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最終話 来世
しおりを挟むあれから何十年の時が経った。
エンジェルロードと呼ばれる場所に男女がいる。
女性は肩まで伸ばした黒髪を短いポニーテールにしている。
そして、真っ白なワンピースに身を包み、麦わら帽子を被っている。
首元にはジンチョウゲを模したネックレスが光り輝いていたのだ。
その女性は男性の方に手を伸ばし、顔を少し赤らめていた。
「き、君が握ってくれないと渡れないよ。も、勿論、こ、恋人繋ぎだよ」
「ああ」
そう答え、男性は女性と恋人繋ぎをしたのだ。
恋人繋ぎした男女は干潮によって海から出てきた砂道を通っている。
途中で女性は手を離し、男性から距離を取った。
女性は男性に自身の背を向けている。
「ありがとう、陸。来世で僕を見つけてくれて、来世でも僕のことを好きでいてくれて、来世で僕を見つけてくれて」
そう言い終わった女性は男性の方を振り向いたのだ。
「そんな陸のことが大好き」
そう言い、女性は満面の笑みを浮かべていた。
その満面の笑みはとても幸せそうだったのだ。
そんな満面の笑みを向けられた男性も幸せそうに微笑んでいた。
それから、その男女は中山千牧田の方に消えていったのだ。
女性の家族と思わしき者達と共に。
その中には女性の弟らしき人物とその幼馴染の少女がいた。
これからどのような人生を過ごしていくかは分からない。
だが、これだけは言える。
男性は、いや、私は海琴のことを愛し続けると。
例え、また死に別れになったとしても。
今世で駄目なら来世に。
また駄目なら、その次の来世に。
来世に、来世に、来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に。
私は必ず海琴を幸せにする。
例え、どれだけ掛かろうとも。
私の愛は永遠だ。
ジンチョウゲの花言葉は永遠。
あの時から私は海琴のことを永遠に愛すると決めていた。
あ、そうだ。
ジンチョウゲには不滅という花言葉もある。
海琴の愛は永遠であり、不滅でもある。
私が海琴に贈るネックレスとして相応しい。
ちなみにネックレスにも贈る意味がある。
プレゼントとしてのネックレスにはずっと一緒にいたいという意味がある。
そう、私は海琴と一緒にいたのだ。
来世でも。
私は狂っているのかもしれない。
だが、そんなことはどうでもいい。
海琴と過ごして行けるなら。
もし、狂っていると罵る者には言ってやろう。
これが本当の純愛だと。
本当の意味で一生涯愛し続ける。
だから、本当の純愛なのだ。
海琴。
私は前世でも、今世でも、来世でも愛し続けるよ。
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