に」

 「そうだな。それが本当に謎だ」

 そんなことを考えているとリサーナが何かを思いついたような表情を浮かべていたのだ。

 「どうしたんだ?」

 「いや、何でもございません」

 リサーナの回答を少し疑問に思ってしまった。

 「疑問に思っているので、1つだけヒントを差し上げます。ヒントは乙女心です」

 そう言い、リサーナは私に一礼してから、食器を片付け始めたのだ。

 「それでは、私は片付けがありますので、退室させて頂きます」

 そう言い、リサーナは食堂を後にした。

 乙女心?

 よく分からないな。

 そう言えば、カナリエはいつもネグリジェだが、身嗜みはしっかりとしている。

 それに、洗濯は絶対にリサーナに任せているな。

 まぁ、考えてもよく分からない。

 特に問題ないからいいか。

 そう軽く考え、私は自室に戻ったのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

この世の沙汰は運次第

緋水晶
ファンタジー
※土日祝日に更新します。 なのでGW中はほぼ毎日更新です。 閻魔大王の眼前に立つ不幸のうちに死んでしまった17歳の少年シャスバンドール零万は、自分の不幸が神の手違い故だったことを知らされる。 その埋め合わせとして来世の幸運と願いを一つ叶えてもらえることになった零万は自分の名前の意味を知りたいと願った。 幼い頃に亡くなった国籍不明天涯孤独の父の母国語に由来する、意味のわからない言葉の意味を知りたいと。 それを聞いた閻魔大王はにたりと笑うと「ならば父のいた世界でその意味を調べるがよい」と告げる。 「え?俺の父親異世界人なの?」と混乱する零万をよそに、サクサクと話を進めた閻魔大王は零万を異世界に転生させたのだった。 ということを5歳の洗礼の儀式の最中に思い出したレィヴァンは自分の名前の意味を模索しながら平和にのんびり生きていこうと考えていた。 しかし洗礼の結果、自分が神級の勇者であることを知る。 それもこれも高すぎる『幸運』故の弊害だったが、今更それを覆すことなどできない。 レィヴァンは仕方なしに今世も運次第で生きていくのだった。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

少女漫画の当て馬女キャラに転生したけど、原作通りにはしません!

菜花
ファンタジー
亡くなったと思ったら、直前まで読んでいた漫画の中に転生した主人公。とあるキャラに成り代わっていることに気づくが、そのキャラは物凄く不遇なキャラだった……。カクヨム様でも投稿しています。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

処理中です...