上 下
49 / 53

番外編 夕立

しおりを挟む

 緋月といつも通り一緒に、帰っていると、突然、雨が降って来た。

 その雨は、直ぐに強くなり、滝のように降って来た。

 僕達は、直ぐに近くの屋根が、ある場所に移動した。

 その場所に着く頃には、ビジョビジョになってしまった。

 それは、緋月も同様だった。

 「エレン様、これを」と言い、緋月は、タオルを僕の方に手渡して来た。

 僕は、それを受け取り、「ありがとう、緋月」

 「どういたしまして、エレン様」と言い、緋月は、少し微笑んだ。

 僕は、タオルで、体を拭いた。

 体を拭き終わったので、タオルを返そうと、緋月の方を見た。

 見た瞬間、僕は、顔を逸らした。

 僕が、直ぐに顔を逸らしたのは、緋月の服が透け、真っ白な下着が、見えていたからだ。

 「エレン様?どうして、そっちを見ているんですか?」と、緋月が、聞いて来た。

 「ひ、緋月、自分の服を見て」と、答えた。

 「自分の服ですか?」と言い、緋月は、不思議そうな表情を浮かべ、視線を自分の服に落とした。

 自分の下着が透けていることに気が付き、緋月は、直ぐに、胸の辺りを手で隠した。

 緋月が、「エ、エレン様、ありがとうございます。教えて下さって」

 僕は、鞄から、ブレザーを出した。

 今日の昼、暑かったため、脱いで、鞄の中に入れていたんだ。

 鞄の中だったから、濡れていなかった。

 僕は、なるべく緋月の方を見ずに近付き、緋月にブレザーを掛けた。

 「ありがとうございます、エレン様。後で、お返しします」と言い、緋月は、僕の方を見て、微笑んだ。

 「うん、明日、返してくれれば良いよ」と言い、俺も微笑んだ。

 そんなことをしていたら、夕立が止んでいた。

 「どうやら、止んだみたい。帰ろうか、緋月」と言い、僕は、屋根から出た。

 「はい」と言い、緋月は、笑顔を浮かべた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

貴方の事なんて大嫌い!

柊 月
恋愛
ティリアーナには想い人がいる。 しかし彼が彼女に向けた言葉は残酷だった。 これは不器用で素直じゃない2人の物語。

おにぎり好きな天才放浪画家が、異世界転移で絵を実体化させる『画聖』の力を手に入れる話

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
今年が裸の大将と呼ばれる放浪画家『山下清』の生誕100年になるが、この小説の登場人物は同姓同名なだけで、本人ではありません。似たような人だと思ってくれると助かります。 ♦︎あらすじ♦︎ 白いランニングシャツに薄茶色の半ズボン、黒い鼻緒の二枚歯の下駄をカランコロンと鳴らして、山下清は田舎道を歩いていた。目的地は決めていない。目的地は突然決まるものだ。 田舎道で出会った農家のおじいさんに、山の中にある白鳥が立ち寄るという秘境の湖を教えられて、清は喜んで山登りを始めた。 山の湖から流れる川を目印に進んでいくが、途中で急な雨に襲われてしまった。山の天気は変わりやすいから仕方ない。その結果、複数の川が出現してしまい、清は山で遭難する事になってしまった。もちろん初めての遭難ではない。冷静に対処する事が出来る。 まずはリュックサックから水筒を取り出して、飲み水を確保した。次に食糧になりそうな青いとんがり幻覚キノコを数本採取した。食べても死なない弱めの毒キノコだ。よく焼けば大丈夫だと清は判断した。 だが、よく焼いても駄目な物は駄目だ。清は幻覚状態になってしまった。雨が降る中を赤い傘を差して、湖を目指して、なんとなく見える気がする道を歩き出した。もちろん幻の道で、湖には絶対に辿り着けない。 でも、洞窟に辿り着いてしまった。その洞窟に入ると、麦わら帽子を被った骸骨を見つけた。骸骨の側には虫網と虫カゴがあり、虫カゴにはカブト虫の残骸が入っていた。虫取りに来て、遭難した人間で間違いない。未来の清の姿だ。 幻覚状態の優しい清は骸骨に紅白饅頭の絵を渡して、マッチを線香代わりに供養した。そのマッチの明かりで、清は洞窟の奥に白い雲のようなものを見た。骸骨から麦わら帽子と虫網を借りて、清は洞窟の奥を目指した。そして、長く白い雲を通り抜けて、清は異世界にやって来てしまった。

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました

竹桜
ファンタジー
 いつもと変わらない日常を過ごしていたが、通り魔に刺され、異世界に転生したのだ。  だが、転生したのはゲームの主人公ではなく、ゲームの舞台となる隣国の伯爵家の長男だった。  そのことを前向きに考えていたが、森に捨てられてしまったのだ。  これは異世界に転生した主人公が生きるために成長する物語だ。

私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ

Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」 結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。 「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」 とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。 リリーナは結界魔術師2級を所持している。 ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。 ……本当なら……ね。 ※完結まで執筆済み

ちょっっっっっと早かった!〜婚約破棄されたらリアクションは慎重に!〜

オリハルコン陸
ファンタジー
王子から婚約破棄を告げられた令嬢。 ちょっっっっっと反応をミスってしまい……

異世界転生者の図書館暮らし4 進化系温泉旅

パナマ
ファンタジー
異世界転生者の図書館暮らし3 の続編。 百年周期で姿を現す、空中国家ヘスペリデス。総面積が大陸の半分ほどの浮島群の旅に、ソゴゥのテンションは上がっりっぱなしだが、王国は大変な決断を迫られ。

処理中です...