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第八話 父上
しおりを挟む応接室で待っていると扉がノックされたのだ。
入室の許可を出すと少し老けた父上が入室してきたのだ。
「久しぶりだな、馬鹿息子」
「お久しぶりです、父上。色々と積もる話があるでしょうから、座って話しましょう」
「そうだな。まずはこれまでのことを話してくれ」
「分かりました」
父上が座ってから、私はこれまでのことを話した。
私が話している間、父上は下を向き続けていたのだ。
全てを聞き終えた父上は小さく呟いた。
「そうか」
そう小さく呟いた後、父上は両手を強くにぎっでいた。
「それにしてもウィザーか。古代ハンジリル語で枯らす」
そう呟いた父上は私の方を向いてきたのだ。
「答えは分かっているが、一応聞くぞ。何故、傭兵の名前をウィザーにしたのだ?」
「それはこの世で最も美しい花を枯らしたからです」
「自身が何もしてないのにか?」
「してますよ。私は彼女と大司教に誓ったのです。必ず守ると」
そう言い、私は父上の目を見たのだ。
「だから、私は自身の忘れてはならないこととして、ウィザーと名乗るのです」
そう言い終えるとこの場は沈黙が支配した。
その沈黙を破ったのは父上だった。
「お前の話は分かった」
そう言い、父上は右手を前髪をかきあげた後、私の方を見てきたのだ。
「お前の人生だ。好きに生きればいい。だが、妻の墓参りだけはしろ」
「ですが、私にはその資格が」
「資格など必要無い。お前は妻の息子なんだぞ。妻の前で約束したことを守れなかったとしても妻がお前のことを拒否する訳無いだろう。それよりもお前が墓参りに来ないほうが悲しむぞ」
そうだよな。
母上は子供を大事にしていた。
私と兄上を。
そして、私達の大切な者達も。
「分かりました。必ず、母上の墓参りに参ります」
「それならいい」
そう言い、父上は席から立ち上がったのだ。
「そうだ。今、仕えている者を紹介してくれないか?」
「構いませんが、何をする気ですか?」
「ただの挨拶だ。安心しろ。危害を加えるきはないぞ」
「それは分かっていますが、多分お嬢様もいますよ」
「それでも構わない」
「分かりました」
私は父上と一緒に姫様の部屋に向かった。
姫様の部屋の前に到着したら、父上には外で待ってもらい、私は扉をノックしたのだ。
入室の許可を得たら、私は部屋に入室した。
入室した私はお嬢様と姫様に挨拶したい旨を伝えると許可をくれた。
許可を得たので、私は父上をお嬢様と姫様のところまでつれていったのだ。
本当に父上はお嬢様と姫様に挨拶だけして、帰ったのだ。
まぁ、父上は意外と放任主義だから、こんなもんか。
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