12 / 13
最終話 来世
しおりを挟むあれから何十年の時が経った。
エンジェルロードと呼ばれる場所に男女がいる。
女性は肩まで伸ばした黒髪を短いポニーテールにしている。
そして、真っ白なワンピースに身を包み、麦わら帽子を被っている。
首元にはジンチョウゲを模したネックレスが光り輝いていたのだ。
その女性は男性の方に手を伸ばし、顔を少し赤らめていた。
「き、君が握ってくれないと渡れないよ。も、勿論、こ、恋人繋ぎだよ」
「ああ」
そう答え、男性は女性と恋人繋ぎをしたのだ。
恋人繋ぎした男女は干潮によって海から出てきた砂道を通っている。
途中で女性は手を離し、男性から距離を取った。
女性は男性に自身の背を向けている。
「ありがとう、陸。来世で僕を見つけてくれて、来世でも僕のことを好きでいてくれて、来世で僕を見つけてくれて」
そう言い終わった女性は男性の方を振り向いたのだ。
「そんな陸のことが大好き」
そう言い、女性は満面の笑みを浮かべていた。
その満面の笑みはとても幸せそうだったのだ。
そんな満面の笑みを向けられた男性も幸せそうに微笑んでいた。
それから、その男女は中山千牧田の方に消えていったのだ。
女性の家族と思わしき者達と共に。
その中には女性の弟らしき人物とその幼馴染の少女がいた。
これからどのような人生を過ごしていくかは分からない。
だが、これだけは言える。
男性は、いや、私は海琴のことを愛し続けると。
例え、また死に別れになったとしても。
今世で駄目なら来世に。
また駄目なら、その次の来世に。
来世に、来世に、来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に来世に。
私は必ず海琴を幸せにする。
例え、どれだけ掛かろうとも。
私の愛は永遠だ。
ジンチョウゲの花言葉は永遠。
あの時から私は海琴のことを永遠に愛すると決めていた。
あ、そうだ。
ジンチョウゲには不滅という花言葉もある。
海琴の愛は永遠であり、不滅でもある。
私が海琴に贈るネックレスとして相応しい。
ちなみにネックレスにも贈る意味がある。
プレゼントとしてのネックレスにはずっと一緒にいたいという意味がある。
そう、私は海琴と一緒にいたのだ。
来世でも。
私は狂っているのかもしれない。
だが、そんなことはどうでもいい。
海琴と過ごして行けるなら。
もし、狂っていると罵る者には言ってやろう。
これが本当の純愛だと。
本当の意味で一生涯愛し続ける。
だから、本当の純愛なのだ。
海琴。
私は前世でも、今世でも、来世でも愛し続けるよ。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
凜恋心
降谷みやび
恋愛
ある村にすんでいる雅(みやび)。特殊な力があるために親からも見捨てられていた。そんなある日、その村に三蔵一行が現れた。それが雅の運命を変えることに…
原作の最○記さんとは全く関係ありませんが、キャラ設定等は大好きな最遊○さんをパロってます。全く無関係なので誹謗中傷は受け付けません。
もしも○○なら…の『心恋凛~If...の場合』を開始いたします!そちらの章も是非お楽しみに…


社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

【完結】平凡な私が地獄の神に溺愛されています!ー大聖女に転生予定が、気まぐれに地獄へ堕とされたら、地獄の神の溺愛と断罪が待っていました
碧桜 汐香
恋愛
素直で社畜体質っぽいし、浄化魔法が使えてマッサージ機代わりになるからという理由で、神々の手によって、死者の列から掬い上げられ、神の使い人になったテラス。
神の使いと呼ばれる動物たちの事務処理をするのが仕事だ。ハラスメントに業務を押し付けられる日々だが、テラスはNOと言えずに大量の仕事を抱えてる毎日を送っている。
ある日、そんなテラスに地獄への配置換えが命じられた。地獄の労働環境は最悪で、不浄な空気の中では使い人は長く生きられないとされる。
生きることも諦めて地獄に向かったが、そんなテラスを向かえる地獄は、最高の労働環境で、イケメンな地獄の神に溺愛されることとなった。
途中、元上司が自身の左遷に反乱を起こしたりするが、地獄の神が圧倒的な力で断罪される。
特定の宗教はモデルにしておりません。作者自身の想像でございます。地獄等について、調べてから書いておりますが、宗教観に詳しくありませんので、物語として楽しんでいただけると幸いです。
時々読み返して確認し直しているので、手直しが入っております。物語の本筋には影響は与えないようにしております。
他サイト様にも掲載中です。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる