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最終話 最果ての花畑
しおりを挟むあの戦いの後、私はお嬢様と姫様の所に帰還した。
報奨に関しては無事に支払われた。
お嬢様は国王陛下と結婚し、姫様もある公爵家の当主と結婚したのだ。
そして、子供も産まれたので、私は暫くのお暇を貰った。
暫くのお暇を貰った私はある手掛かりを元に旅を続けたのだ。
お嬢様と姫様から離れて1年後に私はついに見つけたのだ。
最果ての花畑を。
君が私といつか来てみたいと願っていた場所に。
私が最果ての花畑に足を踏み入れた瞬間、色鮮やかに様々な種類の花が1種類の花に置き換わったのだ。
金色の花に。
あの伝説は本当だったのか。
自身が望む花に置き換わる伝説は。
君が好きだった花、いや、お嬢様も姫様も好きな花だ。
そして、母上も。
そう、私が契約として貰っていた花だ。
この花の名前はフェリス。
フェリスの名前の由来は殆どの者が知らない。
どんな花好きでも分からない。
この花の名前の由来は古代文明について学ばなければいけない。
私は古代文明について知っているので、名前の由来は分かる。
古代ハンジリル語で幸せだ。
私はそんな由来の花を貰いながら、君を幸せには出来なかった。
だが、幸せに出来た者と出来ている者達はいる。
母上は幸せのままこの世を去り、お嬢様と姫様は幸せの絶頂だ。
今の私は守っている。
幸せを。
だから、ウィザーという名は捨てる。
確かに私は世界一美しい花を枯らした。
だが、美しい花をまだ守れる。
だから、枯らすという名を捨て、これから成長していく美しい花を守り続ける。
それが今の私に出来ることだ。
そう思った私はファルシオンを取り出し、地面に突き刺したのだ。
これは決別だ。
自身の罪をここに置いていく。
もし、生まれ変わって、どんな低い確率で君と再会できたら、ここにまた来る。
その時に私はこの自身の前世の罪を思い出し、改めて誓うのだ。
今度こそは必ず守ると。
だから、その為にここに置いていく。
いつになるかは分からない。
だが、必ず来る。
それまでここで待っていてくれ。
そう思い、私はこの場を後にしようとすると突然風が吹いたのだ。
風と共に花びらが舞い、私は包まれた。
その時、もう2度と聞くことが出来ないと思っていた声が聞こえてきたのだ。
最初は空耳だと思っていたが、空耳じゃないと確信できたのだ。
「ずっと待ってますから。ナリスさん」
その声が聞こえ終わると風も止んでいたのだ。
その後、二度と君の声は聞こえなかった。
報奨でしか、君に墓参り出来ない私を待っているのか。
私は君の夫になれて本当に嬉しい。
待っていくれ。
美しい花を守り終えたら、君の元に直ぐに向かう。
だから、どうか待っていくれ。
フリージア。
そんなことを思いながら、私は空を向いた。
見上げた空は雲一つない。
暫く空を見た後、私は歩き始めたのだ。
お嬢様と姫様の元に。
いや、違うな。
王妃様と奥様の元に。
その後、かつての英雄がどうなったかは分からない。
だが、これだけは言える。
かつての英雄に幸せが訪れても本当の幸せが訪れないと。
だって、かつての英雄の隣には愛するべき者が居ないのだから。
本当の幸せが訪れるのは来世、いや、愛するべき者と奇跡的に再会出来た時だろう。
それがいつかは誰にも分からない。
いや、神のみが知ることだろう。
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