傭兵ですが、報奨は花束でお願いします

竹桜

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第二話 現状

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 あれから、私はこの国の離宮に身を置くことになった。

 まず、私が傭兵契約をしたのはこの国の第5王女なのだが、妾の子なので冷遇されている。

 次に粗末な刺客が送られた理由は王位継承権だ。

 この王国の前国王が後継者を決めずに急死してしまい、王位争奪戦が起きたのだ。

 姫様は王になる気、いや、王位継承権自体を破棄したいと思っているのだが、前国王がいないのでそれも出来ない。

 だから、少しでも王位継承者を減らそうと暗躍するのだ。

 最後に冷遇されているから、金が殆どこの離宮に入ってこない。

 だから、姫様は粗末な服に身を包み、痩せ細っていたのだ。

 だが、これらの問題は殆ど私が解決した。

 まず、解決したのは金問題だ。

 金は傭兵の仕事で稼ぐことにした。

 私はそれなりに傭兵のランクが高いので、結構稼ぐことが出来る。

 だから、姫様は上質な服に身を包み、健康体になっている。

 そして、刺客に襲われる可能性はほぼ無くなった。

 あの後、何回か粗末な襲撃があったが、全て姫様が気付く前に処理している。

 最後の襲撃だけはそれなりの腕の暗殺者だったが、何も問題無く対応出来た。

 その襲撃から刺客を送られることは無くなったのだ。

 だから、結構安心することが出来る。

 これが私に出来ることだったが、冷遇だけは何も出来ない。

 こればかりは無理だからな。

 まぁ、このような状況になるまで2ヶ月ぐらい掛かってしまった。

 その間に私は姫様と過ごすようになったのだ。

 そして、今日は姫様と出会った花畑までやって来ている。

 「ウィザーさん。これからどうやってやるんですか?」

 「ここを通してから、ここを通します」

 「ありがとうございます、ウィザーさん」

 そうお礼を言い、姫様は嬉しそうに流行りの歌を口ずさみながら、花冠を作っている。

 そんな姫様を見ながら、私は一応周辺警戒をしている。

 私は姫様に雇われているんだ。

 だから、必ず守らなければいけない。

 周辺警戒をしていると姫様に服の袖を引っぱられたのだ。

 「どうかしましたか?」

 「少し屈んで欲しいです」

 姫様にそう言われたので、私は黙って片膝を地面につけた。

 すると姫様は後ろに隠していた両手を前に出したのだ。

 姫様の両手には作り終えた花冠を持っていた。

 「これは些細なお礼です」

 そう言い、姫様は作り終えたばかりの花冠を私の頭の上に置いてくれたのだ。

 「ありがとうございます、姫様」

 「お礼を言うのは私の方です。私にはこれぐらいのことしか出来ませんから」

 「そんなことはありませんよ。とても嬉しいですよ」

 「本当ですか?それなら嬉しいです」

 そう言い、姫様は嬉しそうな表情を浮かべていたのだ。

 あの時には想像出来なかったな。
 
 あんな全てに怯えていたのに。

 今回の傭兵契約は満了が出来そうだな。
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