124 / 124
番外編 クリスマス
しおりを挟むバレンタインから1年が経とうとしていた。
仕事を終えたいつもと同じように俺は家に帰ったのだ。
いつもとドアを開けると突然目を隠されたのだ。
一瞬警戒したが、直ぐに解いた。
愛しい者の声が聞こえたからだ。
「おかえり、レオク。早速だけど、このままリビングに案内するよ」
「それは構わないが、どうしたんだ?」
「それは行けば分かるよ。だから、リビングまでついてきて」
俺は黙って目を閉じ、クメリに手を引かれた。
少し歩くと手を離され、そこに立ち止まった。
「もう目を開けてもいいよ」
そう言われたので、俺は目を開けたのだ。
目を開けた俺は驚きで固まってしまった。
だって、そこにはサンタのコスプレをした3人がいたのだ。
忘れていた。
今日はクリスマスか。
ああ、そうだった。
セレネ達はバレンタインのことを知っていたのだ。
だから、クリスマスも知っている筈。
クリスマスプレゼントを用意してない。
今から準備するのは無理だから、後日だな。
そんなことを思っていると愛しい者達の声が聞こえてきたのだ。
「ど、どう?」
「どうかな?レオク」
「レオクさん。似合っているますか?」
「ああ、とても似合っているよ」
俺の発言を聞いた3人は喜んでいた。
3人が喜んだ後、俺は手を引かれたのだ。
手を引かれながら、案内されたのは豪華な料理が並んだ机だった。
その後、俺はセレネ達が作ってくれた豪華な料理を堪能した。
食後にセレネ達が立ち上がり、洗面所の方に向かったのだ。
「レオク、そこで待ってて」
セレネにそう言われたので、私は黙って席に座るしか無かった。
5分ぐらいするとサンタのコスプレをしたままのセレネ達が帰ってきたのだ。
心なしか唇が。
そんなことを思っていると3人が顔を近づけてきたのだ。
俺に近付いたセレネの顔は真っ赤になっている。
そして、クメリとミネは平常を保っているが、明らかに照れている。
少し頬が赤いのだ。
「レ、レオク。絶対に目を開けないで」
「何があってもだよ」
「これは私達からの約束です」
「わ、分かった」
了承した俺は目を閉じたのだ。
目を閉じた後、俺は気配を感じた。
やがて、気配は俺の目の前までやって来たのだ。
それから、3回唇に柔らかい感触を感じた。
俺は思わず目を開けてしまったのだ。
目を開けた俺の前には顔を真っ赤にしたセレネ達がいた。
真っ赤な顔のまま、3人は私から距離を取ったのだ。
そして、嬉しそうに微笑んだ。
「「「レオク(さん)、メリークリスマス」」」
「ああ、メリークリスマス」
私も3人につられ、微笑んでいたことだろう。
その時、懐から熱さを感じた。
その熱さは心に響くものだ。
分かってる。
今度も、いや、これからまでも、いや、これからもだ。
この32回目の人生でも。
そう思い、俺は懐に入れている錆びたリボルバーを撫でた。
撫でられた錆びたリボルバーは俺に答えるようにシリンダーが回る音が響いたのだ。
俺の中で。
3
お気に入りに追加
160
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
スキル運で、運がいい俺を追放したギルドは倒産したけど、俺の庭にダンジョン出来て億稼いでます。~ラッキー~
暁 とと
ファンタジー
スキル運のおかげでドロップ率や宝箱のアイテムに対する運が良く、確率の低いアイテムをドロップしたり、激レアな武器を宝箱から出したりすることが出来る佐藤はギルドを辞めさられた。
しかし、佐藤の庭にダンジョンが出来たので億を稼ぐことが出来ます。
もう、戻ってきてと言われても無駄です。こっちは、億稼いでいるので。
女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう
サイダーボウイ
ファンタジー
「ちょっと冬馬君。このプレゼン資料ぜんぜんダメ。一から作り直してくれない?」
万年ヒラ社員の冬馬弦人(39歳)は、今日も上司にこき使われていた。
地方の中堅大学を卒業後、都内の中小家電メーカーに就職。
これまで文句も言わず、コツコツと地道に勤め上げてきた。
彼女なしの独身に平凡な年収。
これといって自慢できるものはなにひとつないが、当の本人はあまり気にしていない。
2匹の猫と穏やかに暮らし、仕事終わりに缶ビールが1本飲めれば、それだけで幸せだったのだが・・・。
「おめでとう♪ たった今、あなたには異世界へ旅立つ権利が生まれたわ」
誕生日を迎えた夜。
突如、目の前に現れた女神によって、弦人の人生は大きく変わることになる。
「40歳まで童貞だったなんて・・・これまで惨めで辛かったでしょ? でももう大丈夫! これからは異世界で楽しく遊んで暮らせるんだから♪」
女神に同情される形で異世界へと旅立つことになった弦人。
しかし、降り立って彼はすぐに気づく。
女神のとんでもないしくじりによって、ハードモードから異世界生活をスタートさせなければならないという現実に。
これは、これまで日の目を見なかったアラフォーおっさんが、異世界で無双しながら成り上がり、その実力がバレて世界に見つかってしまうという人生逆転の物語である。
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
少し残念なお嬢様の異世界英雄譚
雛山
ファンタジー
性格以外はほぼ完璧な少し残念なお嬢様が、事故で亡くなったけど。
美少女魔王様に召喚されてしまいましたとさ。
お嬢様を呼んだ魔王様は、お嬢様に自分の国を助けてとお願いします。
美少女大好きサブカル大好きの残念お嬢様は根拠も無しに安請け合い。
そんなお嬢様が異世界でモンスター相手にステゴロ無双しつつ、変な仲間たちと魔王様のお国を再建するために冒険者になってみたり特産物を作ったりと頑張るお話です。
©雛山 2019/3/4
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる