上 下
24 / 53

第二十四話 地元デート

しおりを挟む

 後期が終わり、長期休暇に入った。

 僕達は、馬車を使って、実家に帰った。

 父さんと母さんは、僕達のことを歓迎してくれた。

 ふぅ、実家は、安心するよ。

 あそこにいるだけで、疲れるからな。

 今の寮は。

 まぁ、それは、今、置いておこう。

 今は、心を休めるとしよう。

 緋月が、料理をしている時に、父さんと母さんに、緋月の料理のスキルが、5に上がったことを伝えると、肩を掴まれ、更に念押しされた。

 逃すなと。

 僕は、緋月を逃すつもりは無いよ。

 あんなに可愛い緋月を。

 3日ぐらい、実家で休んだ。

 4日目からは、実家の外に出ることにした。

 外に出る目的は、緋月とのデートだ。

 僕は、緋月と何も目的も無く、散歩をした。

 街の様子は、去年と殆ど変わっていなかったが、それでも楽しい。

 緋月が、隣にいてくれるだけで、楽しいからだ。

 僕達は、会話しながら、街を歩いていると、ふっと目に留まった。

 教会が。

 あ、そう言えば、この教会には、あの人がいる。

 「緋月、少し教会に寄らない?」と、聞いた。

 緋月は、頷いて、答えてくれた。

 緋月が了承したのを確認してから、教会の中に入った。

 教会の中には、司祭がいた。

 「今日は、教会にどのようなご用で?あっ、もしかして、エレン君ですか?」と、司祭が、聞いて来た。

 「はい、エレンです。お久しぶりです、司祭」と、答えた。

 「はい、お久しぶりです。それにしても前とは、見違えました。ところで、隣の方は?」と、司祭が、聞いて来た。

 「ああ、彼女は、僕の恋人です」と、答えた。

 司祭は、少し驚いていた。

 「エ、エレン様の恋人の緋月と申します。今後、お見知り置きを」と言い、緋月は、頭を下げた。

 ちなみに、今の緋月は、魔法具で、角を隠している。

 角が、出ていたら、何かと騒ぎになるからだ。

 挨拶を終えた後は、司祭と少し話し、教会を出た。

 緋月が、「とても優しい方でしたね」

 「うん、とても優しい人だよ。あの人は」と、返した。

 僕達は、散歩を続けた。

 街の色んな場所を散歩したが、1つだけ行ってない場所がある。

 そこは、赤色、いや、緋色の花畑だ。

 何故か、そこに、緋月とは、まだ行ってはいけないと感じるのだ。

 何の根拠も無いものだが、僕は、それに従った。

 確かに、あそこに緋月を案内したら、とても喜ぶだろう。

 でも、何故か、確証出来た。

 来たるべき時に、行くほうが、緋月をもっと喜ばせると。

 だから、あそこには、まだ行かない。

 緋月と行くのは、いつだろうな。

 もしかしたら、結婚式の日とか。

 いや、待って。

 確かに、緋月と結婚したいと思っているが、まだそこまでの関係に至っていないだろう。

 そうだ。

 ゆっくり行け、緋月に、嫌われるのだけは、嫌だからな。

 1人で考え事をしていると、緋月が、心配したのか、僕の顔を覗き込んでいた。

 その距離は、とても近かった。

 どちらかが、近付けば、当たってしまう距離だ。

 僕は、それに気付き、顔を赤くしてしまった。

 緋月もそのことに気が付き、顔を赤くして、離れてしまった。

 その後、なんか、恥ずかしくて、顔を見ることが出来なかった。

 でも、離れないように、手を繋ぎながら、実家に帰った。

 帰ってから、学園祭の時のメイド服姿の緋月の絵を両親に見せたら、可愛いと言っていた。

 緋月は、恥ずかしいのか、顔を赤くしていた。

 

