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第九話 オリーブ
しおりを挟む15分ぐらい歩くと私は目的地に到着した。
到着した目的地はエンジェルロードと呼ばれている砂道だ。
ここは1日に2回の干潮時に海の中から砂道が現れ、大切な人と手を繋いで渡ると願いが叶うとされている。
とてもロマンチックだ。
ここに来るのは2度目だが、1度も渡ったことがない。
だって、干潮の時に来たことが無いのだから。
「あ、間違えた。時間を勘違いしていたよ。えっと、どうしようかな?あ、あそこに行こ」
そう言い、君は近くにあった約束の丘展望台を指差した。
その時、私は君と一緒に登ったのだ。
今は1人でそこに登っている。
登った場所には鐘と瀬戸内海を見ることが出来るのだ。
これは幸せの鐘と呼ばれている。
「樹。僕と一緒に鳴らそ」
そう言い、君は木製のハンマーを持っていた。
幸せの鐘を鳴らした後、また願ったな。
その時、君は何を願っていたのかもう分からない。
今も私の願いは変わっていない。
変わることが無いからな。
1人で立っていると風に吹かれた。
ここにいても何も無い。
移動しよう。
そう思い、私はこの場を後にした。
近くのバス停でダイヤの確認をすると丁度良く次の目的地に行くバスが5分後だったのだ。
これに乗って、次の目的地に行こう。
そう思い、私は待つためにベンチに座った。
5分後、バスがやって来たのでそれに乗り込んだ。
それからバスに揺られた。
目的地に近付くにつれ、オリーブの木が街路樹として植えられている。
イチョウのように。
そんなオリーブを見ていると目的地にバスは到着した。
それを確認した私はバスから降りた。
到着したのは道の駅小豆島オリーブ公園だ。
その名の通り、周りにはオリーブが沢山生えている。
そして、ここのオリーブ公園は少し高い台にあるので、瀬戸内海が見える。
見た後、私は道の駅の中に入った。
道の駅の中にはお土産屋があったが、止まること無くオリーブの歴史が展示されている場所に向かったのだ。
その場所には色々な展示がされていたが、私はある場所に向かった。
向かっているとある建物が見えたのだ。
それはギリシャ風車だ。
オリーブが周りにあるので、異国のように思える。
そして、その周りには観光客が集まっている。
確か、少し前にドラマをやった影響か。
どんなドラマかは知らないが、比較的に若い子が多いな。
あそこだけ混んでいる。
まぁ、良いか。
あそこに行くつもりはない。
そう思い、私はまた歩き始めた。
目的はそこでは無いからな。
到着したのはあるオリーブの木だ。
その木の横には石でオリーブの原木と書かれている。
気配を感じた。
樹齢100年近くのオリーブの木の前に。
真っ白なワンピースに身を包み、麦わら帽子を被った君が居たのだ。
私が頭をかかえても君もまだ目の前にいる。
だが、これは記憶だ。
だって、あの時のままだから。
「知ってる?オリーブの花言葉を」
あの時は知らなかった。
だが、今は知っている。
君に教えて貰ったからな。
オリーブの花言葉は平和だ。
だから、国際連合の旗にオリーブの葉が刻まれている。
ここに来た。
なら、次はあそこに。
いや、最後になる。
あそこに行ってしまったら、時間になるだろう。
そう思い、私はこの場を後にしたのだ。
その後、バスに乗った。
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