親友から裏情報だけを聞いたゲームの中に転生しました

第十話 勇者パーティー

　今回使った魔法は、時雨。

　傷を治し、アンデッドを浄化することが出来る。

　また、噂になっているかな？

　まぁ、バレないと思うから、何も問題無いと思うけど。

　アンデッドの軍勢の襲撃から、1週間が経った今も
雨を降らす者の話題で、民衆達は騒いでいた。

　そんな中、王家から大きな発表がされた。

　魔王を討つために、勇者パーティーが結成されたと。

　私は、興味本位で、見に行った。

　勇者パーティーは、4人だった。

　勇者、聖女、女剣士。

　そして、最後の1人は、私がよく知る人物だった。

　なんと、フェリアだったのだ。

　これには、驚きを隠せなかった。

　まさか、フェリアが、勇者パーティーの一員だったなんて。

　そして、あの勇者。

　多分だが、あの勇者が、親友が作っていたゲームの主人公だろう。

　名前も知らないけど。

　じゃあ、もしかして、フェリアは、ゲームのヒロインの1人だったのか？

　だから、あんなにも美少女だったのか。

　まぁ、私達の関係は変わらないがな。

　私とフェリアの関係は変わることはないがな。

　次の日、魔法学園の図書館に向かうと、フェリアが、奥の方で本を読んでいた。

　「フェリア」

　フェリアは、顔を上げて、私の方を見たが、疲れたような表情を浮かべていた。

　「どうしたんだ？フェリア。そんな疲れた顔を浮かべて？」

　「凄い囲まれて、疲れた。昨日のせい。本当は、勇者パーティーに参加したくなかった。でも、お父様の命令だった」

　フェリアは、寂しそうな表情を浮かべた。

　「聞いてもいいか、分からないが、父親との仲は良くないのか？」

　「ん。お父様は、私のことを愛していない。家を繁栄させるための道具ぐらいしか思ってない。お母様のことは、愛していたのに」

　してはいけない質問だったな。

　私は、頭を掻いた。

　「なんか、済まないな。そんなことを言わせて」

　「気にしないで」

　「フェリアばかりに話させるのは駄目だな。私は、家族と縁を切ったのだ。だから、今は、ルーク・レイシーだ」

　フェリアは、驚いた表情を浮かべた。

　「それは、本当？」

　「ああ。魔力無しだと分かった途端に、家族からの愛を失った。だから、独り立ちしたんだ」

　「私達、なんか似てる。色々なことが」

　フェリアは、微笑んだ。

　俺もフェリアにつられて、微笑んでしまった。

　「確かにな」

　その後は、フェリアの隣で、本を読んだ。

　フェリアは、とても嬉しそうだった。

　昼休みが終わると、フェリアは、本を抱き抱え、席をたった。

　フェリアは、手を小さく振ってくれた。

　私は、手を振り返した。

　フェリアは、満足そうな表情を浮かべ、教室に向かって、歩き始めた。

　その足取りは、重いものではなかった。