 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

勇者のお仕事一巻【旅立ち編】

伊上申
ファンタジー
【完結済】 表紙イラスト つえもと様→Xプロフィールリンク↓ https://x.com/tsuemoto_illust?s=21&t=PZrVqQogGBSklmvoqujRCA 「ジャスティス、俺はお前が嫌いだ」 「…それがキミの答えなんだね、ロウファ」 ずっと親友だと思っていた人からの裏切りで捕らわれたジャスティスは新たな仲間とともに故郷を離れる。 『冒険』・『ファンタジー』・『BL(ボーイズラブ)』・『腐』・『勇者』・『魔法』・『剣』・『銃』・『星』・『鉱石』・『宝石』・『転生』・『異世界』『厨二病』 好きなもの集めた。 【注意】 BLとあるけれど、R18なものは事情により割愛。 際どい部分はあるけれど、そこは広い心でお願いします。 『勇者』ってなんだろう、というのがテーマです。基本的に勇者とは何をして、どのような立ち位置につくのかと考え出したのがはじまりです。それにただ単に『好きなもの』をぶち込んだだけです。 舞台設定としては中世ヨーロッパあたりでしょうかね。 鍛治、薬草学、錬金術などについては大まかに調べて独学で表現していますので現実的なやり方や解釈など間違っているかも知れませんがご了承ください。 本作に登場する名称等は全て架空のものであり現在のものと一切関わりありません。

貴方の事なんて大嫌い!

柊 月
恋愛
ティリアーナには想い人がいる。 しかし彼が彼女に向けた言葉は残酷だった。 これは不器用で素直じゃない2人の物語。

おにぎり好きな天才放浪画家が、異世界転移で絵を実体化させる『画聖』の力を手に入れる話

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
今年が裸の大将と呼ばれる放浪画家『山下清』の生誕100年になるが、この小説の登場人物は同姓同名なだけで、本人ではありません。似たような人だと思ってくれると助かります。 ♦︎あらすじ♦︎ 白いランニングシャツに薄茶色の半ズボン、黒い鼻緒の二枚歯の下駄をカランコロンと鳴らして、山下清は田舎道を歩いていた。目的地は決めていない。目的地は突然決まるものだ。 田舎道で出会った農家のおじいさんに、山の中にある白鳥が立ち寄るという秘境の湖を教えられて、清は喜んで山登りを始めた。 山の湖から流れる川を目印に進んでいくが、途中で急な雨に襲われてしまった。山の天気は変わりやすいから仕方ない。その結果、複数の川が出現してしまい、清は山で遭難する事になってしまった。もちろん初めての遭難ではない。冷静に対処する事が出来る。 まずはリュックサックから水筒を取り出して、飲み水を確保した。次に食糧になりそうな青いとんがり幻覚キノコを数本採取した。食べても死なない弱めの毒キノコだ。よく焼けば大丈夫だと清は判断した。 だが、よく焼いても駄目な物は駄目だ。清は幻覚状態になってしまった。雨が降る中を赤い傘を差して、湖を目指して、なんとなく見える気がする道を歩き出した。もちろん幻の道で、湖には絶対に辿り着けない。 でも、洞窟に辿り着いてしまった。その洞窟に入ると、麦わら帽子を被った骸骨を見つけた。骸骨の側には虫網と虫カゴがあり、虫カゴにはカブト虫の残骸が入っていた。虫取りに来て、遭難した人間で間違いない。未来の清の姿だ。 幻覚状態の優しい清は骸骨に紅白饅頭の絵を渡して、マッチを線香代わりに供養した。そのマッチの明かりで、清は洞窟の奥に白い雲のようなものを見た。骸骨から麦わら帽子と虫網を借りて、清は洞窟の奥を目指した。そして、長く白い雲を通り抜けて、清は異世界にやって来てしまった。

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

ゲームの中に転生したのに、森に捨てられてしまいました

竹桜
ファンタジー
 いつもと変わらない日常を過ごしていたが、通り魔に刺され、異世界に転生したのだ。  だが、転生したのはゲームの主人公ではなく、ゲームの舞台となる隣国の伯爵家の長男だった。  そのことを前向きに考えていたが、森に捨てられてしまったのだ。  これは異世界に転生した主人公が生きるために成長する物語だ。

私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ

Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」 結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。 「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」 とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。 リリーナは結界魔術師2級を所持している。 ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。 ……本当なら……ね。 ※完結まで執筆済み

ちょっっっっっと早かった!〜婚約破棄されたらリアクションは慎重に!〜

オリハルコン陸
ファンタジー
王子から婚約破棄を告げられた令嬢。 ちょっっっっっと反応をミスってしまい……

処理中です...