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第十二話 諦めが悪い者

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 1週間が経ってしまった。

 私の謹慎期間が終わったのだ。

 制服に身を包み、玄関に立っている。

 「それでは行ってくる、シア」

 「ノレンさん。気を付けて下さい」

 「父上、母上。シアのことをお願いします」

 私の発言に両親は頷いてくれた。

 それを確認した私は転移の魔法具を使用したのだ。

 貴族学院に到着した。

 実はシアは貴族学院を卒業している。

 貴族学園を卒業し、王家で王妃になる教育を受ける予定だった。

 だが、必要が無くなったので、貴族学院に通うことがない。

 だから、私1人だ。

 貴族学院の中を歩いていると視線が突き刺さる。

 様々な感情の視線が。

 腫れ物扱いは変わらずか。

 そんな視線を向けられながら、私は授業を受けていた。

 後1つの授業を受けたら、終わりという時に私は知らない教室に移動になったのだ。

 嫌な予感がする。

 警戒はしておこう。

 そう思い、私は指定された教室に移動した。

 到着した教室には誰も居なかったのだ。

 中に入ろう。

 そう思い、私は教室に入ったのだ。

 教室の真ん中まで移動するといきなり扉が閉まり、鍵が自動でしまった。

 それと同時に剣を持った生徒達が現れたのだ。

 その中にはあのクソ野郎とクソ王子がいた。

 「シアのことを解放しろ」

 「解放?面白いことを言いますね。貴方がシアのことを蔑ろにしていたのに」

 「愛称で呼ぶな。シアは私の婚約者であり、よくよくは王妃になる愛する女性だ。それなのに、貴様みたいな低俗の男に」

 ヤバい人だな。

 その意見に同意しているクソ野郎もヤバい。

 関わっていけないな。

 もう話を聞くのは疲れてしまった。

 そう思い、私はリボルバーをホルスターから抜いたのだ。

 そこで気がついてしまった。

 「魔法具封じか。そんなものを持ち込むとは」

 私の発言を聞いたクソ野郎共はニヤリと笑ったのだ。

 魔法具封じ。

 この国の国宝の1つ。

 つまり、あのクソ王子は国宝を無断で持ち出したのだ。

 ほんとやばいな。

 「貴様は魔法具に頼っている。だから、脅威は無くなった」

 そう言い、クソ王子は右手を上げたのだ。

 それを確認したクソ野郎共は剣を抜いた。

 抜いた剣は明らかに刃が潰されていなかったのだ。

 これは殺す気だな。

 「もう良い。貴様が黙って聞くなら、命だけは助けてやったが、聞かない殺すだけだ。待っていてくれ、シア。直ぐに迎えに行く」

 気持ち悪。

 嫌悪感が。
 
 一応、クソ野郎に視線を向けたが、ニヤリと笑うだけ。

 もう無理だな。

 まぁ、これは後で報告だ。

 そんなことを考えているとジリジリと距離を詰めている。

 さて、こいつ等は馬鹿だな。

 魔法具を主体に戦う者が封じられ時の対応ぐらい考えている。

 当たり前のことだ。

 私は懐から投げナイフを取り出し、投擲したのだ。

 突然、投げナイフを投擲された生徒は驚きのあまり尻餅をついてしまった。

 よし、これで大丈夫だ。

 そう思い、私は踏み込んだ。

 教室の外に。
 
 扉ではなく、窓の方に。

 そのまま私は窓を突き破り、外に出たのだ。

 よし、範囲外だな。

 そう思い、私は魔法袋から転移石を取り出した。

 幸い、教室に置いてきたのは教科書だけだ。

 だから、何も問題無い。

 私は転移石を使用した。

 気がついたら、家に戻っていたのだ。

 授業時間の筈なのに私が帰宅していることに両親とシアは驚いていた。

 驚いている両親とシアに先程あったことを説明したのだ。

 それを聞いた両親とシアは怒っていた。

 シ、シアの怒った姿なんて、初めて見たな。

 その後、私は怒りは宥めることになってしまった。

 何で、私は武装したクソ野郎共から逃げる時よりも両親とシアの怒りを収める方で疲れているのだ?
 
 
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