君の故郷に

竹桜

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第八話 君の故郷に

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 目を覚ました私は昨日と同じように朝食バイキングを食べた。

 部屋に戻った私は荷物を纏めた。

 今日、私はこの県を後にするからだ。

 だが、その前に行くべき場所がある。
 
 だから、朝早くに起きたのだ。

 泊まったのがビジネスホテルで良かった。

 朝早くから朝食をやっているから。

 荷物を纏め終えた私はホテルのチェックアウトしたのだ。

 ホテルを出た私は真っ直ぐある場所に向かった。

 到着した場所は高松港のフェリー乗り場だ。

 そして、高速船のチケットを購入した。

 待合室で10分ぐらい待っていると高速船が見えてきたのだ。

 どうやら、やってきたようだな。

 私は待合室から出て、既に出来ていた列に並んだ。

 並んでいると高速船がフェリー乗り場に着港したのだ。

 橋が掛けられ、乗っていた者達が降りてきた。

 降りてくる者達はサラリーマンか、学生が殆どだ。

 船内が誰も居なくなってから列の先頭から順番に乗り込み始めた。

 私も高速船に乗り込み、空いている窓側の席に座ったのだ。

 座っていると船が動き出し、どんどん高松港を離れていく。

 そして、目的地に向かっていく。

 そんな高速船の中で私はただ海を見つめている。

 いくつかの島を過ぎていく。

 高速船に揺られ、約30分が経った。

 そろそろか。

 そんなことを思っていると見えてきてしまった。

 ごま油会社の工場が。

 あと少しで到着してしまう。

 今の私は緊張している。

 それは傍から見ても分かるほどに。

 不審者と思われるかもしれない。

 だが、そんなことはどうでも良い。

 今の私を考えるとな。

 複雑に混ざり合った気持ちを何とか押さえていたのだが、既に高速船が着港していたのだ。

 お、降りるないと。

 そう思い、慌てながら私は高速船を降りたのだ。

 安心した私は下を向いてしまったのだ。

 その時、懐かしい気配を強く感じた。

 恐る恐る顔を上げた私は驚きの表情を浮かべてしまったのだ。

 確かに君が目の前にいたからだ。

 「ここが僕の故郷、小豆島。これから案内するよ」

 そう言い、君は私の方に手を伸ばしてくれた。

 その時、私は、私は確かに掴んだ。

 思わず、私は君の手を掴んだ筈の右手を頭に当てた。

 また記憶だ。

 目の前にいると錯覚するほど強い記憶。

 高松にいた時よりも感じるな。

 ここが君の故郷だからか?

 分からない。

 だが、ここまで来たのだ。

 歩こう。

 そう思い、私は歩き始めた。

 私は1日乗車券を購入し、止まっていたバスに乗り込んだ。

 乗り込むと直ぐに出発した。

 少し経って私は気がついたのだ。

 間違えたと。

 色々と考えていたから、上の空だった。

 取り敢えず、ここで降りないと。

 そう思い、私はボタンを押したのだ。

 私が降りた場所はあまり知らない場所だった。

 ここはどこだ?

 そんなことを思いながら、周りを見渡しているとあるものが見えた。

 世界一狭い土渕海峡?

 それに、ギネスブックに認定されているみたいだ。

 折角だから、観光してみるか。

 そう思い、私は観光を始めた。

 どうやら、ここは小型船が航行出来る海峡みたいだ。

 最小幅は9.93mか。

 狭いな。

 これなら、小型船しか航行出来ないな。

 観光を終えた私は近くにあった観光用の地図を見たのだ。

 本来私が目指していた場所はここから歩いて15分ぐらいか。

 なら、バスに乗らず、歩いていくか。

 そう思い、私は歩き始めたのだ。

 目的地に向けて。

 
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