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第二十二話 学園祭デート

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 やっと終わった。

 本当なら、午前中までが、シフトだったけど、予想以上に、緋月目当ての男子生徒が多く、昼過ぎまで、接客することになってしまった。

 まぁ、まだ時間は、あるし、緋月と学園祭を楽しむか。

 僕は、執事服を着たまま、メイド服を着ている緋月と、一緒に、Aクラスの教室を出た。

 緋月と一緒に、学園内を歩いていると、緋月が、何処かをじっと見ていた。

 緋月が、じっと見ていたのは、ある1つの屋台だった。

 その屋台からは、甘い匂いがした。

 オレンジキャンディーか。

 オレンジキャンディーは、祭りの定番の食べ物だ。

 オレンジを絞り、絞って果汁を砂糖と一緒に煮詰めて、型に入れる。

 その型に、木の串を刺し、固めると、オレンジの形をしたキャンディーが、出来上がる。

 場所によっては、レモンの果汁を入れるらしい。

 レモンの果汁を入れることで、少し酸味を出すことができ、更に美味しくなるらしい。

 緋月は、甘い物が好きだからな。

 「緋月、あれが食べたいの?」と、聞いた。

 「えっ、あ、はい。食べてみたいです」と答え、緋月は、顔を少し赤くしていた。

 僕は、緋月と一緒にその屋台に向かい、オレンジキャンディーを2本購入した。

 もちろん、お金は、僕が、払った。

 男子の方が、払うのは、当たり前だからね。

 お金を払うと、男子生徒が、2本のオレンジキャンディーを持ってきた。

 その男子生徒は、緋月に渡す時は、デレデレしていたが、僕に渡す時は、親の仇を見るような形相で、睨んでいた。

 あれ?

 この人、見たことがあるな。

 思い出した。

 先頭に並んでいた男子生徒だ。

 それは、こんな形相になるな。

 緋月は、気づいていないようだ。

 流石に、あの形相で、睨まれ続けるのは、嫌なので、少し離れたベンチに座って、食べることにした。

 緋月は、ベンチに座って、直ぐに、オレンジキャンディーを舐めた。

 緋月は、美味しいと呟き、美味しそうに食べていた。

 緋月が、食べ終わるぐらいに、僕も食べ終わった。

 串を捨てるゴミ箱は、さっきの出店の横にあった。

 串を捨てる時に、緋月は、「美味しかったです」と言い、出店にいる者達に向かって、微笑んだ。

 その微笑みを見た者達は、雄叫びを上げていた。

 緋月は、少し驚いていた。

 その雄叫びは、止むことが無かったので、僕達は、早々に離れた。

 その後は、緋月と、学園内で、食べ歩きをしていたが、対応する生徒は、全て男子生徒で、緋月のファンクラブの者達だった。

 オレンジキャンディーの出店の時と同じように、緋月の時は、デレデレで、僕の時は、親の仇を見るような形相を浮かべている。

 そして、緋月が、微笑むと、雄叫びを上げる。

 それを繰り返していると、学園祭が終わった。

 僕は、Aクラスに戻りながら、「緋月、今日は、楽しかった?」と、聞いた。

 緋月は、僕の方を向き、「はい、楽しかったです。初めての経験ばかりでした」と答え、微笑んだ。

 緋月に、喜んで貰えなら、良かった。

 
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