傭兵ですが、報奨は花束でお願いします

竹桜

文字の大きさ
上 下
8 / 13

第八話 父上

しおりを挟む

 応接室で待っていると扉がノックされたのだ。

 入室の許可を出すと少し老けた父上が入室してきたのだ。

 「久しぶりだな、馬鹿息子」

 「お久しぶりです、父上。色々と積もる話があるでしょうから、座って話しましょう」

 「そうだな。まずはこれまでのことを話してくれ」

 「分かりました」

 父上が座ってから、私はこれまでのことを話した。

 私が話している間、父上は下を向き続けていたのだ。

 全てを聞き終えた父上は小さく呟いた。

 「そうか」

 そう小さく呟いた後、父上は両手を強くにぎっでいた。

 「それにしてもウィザーか。古代ハンジリル語で枯らす」

 そう呟いた父上は私の方を向いてきたのだ。

 「答えは分かっているが、一応聞くぞ。何故、傭兵の名前をウィザーにしたのだ?」

 「それはこの世で最も美しい花を枯らしたからです」

 「自身が何もしてないのにか?」

 「してますよ。私は彼女と大司教に誓ったのです。必ず守ると」

 そう言い、私は父上の目を見たのだ。

 「だから、私は自身の忘れてはならないこととして、ウィザーと名乗るのです」

 そう言い終えるとこの場は沈黙が支配した。

 その沈黙を破ったのは父上だった。

 「お前の話は分かった」

 そう言い、父上は右手を前髪をかきあげた後、私の方を見てきたのだ。

 「お前の人生だ。好きに生きればいい。だが、妻の墓参りだけはしろ」

 「ですが、私にはその資格が」

 「資格など必要無い。お前は妻の息子なんだぞ。妻の前で約束したことを守れなかったとしても妻がお前のことを拒否する訳無いだろう。それよりもお前が墓参りに来ないほうが悲しむぞ」

 そうだよな。

 母上は子供を大事にしていた。

 私と兄上を。

 そして、私達の大切な者達も。

 「分かりました。必ず、母上の墓参りに参ります」

 「それならいい」

 そう言い、父上は席から立ち上がったのだ。

 「そうだ。今、仕えている者を紹介してくれないか?」

 「構いませんが、何をする気ですか?」

 「ただの挨拶だ。安心しろ。危害を加えるきはないぞ」

 「それは分かっていますが、多分お嬢様もいますよ」

 「それでも構わない」

 「分かりました」

 私は父上と一緒に姫様の部屋に向かった。

 姫様の部屋の前に到着したら、父上には外で待ってもらい、私は扉をノックしたのだ。

 入室の許可を得たら、私は部屋に入室した。

 入室した私はお嬢様と姫様に挨拶したい旨を伝えると許可をくれた。

 許可を得たので、私は父上をお嬢様と姫様のところまでつれていったのだ。

 本当に父上はお嬢様と姫様に挨拶だけして、帰ったのだ。

 まぁ、父上は意外と放任主義だから、こんなもんか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

処理中です...